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作品名:令和10年 兄妹の物語 第二シーズン 作者:なおちー

第7回   瞳「( ゚Д゚)家電量販店って平日の朝から戦場なのね」
※ひとみん

埼玉を代表する会社といえば。

やまだうどん
しまむら

この二社くらいしか思いつきません。

「これもあるよ!!(`・ω・´)」

賢人君は、私に小さな双眼鏡を渡してくれました。

Vixen? ビクセンって読むのかしら。

「埼玉県の所沢に本社を置く天体メーカーだよ。
 天体望遠鏡のシェアが世界の23パーセントを占める。
 趣味の双眼鏡や、業務用の顕微鏡にも強いよ( ̄▽ ̄)」

「へえ。手のひらサイズなのによく見えるわね。
 戦車長の禿げた頭まではっきり見えるわ。
 あの人たちヘルメットもせずに進撃しているわ」

※実際に双眼鏡は低コスト化が極限化し、コスパは抜群。
最近の市場ではジャニオタを中心にコンサート向けの
小型双眼鏡のシェア拡大。アウトドア、旅行向けにもおすすめ。
一部の家電屋さんでも扱っています。


自動車彼歩兵部隊と化した市民は、普通に道路を横断して
お店の正面入り口に迫っていた。戦闘に関係ない
自動車たちはパニックを起こして逃げまどっている。

令和10年ではいつもの光景です。

戦車は、縦一直線に並んで、お店の正面陣地へ差し掛かりました。
そこは地雷原となっているので、
戦車のキャタピラーが吹き飛ぶことでしょう。

装甲の厚い戦車の後ろには、装甲車と突撃法が並んでいます。
まだ発砲しないので、そのまま直進するつもりなのでしょうか。

「あっ(;´∀`)」

戦車の一台が火を噴きました。
がくん、と音がして、片側のキャタピラーが外れてしまいました。
地雷を踏んだのでしょう。
むき出しになった車輪から白い煙が上がっています。

これはまずいと、戦車の上部ハッチが開いて、
中から戦車長たちがよじ登ってきます。
白髪の老人ばかりです。

「う…」 「がは……」 

彼らは頭を戦車から出した瞬間に撃ち殺されました。
まさに一瞬の出来事です。

ヤマダ側には熟練のスナイパーがいたようです。
余計な弾薬は使わずに、相手の頭だけを狙って殺す。
まさに合理的です。

ブオオオオン

ギエリギrビリぎギギギギギギgりぎいりぎちっギリギリg

動けなくなった戦車をどかすように、後続の戦車が
そのまま塹壕陣地へ突っ込んできます。
戦車を縦一直線に並べた理由は、地雷原の
一点だけ集中して突破するためのようですね。

ずどおおん 

お店側の大砲が、水平方向に発射されました。
戦車の胴体に当たって、明後日の方向へ跳ね返されました。
その弾が近くに有るビルに直撃し、大火災を起こしています。

どうやら戦車の装甲は硬く、お店の大砲では倒せないようです。

各塹壕の機関銃が一斉に火を噴きますが、戦車相手に
機関銃の球を打っても威嚇にしかなりません。
弾は全て装甲が跳ね返してしまうのです。

「あのままではお店に入られてしまうわ(=゚ω゚)」
「まだ希望はあるよ(;゚Д゚)」

勇気ある店員の一人が、火炎放射器を持って塹壕から出て来た。
そして戦車の横へ回り込み、一気に火を噴いた。

「だだぁあぁぁっぁあぁぁぁぁぁぁぁ」
「パマギーチェ!! パマギーーィ!!」

これにはたまらず、戦車の乗員が火だるまとなって戦車から出て来た。
そこへ機関銃の猛射。とどめを刺した。

一方、火炎放射器を持った店員も「う……」
後続の戦車の機銃にお腹を打たれて絶命した。

「こんなの見て何になるの。
 令和10年が地獄なのはよく伝わったわ」

「ひとみさん。俺たちは令和十年を生きている。
 この現実から目を背けてはいけないんだ」

私の未来の夫は、双眼鏡を固く握りしめている。
彼の頬を涙が伝う。双眼鏡越しでは見えないけど、
泣いているの……?

先ほどから進撃を続けている、2両目の戦車の装甲は硬い。
10は通常の大砲を食らっても装甲が跳ね返し、
迫撃砲と重機関銃も効かない。

戦車はついにお店の自動ドアの目前まで迫る。
そこには7つの塹壕陣地があるが、そのうちの一つに
戦車と後続の突撃法が狙いをつけ、一斉に大砲を発射した。

ずどおおん

粉砕されたコンクリが、宙へ跳ねた。
土嚢の土、人の右腕らしきものも、散らばった。

塹壕の弾薬庫に直撃したのか、火災が発生し黒煙が宙を覆う。

戦車は、同じように別の塹壕へも狙いをつけ、大砲を発射する。
また、粉々になった塹壕が宙へ高く飛んだ。
弾薬の煙を巻き上げ、重傷を負った店員の悲鳴があがる。
すでに息絶えた者の死体がそこへ残される。血だまりだ。

戦車に寄る突撃は、他の塹壕陣地に衝撃を与えた。
たまらず発狂した店員が、自ら外へ飛び出て、戦車のハッチを空けようと
よじ登ろうとする。手にした手りゅう弾を戦車の内部へ放り込むのだ。

そうすると、後ろにいる装甲車からはイイ的だ。
装甲車の機銃でハチの巣にされて息絶えてしまう。
その人は副店長のバッチを付けていた。
52歳で高校3年生と1年生の娘がいる、ごく普通の父親だった。

(この音を聞いてると頭がおかしくなりそう……
 小売店に比べたらペンタックはどれだけ天国だったことか。
 私達はまだまだ世間知らずだったってことなのね)

(副店長さんがついに戦死したか。
 若林さんは無事なんだろうか。
 死体には茶髪の男性の死体も含まれているようだ)

Auf die Plätze, Fertig, Los…
アフトゥング!! ロース!! ロス ロース!!!!

装甲車の後ろに隠れていた武装市民が一斉に展開した。

70過ぎの男性老人。
50代の茶髪の主婦。
小学生の女の子二人。姉妹?
スーツを着た20代の男性リーマン。
ヤマト運輸の制服を着た、あんちゃん。
この作品の作者(30代の男性)
20代のスタイル抜群の女性看護師。
アニオタの男性(萌え)
ジャニオタの中年女性(平成ジャンプ)
農家のご老人の皆さん。

今回の決起に参加した歩兵はこんなにいたのね……。
なんか福岡で見たことのある男性もいるけど気のせいかしら。

恐るべきことに、彼ら歩兵は
それぞれがパンツァー・ファウストを装備している。
片膝をつき、肩に背負ったそれを一斉に残りの塹壕陣地へ放った。

火力の一点集中。残りの塹壕は全て破壊され、
内部構造物と人体が空高く舞った。

正面陣地ががら空きになった。
そのすきに、一台の戦車が店内への侵入に成功。
ついにヤマダ電機の防衛ラインが破られたのだ。

といっても、迫撃砲と野砲舞台はいまだに健在。
そこへ歩兵部隊が、勇敢にもピストルや
包丁やスコップを片手に肉薄攻撃を仕掛ける。

超近接戦闘では迫撃砲弾や野砲は役に立ちません。
野砲部隊らは、陣地を放棄せずそのまま迎え撃った。
素手での殺し合いである。

小学生の女の子が包丁で大人の背中を刺してる。
ゲームでも見れなそうなおぞましい光景である。
70代の老人は、衰えて震える手でピストルの週準を付けている。
50代の主婦、は突撃をした瞬間に撃ちたれて床にふせている。
出血がひどいが、まだ息がある。

そのすきに戦車、装甲車、突撃砲は店内へ侵入を果たした。
店長以下、中にとどまっていた店員は形勢不利として
地下の脱出路から逃げてしまった。

これでお店を守るものは何もないのだ。
武装集団はお店の中で略奪の限りを尽くした。
戦車の中に詰めるだけの家電を詰め込み、普通に帰って行く。
駐車場からお店の正面までの陣地はまさしく戦場跡なのだ。
無数の遺棄された死体、武器や銃弾、塹壕の残骸が残されている。

店内では状況を絶望視し、拳銃で頭を撃って自殺した人もいます。
あれもいつか誰かがきれいに掃除をするのだろうか。
この無意味な戦いで散った命を誰がどうやって救ってあげられるのか。

これが令和10年。消費税率34%で物価の変動なく、賃金水準は
埼玉県の平均が250円。公的年金支給額は、第二号被保険者で月660円。

私、坂上瞳のように生まれながらにしてお金に困らない人で
なければ、お店に対し略奪をしなければ生活の糧が得られないのだ。

「娘のプレステ4をゲットしたどおお!!(´Д`)」

若いリーマン男性は、なんと幼稚園児の娘さんのために
ゲーム機を手に入れるため、この決死行に参加したとのこと。

「お義母さんのために新しいエアコンをゲットしたわ!!゚(゚´Д`゚)゚」

同居してる旦那の母の介護のため、長年勤めたパートを辞めた主婦の人だ。
壊れたエアコンを買い替えるお金の余裕がなかったそうだ。
でも設置はどうするのか

「タブレットとソニーのイヤホンをゲット(∩´∀`)∩」
「あたしは弟と一緒に遊ぶためのゲームソフト(∩´∀`)∩」

小学生の女の子二人は、奇跡的にも生き残っていました。
遊ぶためのおもちゃをママにねだったが、
「うちにはそんな余裕ないからヤマダ電機でも襲撃してきなさい」
と言われ、今回の決死行に参加したとのこと。

この二人は「まりちゃん」「いずみちゃん」と言って、このあと
この小説にわき役として登場するそうです。なんと双子だとか。


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