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作品名:令和10年 兄妹の物語 第二シーズン 作者:なおちー

第5回   賢人「今日は会社は休みなのか:;(∩´﹏`∩);:」
※賢人

6月19日。水曜日の早朝。

時刻は6時前。

美雪は先に家を出たようだ。
俺に毎日お弁当を作っていたのに、今日だけは作ってくれなかった。
俺がペンタックに勤めてから美雪のお弁当なしなのは初めてだ。

美雪は朝ご飯を食べた形跡もないが、
出先で何が食べるつもりなんだろうか。

「けんとくぅーん (。・ω・。)ノ♡」
「おはよ。ひとみさん (;・∀・)」
「さん、じゃなくて、ひとみでしょ? (*^▽^*)」
「ひとみ (*´ε`*)チュッチュ」

(●´Д`)ε`○) 俺たちは朝一から自然とキスをした。
喧嘩のアと仲直りしてからは以前よりも仲良しだ。

瞳さんはすっぴんでも20代と変わらぬ肌をしてるから、
朝から余裕で抱くことができるレベルだ。平日だからしないけどな。

これにて俺と瞳が結ばれたようなものだから、
そろそろこの物語を終わらせてもらってもいいかな?

『本日ペンタックはお休みです』

玄関には不審な張り紙がしてあった。
前も似たようなパターンがあったのは気のせいか。

「ペンタックがお休みってあり得るのかしら」

「この張り紙がフェイクだったら困るよね。
 無断欠勤したら拷問されちゃうから慎重に考えないと」

・フェイク

最近の政治を見ると、防衛省が秋田県への
イージス・アショアの導入に際して
山の高さを適当に測量して問題になった。
なんと調査員が現地に調査に行かず、グーグルアースで
傾斜角度を計算してしまい、しかもそれが大幅に間違っていたのだ。

総務省、厚労省を初め、もはや自民党の各省庁は
フェイクデータを作るのが仕事の一部となってしまっている。

麻生大臣は、件の年金について金融庁が独自に出した試算結果を
怪文書として受け取らなかった。2019年夏の参議院選挙が終わるまで
黙ってろとメディアの前で本音を漏らしたそうだ。
自民にとって都合の悪いデータは『フェイク』扱い。
まさに嘘つき内閣ここに極まれり。

国会での質疑は、野党による小学生レベルの揚げ足取りに終始する。
こんな低レベルの政治で国が良くなるわけがない。
この作品を読んで国会中継に興味を持った人は、
画面に投げつける用のポテチなどを用意するのをお勧めする。
絶対にイライラするから。

「現実世界の話はそれくらいにしましょう。
 私達は令和10年を生きているのだから (*^▽^*)」

「そうだね ヽ(^o^)丿」

「今パパにメールしたら本当に今日はお休みみたいよ。
 正確にはペンタック北関東工場(埼玉北部)がね (*^▽^*)」

「まじかΣ(゚Д゚)」

平日に休めるなんてラッキー!!
昨日も16時間勤務で疲れてるから一日寝て過ごすか。

「せっかくだから買い出しに行きましょう(≧∇≦)」
「買い出しって?(゚Д゚)」
「扇風機とか家電よ。あと調理器具。フライパンとか」

調理器具なら炊飯器もまな板も包丁もあるけど、
よく見るとフライパンがないな。俺たちは日曜の夜に
引っ越したばかりで日用品が不足していた。

瞳さんが気を利かせて通販で必要最低限の物を
取り寄せてくれたようだが、まだまだ足りないものがある。

「まだ開店まで時間があるわね(*^▽^*)」

家電量販店やホームセンターは10時開店だ。
俺たちは朝起きたばかりで6時過ぎだ。それまで暇だな。

「ご飯は炊いてあるから、朝ごはんを食べましょうか (*^▽^*)」
「ちょっと待って、今メールが」

美雪『お兄ちゃん。私の見てないところで
   瞳といちゃついてたら殺すから(#^ω^)』

さすが俺の妹だ。文章だけで震えが止まらなくなるぜ。

「私と話してる時にどうして余計なものを読んでいるの」

瞳は俺から携帯を取り上げ、電気ポットの中に入れてしまった。

は……? (;´・ω

ちょっと待ってくれ!!
俺は今さらっと描写したが、俺の携帯が?!!????!?!?!

電気ポットの中に入った……だと!!?!!???!?!?

電気ポットは95度で保温されている。

つまり俺のスマートフォン(アンドロイド)は、
「おしゃか」になっちまったってことなのか!!!

「食材が何もないから、おかずなしの朝ごはんになっちゃうわね (*^▽^*)」

ちょっと待ってくれ。

「退屈だからテレビでも見ながら、ってテレビもまだないのね (⋈◍>◡<◍)
 賢人はさっきから変な顔して立ち尽くしてるけど、どうかしたの?」

むしろ、あなたがどうかしましたか?
どうなってるんですか?
先ほど僕の携帯を釈迦様にしたことは全力スルーですか。
そうですか(# ゚Д゚)

210円の派遣社員にとってスマホがどんだけ貴重だと思ってるんだ。
美雪と同居する時に新しいのに変えたばかりだから、
使い始めて3か月しか経ってねえ。前使ってたのは
イヤホン端子が壊れて音が出なくなっちまったんで買い換えたんだ。

美雪は「お兄ちゃんのためだから (⋈◍>◡<◍)。✧♡」と言って
なんと一括で買ってくれたのだ。スマホって定額だと8万以上するんだぞ……

これこそ弁当を捨てられたこと以上に美雪に言い訳できねえ蛮行じゃねえか。
マジで朝からストレスやばいよ。どこの世界の女に
人様のスマホを『電気ポットへ投下』する奴がいるのよ。ギネス記録だよ。

「ご飯盛ったわよ。早く食べましょ? (*^▽^*)」
「うん」

俺は瞳と何を話したのか覚えてない。
こんなに味気のない食事は何年ぶりだろう。

歯磨きした後、トイレにこもって音もなく泣いた。
美雪との思い出を一瞬でぶち壊されてしまったことが
何より悲しかった。

ただ妹のメールを読んだだけなのに。
それだけで瞳さんにとってそこまで許せないことなのか?
俺が逆の立場だったら絶対にやらないぞ。
これから結婚する人に嫌われるようなことしてメリットあるのかよ。

「賢人のスマホ、壊れちゃったわよ (^^♪」

ほどよく熱せられ、水浸しになった俺のスマホを
瞳がお箸でつかんでいた。

「(*^▽^*) 私ったら最近ボケてるのか、不注意であなたの
 スマホを電気ポットの中に落としちゃったのよ。
 ちょうどいいから新しいのを買いに行きましょうか」

「えっと。俺はお金が」

「お金のことなら心配しないでって第三話で説明したはずよ。
 あなたの欲しい物は、今後全部私が買ってあげるわ。
 私とお揃いの携帯、スマホケースにしましょう
 (∩´∀`)∩」

瞳さんのケースってキラキラした乙女チックなのだ。
俺が持つには激しく抵抗がある……(;´・ω・)

「ごめんなさい。やっぱり正直に話すわ。
 私は賢人が妹さんとメールしてるだけでイラつくのよ。
 女のジェラシーね。ジェラシー。ジェラる。ジェラったのよ」

ジェラるってどんな日本語だよ。
最近の若者の間で流行ってるのか?
俺はテレビ見ない派だから知らんが。

「私みたいな女は、やっぱり嫌?」
「(´・ω`・)エッ?」

「(*^▽^*) 賢人って考えてることが全部顔に出てるもの。
 本当は今すぐここから逃げ出したいんでしょ?」

「そ、そんなことないよ。俺は君と結婚するって誓ったんだ。
 俺のことを一生金銭面で助けてくれるんだろ?」

「(*^▽^*) もちろんやくそくするわ。ねえ。だからね。
 仲直りしましょうよ」

「仲直りって…」

(^ε^)-☆Chu!! (●´Д`)ε`○)

歯を磨いておいてよかった。
俺は不意打ちのキスを食らった。

キスしたまではまだよかった。
瞳は悔しそうに歯を食いしばった後、
涙をぽろぽろとこぼすのだった。

「ごめんねぇ (ノД`)・゜・。 本当はあなたの携帯を
 お湯につからせるつもりなんてなかったの!! 
 でもムカついて自分で自分を抑えきれなくなっちゃうの。
 お願いだから嫌いにならないでぇ!!
 賢人のこと大好きなの、大好きだから美雪に嫉妬しちゃうのよぉ!!」

「俺の方こそごめんね。瞳を不安にばっかりさせてる俺が悪いんだ」

「賢人お願い。めんどくさい女だって思われてるのは知ってる。
 それでも嫌いにならないでええええ!!
 お願いよぉお賢人ぉおおお!! 賢人ぉおおお!!」

「ダイジョブ。嫌いにならないよ。
 瞳の俺に対する愛は十分に伝わっているから。ね?」

ムカつくけど、女としては極上の美人なんだよなぁ。
髪からいい香りがする…。
この甘ったるくて男を安心させる匂いはフェロモンなのかな。

「うわあああああああああああああああ!!
 賢人に嫌われたくないよぉおお!!」

「大丈夫。大丈夫だから」

瞳を抱きしめ、泣き止むのを待つのみだ。
言っちゃ悪いが、鼻水がすごいぞ……
30過ぎの女のマジ泣きってのも珍しい光景だ。
妹の美雪とは病み方の質が違うんだな……

「賢人。好きよ」
「俺もだよ。ヒトミ」

ようやく落ち着いたようだ。

不思議とキス以上のことをこの人は求めてこなかった。
今なら美雪がいないから、まさかと思って身構えたが、
節度はわきまえてるのだろうか。女ならさすがに
朝からそういう気持ちにはならないか。

俺たちはスマホで今日買うべき家具や家電などを
調べながら、世間話をして時間をつぶした。

9時過ぎになり、近所の森林公園を散歩してから
家電量販店へ行く流れになった。


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