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作品名:学校で大人気の男子に告白されたのだけど…… 作者:なおちー

第5回   森由紀が言う「私だけ結婚できないのは世界がおかしい」
時は五月の大型連休に突入。これを令和の世では「黄金週間」と呼ぶ。
何ゆえ黄金と称すのか森教諭は疑問に感じる。彼女は26歳にて恋人無し。
昨年度は友人の結婚式に相次いで参加しみじめさを蓄積させる。

「ごきげんよう。先生様」
「新見さん……?」

イオンモウルにて見知った顔と会う。教え子の美奈は男を
連れて悦に入る。男とは別れたはずの達也である。
果たして寄りを戻したのかと思うがそこは重要ではなく、
教師の前で男女の逢引を見せつけることが我慢ならぬ。

「森先生。ご無沙汰しております」
「な……」

ホストの笑みで頭を下げる、かつての教え子。
高校生となると何もかものが洗練されて見えてしまう。
中学教諭のため中学生に目が慣れた森には新鮮で仕方がない。

デジタル紙芝居(アニメイション)の歴史で宇宙戦艦ヤマト以来の
話題作として第一にガンダム、第二にエヴァがあげられる。
エヴァのテレビジョン放送版の第弐拾四話にて渚カオルが
閃光の如く現る。この渚、目の覚めるほど容姿端麗にて
女性のファンを量産する。達也の容姿は渚に瓜二つだ。

布施達也が平和中の壱学年時に森がクラス担任を務める。
森がよく認識していた彼は齢13の小童。大人ほど背丈を伸ばし、
陰でホストとして金銭を稼ぐ達也の姿はまさしく大人の貫禄あり。

「二人とも、これから買い物に行くの?」
「携帯式電話機の売り場へ参ろうかと」
「へー。携帯を買い替えるの?」
「わたくしは、家庭の事情により携帯電話を持つ経験がないため…」
「あーはいはい。なるほどね。私も行っていいかな?」

達也が仰天する。教員が私的な時間を生徒と共に過ごす訳とは何か。

「先生様は目つきがいやらしいものですから、
 お断りさせていただきます」

「そんなぁ……」

野島電機の携帯売り場に着くと背後に視線を感じる。
森教諭の尾行は素人のそれであり、分かりやすいゆえに不快に感じる。

「先生は僕らに用でもあったりします?」
「用があるのは、あなたに……かな」

悪寒に襲われる達也。
26歳の美しき女教師は何を間違えたのか、
自分に興味を抱いていると認識せざるを得ず。

森由紀は絶世の美女と学内で定評あるも古代進以外の
男に興味を抱かぬ一途な女である。古代進に浮気され婚約が
破談になり、いよいよ相手を選ぶ余裕が失われたか。
26の年齢を考えると晩婚化の進む令和では焦るほどには思えず。

「先生。あとで食事でも一緒にどうですか?」
「え……」

美奈に悟られぬよう注意を払い、連絡先の書かれたメモを手渡す。

なんとも面妖な展開生気せり。
その日から夜に逢引を始める由紀と達也
場所は由紀のマンションとした。

「あんっあんっあんっ……あぁああんっ。やっぱり若い子は良いわぁっ……」
「先生っ……先生っ……先生はスタイル抜群でっ……何度も出したくなりますっ……」

季節は流れ6月の梅雨。この時期になると両者の夜の会合は恒例となる。
森はイケメンの顔と若く美しい肉体を求める。
達也はブヨブヨした美奈の体に飽きたため、森のしなやかな手足、
ちきれんばかりの乳房、形の整った尻に夢中になる。

最初は予防のつもりとしていた。すなわち森由紀は学童時代に
しつこく付きまとうストオカアなる者の兆しを見せた。
ストオカアは、達也が拒否をすればますますその気になり、
尾行を強める傾向にある。逆にこちらから相手にすればどうだと奇策に出る。

美奈の平安顔も脂肪のついた体も悪くないと感じた頃を懐かしむ。
一度森の体を知ると美奈の体には戻れない。

ベッドの上で熱烈に口づけをし互いの体を抱きながら
ゴロゴロと寝転がる男女。美奈さえいなければ二人は
当然の成り行きで恋人となるはずである。

「達也くぅん」
「なんですか先生」
「んもう。先生じゃなくてぇ……ユキでしょ?」
「なんだいユキ?」
「そろそろあのデブと別れてくれると嬉しいんだけどなぁ」

そうはいくか、と達也は思う。
布施家は美奈より月額10万を超える金銭的援助を受ける。
先立つもの無しに人は生きられず。
ホストを辞めた達也には美奈に依存するほかない。

「あっあっ……きもちっ……」

座った由紀を後ろから抱きしめ、ぴんと張った乳首を愛撫する。
乳首をつねるごとに雪の口から大げさな吐息が漏れる。
無防備な股の間をさする。太ももにまで愛液がこぼれている。

「由紀……感じてるの? こっちはびしょ濡れだよ」 
「いじわるぅ……さっきの話ごまかさないでよぉ…」
「俺はお金がないんだよ……」
「お金なら私が出してあげるわよぉん?」

由紀が振り向き足を絡めてきた。
由紀が彼の膝の上に腰かけ接吻する。
弾力性に富み、実に艶めかしい足を絡められると
達也は再び森由紀が欲しくて辛抱たまらなくなり、
彼女の腰を持ちながら男のものをどんどん奥へと挿入していく。

「あんあんっあんあんっ……おかしくなっちゃうぅううっ!!」
「由紀が誘惑したのが悪いんだっ……はぁはぁ……今日は生で出すからねっ……」

都合の悪いことに避妊具の予備をすでに使い切る。
成熟した大人の女の中へ精液を出し切るのはこの上のない快感で
達也は体ごと宙へ浮いてしまうのではないかと思う。

由紀は性欲の塊であり男を2回も射精させてもまだ物足りない顔をする。

「ねえねえ」「うっ……」

つい先ほど達したばかりの男のイチモツは、
雪の細い指で握られると硬さを再現する。
由紀がさらにぎゅっと握ると、
なんともいえぬ快楽から全身を脱力させる達也。

「私ともっとしたいでしょ? 
  美奈と別れてくれたら毎日させてあげてもいいのよ?」

「でも先生……俺はあの子の母親の前で誓約書まで書かされたんです」

「うふふ(´∀`*) おバカさんね。たかが紙切れ1枚の
 約束なんて破ってしまえばいいのよ。世の大人だって
 簡単に約束破ってるじゃない。政治家とかさ」

「俺は高校生になってから女たちをたくさん裏切って来たんです。
 罪悪感がないわけじゃない。これ以上罪を重ねるのは抵抗があります」

「あらあら。元ホストなのに根は真面目さんなのね。
 そんなところもステキよ。うふふ。今度はお口でしてあげるからね」

由紀が長い髪をかき上げ、だらしなく口を開いて男のモノを加える姿は
たまらなく卑猥である。またしても達也が劣情に支配され、
美奈との約束など頭の片隅にも残らなくなる。

こうして達也は由紀に調教される日々を送り、
やがて懐妊した旨をラインで送られる達也、
血の気が引き1週間の間行方をくらます。

布施家の母上は家に帰らぬ息子を心配し捜索願を出す。
後日、栃木県宇都宮市のカプセルホテルにいるところを警察に発見される。
警察署で事情を聴取せり。これが致命傷となりけり。

かつて宇宙戦艦ヤマトに乗船し地球の平和を守り抜いた英雄、森由紀。
学童にわいせつ行為をした教諭として逮捕され職を失う。

森は貯蓄の大半を使い保釈金とする。
子を産み育てるのは先立つ金が必要になるが、
自らは無職にて将来の旦那は未だ学童なり。

「貴様がわたくしの旦那の浮気相手か」

鬼の形相の新見美奈が包丁を握りしめ待ち伏せをする。
一触即発の事態なり。一切の予断を許さぬ事態なり。

これはいかんと思う森は、痴漢撃退用噴霧器(スプレイ)を美奈の
顔の前で使用し逃走を図る。森由紀は美奈の報復を警戒して
隣の県のマンションに転居する。

埼玉県の北川辺町である。小山市と同じく田園が広がり
農業が非常に盛んな地域なり。

「貴様が我が姉者を裏切りし者か」

今度は達也の番である。学校の帰りに美奈の弟者に待ち伏せされる。

「学校教諭と密会し破廉恥なる行為を繰り返した罪、万死に値せり。
 我ら憎み合う者同士、もはや言葉による問答など不要」

弟者は刀を放り投げて、これで勝負しろという。
互いに刀を握り合う。どうも偽物ではなく刃の輝きは鋭い。

「ぬわあああああ」「ほおおおおおおおおおぅ」

瞬きする間もなく決着する。蹴球が得意な達也だが刀の扱い方を心得ておらぬ。
剣技が実に達者な弟者は、達也の胸を深く突き上げる。
刀を勢いよく抜くと達也が往生し、多量の血液が流れ地面を染める。

「そのまま果てればよい」

用が済み立ち去る弟者。
12歳の誕生日を迎えたばかりの小童には思えぬ貫禄を身に着ける。
その後ろ姿、幼き日の緋村剣心の姿に酷似せり。

通行人の通報によって直ちに達也が病院へ運ばれ治療を受ける。
瀕死の重傷であり助かる見込みは万に一つもなし。
達也危篤の報を受け、美奈が治療室の前に到着する。
大粒の涙を流し達也の名前を連呼する。
その哀れさに病院関係者は涙を禁じ得ない。

まもなくして達也の妹者、七味が到着し大泣きする。
兄者は人間のクズを自覚するものの、学費を稼ぐためホストで
収入を得た時期あり。彼のすべてを悪と断ずる根拠なし。

彼女達の願いはついに通じ達也は一命をとりとめる。
刀で深く胸を刺されたため多臓器不全に加え、血液の量が
絶望的に不足する。直ちに妹者が輸血を申し出る。
美奈も申し出るが、美奈はB型。達也はA型のため認められず。

手術は六時間に及び未明になり終了する。


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