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作品名:令和10年 兄妹の物語 第二シーズン 作者:なおちー

第3回   瞳「賢人が泣いてる(≧∇≦)」
※ひとみん

前話の首相の演説はまさしく最低でした。
史上最低の演説でした。

この世界の労働者は生活費が足らず、
消費者金融や銀行カードローンで
借金をして生活をしています。個々人の平均の
負債残高は2000万から6000万と言われています。
しかも金利が14%から21%。つまり一生返せません。

あの演説は、今までギリギリのところで
努力して頑張って来た労働者に死を宣告したのに等しい。

(´・ω:;.:... 賢人はORZになり、
子供のように泣いています。

やっぱり死んだほうが良いと口にしています。
気持ちは分かるけどね。私だってパパから
生活費を支給されていなかったら自殺していたと思う。

「賢人はお金の心配はしなくていいのよ」

私は彼の頬にキスしました
(*´ε`*) Σ(゚Д゚) あっ…

「生活費は今まで通り父に出してもらうわ。
 父は会社の経営者で資本家よ。
 私と結婚すればあなたも勝ち組に入れるの」

今まで私は金持ちなことを絶対に自慢したくなかった。
けど今は金持ちを武器にしてでも彼を口説かないといけない。
私の目的は彼と夫婦になること。そして夫婦関係を
一生涯継続すること。ただそれだけなの。
今の私には賢人以外の人間は視界に入らない。

「ひ、瞳と結婚すればお金に困らないのか」
「そうよ。だから自殺なんて考えなくていいの」

よしよし ヾ(・ω・`)
(*´Д`) あ…

賢人の顔、かわいい (≧∇≦)(・∀・)!!

ほらね。最後はお金よ。
生きていくのに一番必要なのは…

旦那ですか? 愛する子供ですか? 一軒家ですか?  

違いますよね。

『お金』です (∩´∀`)∩

この作品では第1シーズンから
お金の大切さを繰り返し述べてきました。

これは何も小説の設定ではなく、現実そのものです。

『金』のない奴は将来死ぬ。野垂れ死ぬ。
政府も自治体も友人知人も会社も誰も
助けてくれない。

最後は……死ぬ!!!!!ヽ(^o^)丿

「賢人は今は若いからいいけど、
 将来病気や怪我で動けなくなる時が来るわよ。
 そんな時に病院に行くお金もない状態で死にたいの?
 (*^▽^*)」

「う、うう(;´∀`) 確かにそれは困る」

「(*^▽^*) すごく苦しいでしょうね。誰も助けてくれないのに
 治療費を払うお金もないんじゃ。ご飯も自分で
 作れない。買い物にも行けない。確実に飢え死にね」

「飢え死に…」

「飢えて死ぬ。これがどれだけ悲惨か分かる?
 じわじわと、生まれてきたことを後悔しながら
 思考力を日々奪われ、腕や足も上がらず、
 毎日食べ物のことを考えながら死んでいくのよ」

「い、いやだぁ。死にたくないよぉ。
 死ぬのは怖いよぉ (>_<)」

「うふふふ。(´∀`*) ウフフフフフフ」

――でも大丈夫よ

(゚д゚)!え?

「賢人は私の夫になるんだから (´∀`*)
 私は夫を一生金銭面で支えると今この場で誓うわ (*^▽^*)」

私達は、時給210円のブラック企業勤務。
ブラック企業とは、営業利益を稼ぐために
極限まで人件費をカットするクソ企業。

その手の企業は売上金を従業員に還元しないんだから、
内部留保金を大量に保有している。特に製造業に多い。

経営が苦しい外食産業などと違い、
私の会社(ペンタック)は主要な取引先が
ファースト・リテイリングなので大儲け。
ファーストリ(略)は東証一部の時価総額ランキングでも
ベスト8に入る優良企業。業績絶好調。

私はパパから年間の生活費他を受け取っていますが、
その源泉となっているのはブラック企業の売上金の
一部なのです。

こう考えてください。
私を含めて多くの従業員が奴隷にされている一方、
パパの会社の剰余金は私に流れてくる。
つまり私は会社の経営が傾かない限りは、
一生飢えることがないのです。

前作で散々書きましたが、私は個人資産の総額が
1000万を超えていまして、毎月の給料は
使い道がないので全額貯金してます。

さらに母から毎月お小遣いを5万円もらっています。
もはや会社で働いてるふりをしているニートとも呼べます。

冷静に考えたら、私ってかなりのお金持ちだったのね。

(∩´∀`)∩ ニート、ばんじゃーい

「瞳さぁん。助けてくれぇ :;(∩´&#65103;`∩);:
 さっきまで冷たい態度を取ったことは謝るよ」

「そんなの全然気ににしなくていいのよ。
 私も悪かったんだから、お互い様ってことで仲直りましょう。
 それにお金のことは大丈夫だって言ってるでしょ? (。・ω・。)ノ」

「((((;゚Д゚)))) ガクガクブルブル」
「こんなに震えちゃって。かわいー (´∀`*)ウフフ」

首相の演説のおかげで私寄りの展開へ変わりました。
グッジョブ!!!!! (∩´∀`)∩

賢人は一生私に縋り付かなければ
生きていけないのです。

これにてこの物語自体に終止符を打とうと思いましたが。

「(´・ω`・) 冷静に考えると、美雪も株をたくさん
 持ってるじゃないか…」

問題はそこです。
美雪さんは外貨建ての資産とはいえ、
現物株式で1億円を超える資産を保有しています。
しかも長期投資のための高配当銘柄で無駄がない。

資産は渋谷家の父から譲渡されたものです。
説明すると一話丸ごと使うことになるので、
くわしくは前作(第1シーズン)を参照してください。

美雪さんは何もしなくても勝手に配当金が入ってきます。
外国株式は日本株より多く課税されますが、
それでも手取りで240万はくだらないでしょう。
(日本円での換算は、その時の為替レートにもよりますが)

「美雪も俺を一生守ってくれるって言ったんだ (;´・ω・)」

「賢人。こう考えてみなさい (; ・`д・´)
 この会社での雇用はどうするの?
 賢人は…まあないでしょうけど、仮に万が一
 私を振ったりしたらこの会社を首になるわ」

「首になるの? Σ(゚Д゚)」

「私とあなたの婚約は会社の規則になっているから。
 規則違反の人は銃殺刑なんだけど、最低でも首になるわ」

「首になったら転職か……」

「今は令和10年。転職はうまくいかないわよ」

「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」

転職したらどうなるのか。

まず派遣会社の営業に怒られる。
就業先のペンタックに迷惑を掛けたとして、
天井から宙づりにされ、
顔面が変形するまで殴打される。

転職先をあっせんするのは派遣会社の仕事。
紹介される会社はさらなるブラック。

直射日光を浴びながらの建築現場での作業。
作業員の6割は外人です。原発の作業員。
現実世界でも借金の額が多い人が優先的に配置されます。
上にあげた仕事は平均して時給400円です。

時給230円で三交代の医療介護のお仕事。
一日の労働時間は14時間を超えるため、
実質二交代なのに募集要項は三交代です。

外食店では人手不足によりワンオペが横行。
さらに食料品店、ドラッグストア、家電量販店は
お金のないお客によって毎日襲撃されています。

戦車、装甲車、突撃法による攻撃を毎日
かわしながらの接客業です。平均時給210円。
こんな仕事をやりたい人はまずいないでしょう。

賢人の登録してる派遣会社は、製造だけでなく
事務やエンジニアなど幅広い職種を保有しています。
システムエンジニアやプログラマーなら
一日の労働時間が19時間が基本です。

時給は500円とかなりの高収入ですが、
勤務を始めて14日以内に病気になる人が大半。
無理な納期に追われ、発狂してビルの屋上から
飛び降りる人が後を絶ちません。

これらの就業先に共通するのは、会社に許可なく
遅刻早退欠勤を繰り返す人は拷問の末、銃殺刑になること。

「ひとみさん。やっぱり助けて ゚(゚´Д`゚)゚。」

「ええ (´∀`*) 助けてあげるわ。
 ただし、結婚してくれたらね ( ・´ー・`)」 

「分かりました (*・ω・)(*-ω-)」

「あら嬉しい (*^▽^*)
 ようやく素直になってくれたのね」

今の会話をスマホで録音しておいたわ。
あとで会社の本部に送信すれば公式記録として残る。

勝った!!! (*´▽`*)

これで渋谷美雪に勝ったわ!!! (∩´∀`)∩

どんな方法であれ、結婚すればこっちのものヨ!!
私たちの婚姻関係をペンタックの法律化してしまえば、
賢人を私の私物にすることすら……可能 ( ・´ー・`)

もう賢人は私を振ることもできない。
私の夫でいることを拒否する権利もない。
ついに目標の第一段階を達成した!!!!

あとで彼の苗字を坂上に変えておくわ。
坂上賢人。良い響きね。偏差値が3くらい上がりそうよ。

「あ・な・た (&#8904;&#9677;>&#9697;<&#9677;)。&#10023;&#9825;
 そろそろ職場に戻りましょうか。
 お昼休みが終わってから48分も経過してしまったわ」

「うん (^○^)」

問題は彼と今後も婚姻関係を継続することよ。
私は絶対に他の若者みたいに離婚しないんだから ( ・´ー・`)


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