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作品名:ママエフ・クルガン(102高地)〜川口ミキオの物語〜 作者:なおちー

第22回   7月29日 木曜日
※マリン

昨日のお葬式の余韻がまだ続いている。
私もナツキさんにはお世話になった。
亡くなって初めて彼の優しさと偉大さに気づき、
私は式の最中に大泣きしてしまった。

式が終わった後、私はご遺族の前で
何度も何度も頭を下げてお悔やみの言葉を申し上げた。
妹のユウナさんも泣きながら私にこう言ってくれた。

「マリーさんがそう言ってくれて、
 天国にいる兄もきっと喜んでいますよ。
 兄は本当にマリーさんのことを大切に思っていたんですよ」

胸が痛む。
私は悪い子でした。
死にゆく彼の最後の願いを聞いてあげることが出来なかったのだから。
結果的に、ミウが現会長の椅子に座っているのは私のせいだ。
私はあの時、無理にでも会長の座をナツキさんから
引き継いでおけばよかったのだ。

ナツキさんからもマリカさんからも、校長からも、あんなにも
次期会長になってくれと頼まれたのに。私のわがままで拒否し続けた。

ミウはどんな魔法を使ったのかこの世によみがえった。
どんな方法なのかは考えても仕方ない。
奴がこの世に存在することが大問題なのだ


『会長の後任候補を巡る、対策非常委員会』

という長い名前の組織が発足した。
政治で例えると超党派の委員会である。

ミウに完全に支配された保安委員部は除外して、
諜報広報委員部、中央委員部から選抜したメンバーで構成した、
ミウを暗殺し直ちに会長の後任を選出することを目的にする組織である。

省略して対策委員会と呼ぶのが普通だった。

「私が委員長の近藤サヤカです。副委員長は相田トモハル君。
 現在までに有志の数は40名を超えています。高野ミウの権力は
 今のところ絶大です。保安委員部の執行委員を完全に掌握している
 ことから、生徒を何時でも自由に取り締まることが可能です」

執行委員とは、実行部隊のこと。警察みたいなもの。
彼らが直接生徒を収容所に監禁し、拷問し、粛清するのだ。
現在学園の警察権力は全てミウの手の中にある。

なぜか保安委員部の人たちはミウに従順だ。
あっちが反乱を起こしてくれたらすごい助かるんだけど、
実はミウには力強い手下がいるのだ。

「同志諸君よ!!」

トモハル君の声はデカすぎる。

「ただいまから述べるのは、ぜひとも周知していただきたい事柄です!!
 現在の保安委員部は、名前の通りの組織ではありませんぞ!!
 ミウの手下、TMFCが実効支配しているようではありませんか。
 きゃつらはミウの操り人形だと考えるべきですな!!」

高野ミウ・ファンクラブ。略してTMFC。
奴は無駄に顔が整ってるから、無駄にファンも存在した。
副会長時代に性格が豹変したが、ドSな女王もたまらないとして、
一部の男子が自らファンになる始末。

ミウが死んでからは、その活動意義を失った彼らだが、
ミウが復活したのと同時に息を吹き返し、ミウの指示によって
代表不在だった保安部を掌握してしまった。

「そこが問題なのよねぇ」サヤカさんが長い黒髪の毛先をもてあそぶ。

「今まで目立った反乱もなく、規律が乱れていた保安部の奴らも、
 ちゃんとした指導者がいたらイキイキと仕事をするように
 なるんだもん。あいつらって根本的にS。
 人を逮捕するのを生きがいにしてるような奴らだもんね」

私も発言させてもおう。

「つまり我々デスクワーク組を主体とした戦力では、
 力でミウに対抗することはできないってことなんですよね?」

「そうよ。斎藤さん。分かりやすく言うと、警察と軍隊を敵に回して
 国会議員と司法局だけで戦いを挑むようなものね」

「無理っぽくないですか……」

「うん……。私の計算では、仮に毒ガスや爆弾を使ったとしても
 九割方失敗するわね。相手もかなり警戒してるようだし、
 仮に暗殺に成功してもファンクラブの反撃でこっちは全滅させられるわね」

トモハルがテーブルを叩く。

「何を弱気なことをおっしゃるのか!! 
 やれるか、やれないかではなく、やるのです!! 
 前会長のお言葉をお忘れですか!!
 我々ボリシェビキは計画を実行に移すために
 英知を結集させる。そのために集まった集団ですぞ!!」

「あなたはいつも声がでかいわね。だからね。
 今考えられる最善の策としては、TMFCの連中とミウをまとめて
 殺すしかないんだけど、その方法が思いつかないのよ」

それだけでなく、こうも内政不安が続けば、学内は混乱する。
今は運よく夏休みで一般生徒はいない。
夏休みは8月末まであるが、待っている余裕はないのだ。

7/31には、毎年恒例のオープン・スクールが予定されている。
見学会の後は、夕方から夜にかけて花火大会が行われる。
これも学園の名物だった。見学者も参加は自由で、
夕食にはカレーライスが屋外で無料で振舞われる。

『オープン・スクール』の前に、ミウを殺して
生徒会を綺麗にしておきたい。これが彼らの願いだ。
前も言ったかもしれないけど、花火大会は
ボリシェビキ幹部候補生を最優先で歓待するのが目的なのだ。

幹部候補生たちに悪の権化であるミウを見せるわけにはいかない。
否、奴が存在してはいけないのだ。

サヤカさんが、「斎藤さん。ミウを殺したら、あなたを直ちに会長として
就任させる手はずにしたいんだけど、それでいいかしら?」

私は納得した。今だって私はボリシェビキでもなんでもないと
思っているけど、学内の平和のためならなんでもするつもりだ。
ナツキさんが守ろうとした生徒会を、私の代でも続けるためなら。

「ふむ。それは結構なことです」

トモハル君は常に敬語だけど実は態度がでかい。

「では副会長の件は、彼でよろしいですかな?」
「ええ。中央委員部では満場一致よ。ナツキ会長の遺言だもの」
「でも彼……ちょっとあれなんですよね」

ミキオ君も副会長になることに異存はないらしい。
だけど問題なのは、彼がミウ暗殺に反対の立場を取っていることだった。
彼は民主的に投票をして後任を選ぶべきだと主張して譲らず、
諜報広報委員部内で少数派になってしまっているらしい。

「うーむ」とサヤカさんが頭を押さえ、
「むむ……」トモハル君が腕組みする。

記録係その他事務として会議に出席した、四人の女子も黙り込んでいる。
彼女達にも一応発言権はあるのだが、物静かなものだ。

今日の会議は、私を含めて三人しか発言してない。
というか三人しかいないようなものだ。
ボリシェビキでは、最も優秀とされる人を最少人数で集めて
会議を進行した方が効果的だとされているからだ。

驚いたことに、サヤカさんのペアであるはずの
モチオ君もミウの粛清には反対してメンバーに入ってないのだ。
モチオは決してミウのことが嫌いではなかったらしい。

「だ、代表殿おおお!! 大変ですぅううう!!」

廊下で警備に立っていた男子が慌ててる。

「た、直ちに会議を中断して、そこから脱出してください!! 
 会長閣下が直接お越しになっているよ……ぎゃあああああああああ!!」

何が起きてるの……?

「君、邪魔だよ」と小さな声がし、警備の男子は床に転ばされた。

「やっほー。みなさん。お揃いだね」

私たちは血の気を失ってしまった。

まさかの事態。高野ミウ本人がこの会議場に来てしまったのだ。
ミウを暗殺するのを目的に秘密裏に開催したこの会議場に。

「私に内緒で話し合いをするなんてヒドいよ。
 こういうのはさ、ちゃんと学園の責任者の私に一言
 かけてからやってほしかったんだけどね?」

語尾が疑問形で終わることが多いのが英国育ちの特徴……。

サヤカさんとトモハル君の反応は対照的だった。

「か、会長閣下。こ、これは……ですね……」 

「ええい高野ミウ!! もうこれ以上隠す必要はありませんな!!
 どこからでもかかってくるが良い!!
 不肖相田トモハル。ここで命を落とす覚悟はできております!!」

万が一、トモハル君が再起不能になっても、私がやる。

私は毒針を持っていた。
ミキオ君経由で諜報部からもらった秘蔵の武器。
注射器より一回り以上小さくて制服の胸ポケットにすっぽり収まる。

右手にしっかりと毒針を握りしめ、
ミウに飛びかかろうと踏み込む足に力を込める。

「待ってくれる?」

とミウが手のひらを突き出した。
私はなぜか一歩も動けなくなってしまう。

「私はあなたたちと争うつもりはないの。
 別に暗殺計画を立てたことはどうでもいい。
 そんなことより今後のことを話し合おうよ」

ミウは連れてきた護衛の男どもを、廊下に待機させて扉を閉めた。
会議室の長テーブルの適当な場所に腰かける。
その風格に、たまたま近くにいる速記係の女の子が「ひっ」と脅える。

ミウは言った。

「喉が渇いたなぁ。
 そこの君、熱いお茶をお願いできるかな? 
 日本茶でいいよ」

と命じる。速記係は廊下へ駆け出した。
途中で転んだのか、廊下で大きな音がした。

「で。今後のことだけど、ちょっと取引をしようか。
 私を殺すのは勘弁してもらいたいんだよね。
 だって私、殺されたくないし。誰だって死ぬのは嫌だよね?」

答える人はいない。ミウが続ける。

「その代わり、そっちがこちらの要求を聞いてくれたら、
 私の方からも提案がるんだけど?」

「て……提案とは?」 ←サヤカさん。

「会長を降りようと思うんだよ。別に好きでやってるわけじゃないし、
 今はナツキ君が死んじゃったから私が代理でやってるだけ。
 もちろん副会長の地位もいらないし、保安部委員もどうでもいい。
 後任候補がすでに決まってるようだから、
 その子たちに変わってもらっていいよ。時期は任せる」

長い沈黙ののち、トモハル委員が問う。

「そ、それではミウ殿はどうされるおつもりか!!
 自らの地位を他人に譲るとしたら、あなたはまさか
 一般のボリシェビキとして過ごされるおつもりか?」

「ボリシェビキも辞めちゃおうかな」

「はぁ!? あなた、本当に高野ミウなの!?
 権力欲の塊と言われたあなたが、
 ボリシェビキを辞めるですって!?」

「そんなに驚くことじゃないでしょ。サヤカさん。
 私が偽物に見えるとしたら、あなたの目がおかしいんじゃない?
 私は正真正銘のミウ。私が自らの意志で決めたこと。
 みんなも知っての通り、私は一度死んじゃったけど
 奇跡が起きてこの世界に戻ることができた」

奇跡の内容は秘密だけどね、とミウは言い、

「権力欲の塊って言われちゃったけど、そもそも私は好きで
 生徒会に入ったわけじゃないし、副会長になったのも
 ナツキ君に推薦されてなっただけだよ。私はいつだって
 自分の彼氏のことを第一に考えて、彼のために学園を平和にしたいと
 思って行動してたんだよ? 信じてくれないだろけど」

トモハルがくってかかる。

「ええい!! 全く信じられませんな!!
 あなたの副会長時代の横暴を忘れたとは言わせませんよ!!
 一体どれだけ多くの囚人があなたに暴行されて死んでいったか。
 ここにいる斎藤氏もあなたの暴行の被害者ですぞ!!」

「ごめんね。マリエちゃん。あの時のことは謝るよ」

ミウに頭を……下げられた……。
なに……これ……?

「あ、あのぉ。お茶のご用意が」

こんな時に速記係が戻ってきてしまう。

「そこに置いておいてくれる?」
「はいっ……!!」
「あなた、指先が震えてる。私の事、怖いの?」
「そんなことはっ……」
「別にいいよ。ここの人はみんなそうだから」

速記係のショートカットの女の子は、勢いよく湯呑を置いたせいで
ミウの袖口に茶がかかってしまった。ミウは笑って許してくれた。
以前のミウだったら小さなことでも怒鳴り散らしていた。

私もしゃべらないと!!

「私からも質問。あなたは太盛先輩をどうしたいんですか?
 また彼を束縛して動けなくするのが目的なら、
 私は絶対に阻止させてもらいますよ」

「束縛っていうより、ふたりでのんびり過ごしたいかな。
 海の見える海岸とかでさ……。時間を忘れてゆっくりと。
 あと花火大会も楽しみだよねぇ」

「あんたも花火大会に出るつもりなの?」

「意外? うちの生徒の参加は自由だから問題ないよね?
 私は太盛君とのんびり花火でも眺めながら、
 おいしい屋台でも回りたいなと」

「やめてよ!! もうあなたに太盛先輩は渡さない!!」

「一昨日太盛君と再会したけど、
 彼は私に愛してるって言ってくれたよ?
 嘘だと思うなら彼に聞いてみてよ。私とのカップル申請書にも
 サインしてくれたし、申請書は校長にも確認してもらっているんだよね」

「ウソだ。ウソだぁ!! そんなの信じられるもんか!!
 あんたが無理やり太盛先輩に言わせただけの、ウソっぱちだ!!」

「あーうるさいな。やっぱり太盛君も連れてくればよかったかな。
 彼は私と再会したとき、涙を流しながら喜んでくれたのに。
 マリエちゃんは証拠でも見せないと納得しなさそうだね」

「待ってください高野さん。私からも質問があります」

とサヤカさん。顔中に汗をかいている。

「高野さんは部下を使って井上マリカさんを半殺しにしましたね?
 その一件から、あなたが権力を使って暴走するのは間違いないと
 私たちは断定しているのです。あなたに権力欲がないと主張するなら、
 なぜ井上さんを半殺しにする必要があったのですか?」

「あれはしょうがなかったんだよ。
 マリカちゃんは私の太盛君に暴行してたんだもの。
 温厚な私でもさすがにイラっときちゃうじゃん?
 まだ殺さないだけましだと考えて欲しいんだけどな」

「井上さんの一件で、多くのボリシェビキがあなたに敵意を向けてますよ。
 井上さんはあなたが思っている以上にボリシェビキに慕われてましたからね。
 もし仮に本当に、あなたが会長の座を斎藤さんに譲ったら、復讐されると
 考えるのが普通です。あなたはそのことについてはどう思っているんですか?」

「そんなの知らないよ。だってあなたの理論だと、私に殺意を向けるのは
 斎藤マリエちゃんってことになるよね。本人がここにいるんだから
 マリエちゃんに聞いてみるのが一番だよ。
 おーいマリエちゃん。君が会長になったら私を殺すの?」

八つ裂きにしてやる……。と言いたい。
でも廊下に待機しているミウの部下が怖い。

「それは……この場では言えません」

「ってことは、本当は殺したいけど、
 何か理由があって言えないってことね?」

「なんとでも言ってください!!」

「はいはい」

ミウが茶をすする。ただ飲んでるだけなのに威圧される。
すると何かを思い出したのか手を叩いた。

「あとで聞かれるだろうから先に答えるけど、クロエさんとエリカは
 ちゃんと解放してるからね。拷問してないし監禁もしてないよ。
 ただ、太盛君と距離が近いから少し遠慮してくれるって言ったけど」

「そ、そうしたら、ふたりは何と答えたのですか?」 ←サヤカさん

「分かりましたって。なんか気の毒なくらいにおびえていたけど」

「なら!! ふたりの身の安全は今後も保証していただけると
 考えてよろしいのですね!? 二人は部にとって貴重な人材です。
 彼女らを傷つけるようなことがあれば、中央委員部が
 総力を挙げてあなたに反旗を翻しますが!!」

「だからさ。ふたりに敵意はないんだって。
 むしろ井上さんに監禁された件に同情してるんだよ。
 規則に抵触してないのに閉じ込められちゃってかわいそうだよね?」

「……どこまであなたを信じればいいのか。私にはわかりかねますが」

サヤカさんの吐息が荒い。こんなに充血した彼女の目を見るのは初めてだ。
普段は冷静ぶっているけど、実は気性の荒い人物なのかもしれない。

「話を進めるけど、花火大会の日にはオープン・スクールがあるよね?
 その日までに会長と副会長を就任させておこうか。その方が世間体が
 良いし、嫌われ者の私がやるより学園のためになるってあなたたちの
 意見には賛成。少し悲しいけど、これが現実だからね」

ミウ……。
あんたの目的が……。全然わからない。
どうしてこっちの要求を素直に聞いてくれるの……?
 
考えろ。こいつは簡単に腹の内を見せないはずだ。
何か考えがあるに違いない……。

「高野さんも賛同していただけるなら、ぜひとも。ですが、
 あなたには我々に敵意がないことを証明する義務があります。
 もし可能ならば、そこにいる斎藤さんに会長のバッジを受けわた…」

「はい、どうぞ」

サヤカさんが言い終わる前に私にバッジを手渡してくれた。

私はバッジに触れた瞬間に震えが止まらなくなった。
バッジには悪魔の魂が宿っているような感じがした。
奴の命に等しいはずのこれを渡すなんて。

「な……なんで……?」

「あなたは会長になるんでしょ? だから渡しただけだよ」

「お……おい。ミウ。あんた……本気で言ってる?」

「別に返してとは言わないから。
 はい。今からあなたが生徒会長ね」

一滴の血を流すこともなく、私は生徒会長になることに成功してしまった。
今目の前で起きていることが何なのか、未だに理解できずにいる。
頭をどんなに回転させても、次々に変化する事態に理解が追い付かないのだ。

「ついでにこれも、川口君に渡しておいて」

副会長のバッジも簡単に外してしまうのだった。
こんな簡単に……? あれだけ副会長として名を馳せたこの女が……?

「これはサヤカさんにあげるね」

今度は保安委員部の代表バッジだ。
サヤカさんは両手で受け取り、しばらくの間小刻みに震えていた。
彼女も精神的に限界が近づいているのだろう。

「それとこれも」

またサヤカさんに何かを渡した。
ミウの制服のポケットの中に折りたたんでおいた一枚の書類だ。

『7/31 花火大会の参加申込書』

参加希望者は高野ミウ。そして堀太盛。
太盛くんは重傷を負い短期入院中のため、
ミウが代筆したと備考欄に書いてある。
ちゃんとふたりの印鑑も押されている。

「太盛君の分も書いちゃったけど、形式上は問題ないよね?」
「え、ええ……問題は……ないと思われます……」
「私たちは一般生徒として申し込んだけど、受理してくれるかな?」

ふたりの所属欄には、一般生徒と書いてある。
役職名がないどころか、ボリシェビキですらない!!

「確かに……受理させていただきます……。
 いちおう……校長にも確認を取らせていただきますが……?」

「うん。じゃあ、よろしくね」

ミウはお茶を全部飲んでから帰って行った。
ぴしゃりと扉が閉められ、私たちは10分近くその場で固まっていた。


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