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作品名:令和10年 兄妹の物語 第二シーズン 作者:なおちー

第6回   瞳「 (*´ω`) 賢人とデートするのは初めてね」
※ひとみん

今日はペンタックがお休みで本当に感謝しているわ。
きっと普段から主へお祈りをささげてるおかげね。

団地から歩いて7分の所に大きな公園がある。
沼の周りを全集5.7キロの遊歩道が囲む。

田舎だけにそれなりに大きな公園なのだ。
埼玉県の北部は関東平野の一角で、広大な湿原がある。
今でこそ開拓が進んだけど、大昔は広大な田園と葦(あし)に
覆われていたそうよ。そのため沼がそこら中にある。

湿原と言えば、かつてソ連の中核をなしていた国に
ベラルーシがある。ベラ(白い)ルーシ(ロシア)。
別名湿原の民。ちなみにポーランドは平地の国という意。

「 (^○^) 本当に埼玉県は山がないよね。父部以外は」
「賢人君は山とか興味ある?」
「あるある。どっちかというと海に憧れる。海が見たい」
「私も海行きたい。潮風を浴びてみたいわ (*^▽^*)」

県外の読者さんには意外に思われるかもしれません。
日本にある内陸県はたったの8県。その中に埼玉も含まれています。
私達の周囲には山がないどころか、海もないのです。
したがって私たちにとって海は貴重です。
観光した時以外は見ることができませんからね。

その分、津波や土砂災害がありませんから、
日本で一番安全な場所に住んでいるとも言えますけどね。

「ひとみんとお散歩楽しいな(^○^)
 今日は曇りだから熱くないし、お散歩日和だ」

賢人君はうきうきして私と手を繋いで歩いています。
私たちって仲良し!!! ( ・´ー・`)

美雪が見たらきっと嫉妬するだろうな。ざまーみろ。
今ごろ大学で堅苦しい経営学でも学んでるんでしょうね。
何が株式投資よ。利口ぶって馬鹿みたい。
あんなのいつか大損して後悔するんでしょ。

「ひとみん。のどかわいた (^○^)」

「(*^▽^*) あらそうなの。
 あそこの自販機でジュースを買いましょうね」

賢人君は普段から歩き慣れてるのか、3キロ歩き続けても
疲れた様子がないのが意外だった。普段からジョギングと
各種筋トレをしてる私なら連続で7キロくらい歩いた頃に
少し疲れた感じるレベルだけどね。

「コカコーラでいいかしら?」
「うん (^○^)」

少し違和感が( ゚Д゚)

「賢人って炭酸水は苦手じゃなかった?
 会社では毎日水筒の水を飲んでいるようだけど」

「だってコカコーラ(米国)は、美雪の保有している銘柄だからさ (^○^)」

「ふーん (* ̄- ̄)」

はい、でましたぁ。これで何度目でしょうか。
私をイラつかせるワード『美雪』『いもうと』『株式』

なんで!? ねえ、なんで!?
私と2人っきりでデートしてる時に妹のことを口にするの!?
そのワードは禁句!! 押してはいけない核ミサイルのスイッチ!!
私の怒りは絶校長…じゃなくて最高潮に達する!!

「ち、ちがうんだよヒトミさん!!Σ(゚Д゚)」

私はまだ何も言ってません。
ただうつむいて震えてるだけです。
私の顔から全てを察してくれたのかな?

「俺は瞳のことが大好きだ!! 嘘じゃない!!
 ほら。これでも信じてくれないのかい?」

彼は私のおててをぎゅっと握り、きすしました 

そんなんで騙され…

「俺は誓うよ。二度と君と二人でいる時に美雪の名前を出さないって。
 俺には瞳さんだけいれば、他の女なんていらない。
 瞳だけいてくれればそれでいい。だって君は俺の妻になるんだから」

「(´∀`*)ポッ」

どうせ口から出まかせだと分かっていても、
胸が熱くなるセリフね。そこらの独身の女が、
彼の顔と声で口説かれたらイチコロでしょうね。
彼の声って楽器みたいに素敵なのよ。

彼の顔も好きだけど、声はもっと好き。

「ひとみ。好きだぁ!!( ゚Д゚)」

今度は私をぎゅっと抱きしめてくれました。

もう (´ー`)
セリフだけは男っぽいんだから。

しょうがいない。今回だけは許してあげようかな。

「おや (;・∀・)」

賢人がコカコーラを飲みながら唖然としています。

それもそのはず。この公園は芝の面積が大ききので
多目的運動場としても利用されます。
そして釣り人やバードウォッチングをしてる人など、
老人が多いのですが、様々な人がいます。

沼の中心部には、浮島弁天という名の、小さな神社みたい
のがあるんですが、そこで不審な人物たちが集会を開いていました。

『各員整列せよ。今次作戦の襲撃予定時刻は、開店と同時の
 10:00とする。作戦決行までの間に、各種装備の最終点検をせよ』

隊長の命令に部下たちが敬礼をします。

どうやら近くのお店を襲撃するために集まった、
武装戦闘集団のようです。
平日の朝から暇人ですよね。

「ひとみん(;゚Д゚)  あいつらの話を聞いたかい?
 最寄りのヤマダ電機を襲撃するつもりだ」

「山田がダメなら、ケーズ(電気)で買えばいいじゃない」

「だ、ダメだ、山田じゃないとダメなんだ。
 株主優待券があるんだ」

※ヤマダ電機の株主優待券
100株持ってるだけで年間で3000円の割引券。
2年以上保有していると5000円くらいに増える(たぶん)
燃えないゴミが多い日本株の中では、配当・優待利回りの高い優良株。
実は筆者も保有している。

「(*^▽^*)あらそうなの。賢人ったらお母さまから
 優待券をもらっていたのね。以前お母さまに
 ポートフォリオを見せていただいた時には
 ヤマダの株なんてなかったけど」

「母さんは、実はあれとは別に500万円分くらい
 優待銘柄をたくさん持っていたんだ。
 すかいらーくHDとか吉野谷とか外食ばっかりだったよ」

「(* ̄- ̄)ふ〜ん。日本株が生ごみの集まりって
 言ってた割には持っているのね」

「優待銘柄を保有してるって子供たちに話すのが
 恥ずかしかったみたいだ。桐谷さん(著名な投資家)だって
 たくさん持ってるんだから、恥ずかしがらなくていいのにね」


ギリギリリr キャリキャリ、ガタタガタガタガタ どどどどど

公園の広場には、戦車と装甲車と突撃砲が集結しています。
いつもの光景だから何とも思いません。武装した市民が
戦車に給湯をしたり、内部の清掃から点検をしています。

それにしても今日は数が多いですね。
軍用車だけでざっと20を超えます。
武装集団も上が70代から、下が小学生までいます。
混成舞台ですか。

短機関銃、軽機関銃、手りゅう弾、物騒な物ばかりが
芝の上に並んでいます。

「金融庁の発表した老後の資金問題のせいだよ(;´・ω・)
 見てくれ。あんな小さな子供まで電気屋さんを
 襲撃するために武装している」

小学生低学年の女の子が、相手の戦車を一撃で
再起不能にできるパンツァー・ファウストを手にしています。
かつてナチスが使った簡易ロケットランチャーなのです。

「これから夏場で暑くなる。各家庭に設置するエアコン、
 扇風機、サーキュレーターなどの買うにしても、
 お金がないから奪うしかない。お店の方も
 それが分かっているから、お店を要塞化する」

ヤマダ電機は各店舗がお客の襲撃に備えて防備を固めています。

私達が行こうとしている、
テックランド久喜店の武装は下記のとおりです。

コンクリの塹壕陣地 ×7  重機関銃多数(弾薬1億発)
お店入り口前の地雷原 ×13  内蔵された地雷 4百超 
20から30口径の野砲 ×21   弾薬 2万発
迫撃砲  ×11   弾薬 5千発

スーパー・カスミと同じく店回りは5メートルの厚さの
コンクリで補強されており、正面以外の侵入は不可能。
お客を迎え撃つこの正面陣地は、高度に軍事化されている。

射撃訓練を受けた店員は、男女合わせて54名。
店長と副店長が中心となって客を迎え撃つ。
久喜店では、家電の他にも日用雑貨売り場も入っていますので
店員の数は多いのです。

店員の犠牲がでた時に備えて、お店の倉庫の一部は
医療施設となっています。持久戦に備えて
地下通路を利用して弾薬の補給が可能。

「(;´・ω・)令和10年の電気屋さんは地獄だね。
 子供の教育費や税金を覗いた家計の消費支出で、
 一番大きいのが家。次に車。その次が家電製品だ」

消費税率34%。物価の変動なし。
月あたりの年金支給額は、手取り660円。

これで襲撃するなというほうが無理な話ね。
お金のないはずの市民がどうやって戦車を手に入れたのかしら。

お店側も経営が大変だと思うんだけど、
迫撃砲とかどうやって買ってるのよ。
あと弾薬多すぎない?

「ひとみさん。俺はヤマダの株主優待券500円×5枚を、
 なんとかして使ってみたいんだ」

「お店で買い物するのは不可能よ。
 あそこはまもなく戦場と化すわ」

「店員の若林さんが死んじゃう(>_<)」

「若林さん?」

誰ヨ。わかばやしさんって。まさか女の名前なんじゃ…。

「男の店員さんだよ。
 俺が大学時代にお世話になった人なんだ゚(゚´Д`゚)゚」

彼はヘッドホンやウォークマンに凝っていた時に、
色々相談に乗ってもらっていたそうね。
茶髪ですごくチャラい感じの人だから、
店内のあだ名がチャラ林さん。

明るくて販売成績を上げるために嘘をつかない人だから、
安心して買い物ができたそうよ。

「別に買い物ができなくてもいいから、
 お店の様子だけを遠くから見に行こうよぉ (>_<)」

「(* ̄- ̄)何言ってるのよ。
 戦車の主砲とか飛んでくるから危ないでしょ」

「それでも気になるんだぁ (>_<)
 遠くから見てるだけでもいいからさぁ」

「しょうがないわねぇ。遠くから見るだけよ (^_^)」

「うん (^○^)」

私達は最寄りのファッションセンター・しまむらに行きました。
なぜしまむらなのか? しまむらの二階の駐車場からなら
ヤマダ電機の駐車場が一望できるからなのです。
少し長くなったので次の話に行きます。


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