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作品名:令和10年 兄妹の物語 第二シーズン 作者:なおちー

第21回   かんぽ生命とは何か
令和元年 7月の末。
金融庁の調査により、かんぽ生命による保険詐欺の
犠牲者が、少なくとも16万件はくだらないことが発覚。

販売を行ったのは、郵便局(日本郵政)である
執筆時点で被保険者3000万人の保険内容の確認を行っているそうだ。
実に国民の4人に1人が被保険者だったことに筆者は驚愕する。

今から書く内容は筆者の日記帳に過ぎない。
本当につまらないので暇な人だけ読んで欲しい。

★★ ★★


ぼく「かんぽ生命がバカやったんだって。ひでーよな金融機関は」
母「ほんとうねぇヽ(^o^)」
ぼく「母さんも郵便局の満期保険がもうすぐおりるんだよね」
母「(^○^)そうねぇ。令和3年までの契約になってるわ」
ぼく「ん? 郵便局…」
母「私の保険は、かんぽ生命よ(^○^)」
ぼく「そんなバナナ\(^o^)/」


なんと、私の母がかんぽ生命の貯蓄型保険に加入していたのである。
いわゆる入院保障を厚くするための典型的なゴミ保険である。
金額は100万円。10年満期の保険だから、10年国債を買ったのと同じである。
金利はご存知の通りゴミカスだ。

母はすでに県民共済(JA)の掛け捨て型に加入しており、
その他公的保険(医療費三割負担)(高額療養費制度)が存在するのに、
実質3重の保険に加入していたことになる。無駄な費用ここに極まれり。

そこまではいい。

問題はここだ。

ぼく「かんぽ生命は勝手に顧客の保険内容を変更しているんだぞ!!」
母「そーらしーわねー(^ω^) でもぉ。私の保険はたぶん大丈夫よぉ(^^♪」

独身時代は都市銀に10年も務めていた経験から
金融機関の裏側も知ってるんだろうに、
なぜ根拠のない自信を持っているのか。大いに謎である。

この保険金の元本は、私の母のお金ではない。
私の祖母が10年前に亡くなり、かんぽ生命の保険がおりたときに
母が代理で受け取り、そのまま10年の更新をしたのだ。

つまり実質ご先祖様のお金といえる。責任重大である。

僕の姉「大問題やぞ!!」

姉も、吠えた。

姉「母さんの入ってる保険ってかんぽ生命やったの!? 
  なんでもっと早く言わなかったんや!!」

母「郵便局で販売してる保険と言ったらかんぽ。
  これは昭和の常識よぉ(∩´∀`)∩」

姉「そんなん平成育ちの私らは知らんわ!!」
ぼく「俺もしらねえよ。てか、まじでやばいだろ」


かんぽ生命は、顧客の保険内容を割高の保険に勝手に切り替えたり、
保険期間を勝手に10年延長、無保険期間を最大で4か月も作ってしまうなど、
戦後の日本が未だかつて経験したことのない悪事を続けていた。

悪事を始めたのは5年前。つまり2013の時点で
こっそり保険内容を書き換えが行われていたのだ。

その他の保険会社は、顧客に外貨建ての保険を勧めている。
外貨とは、国際通貨として劣悪な(信用度が最も低い)
リラ(トルコ)ランド(南アフリカ共和国)のものである。

まず、契約手数料。外国為替取引手数料、運用手数料その他だけで
8万から9万も取られる恐れがあるとのこと。外国為替の
恐ろしさはこの小説の第一シーズンで伝えたが、
あれは米ドルに対しての恐ろしさであって、

ランドやリラは、当該政府の債務不履行のリスクが極めて高い
レベルの『世界有数の危険通貨』に対するFXなのである。
当然満期までの間に為替差損が、元本にもよるが、数十万から百万単位で発生する。

・リスクマネジメント

我が家のマネジメントは、たとえ可能性の低い事案でも常に最悪の事態を想定する。

仮に母の保険が、円建てでなく外貨建てで、仮にリラ建ての10年保険に
変えられていたとする。2013年の外国為替で100万円分のリラに両替、
現在までに保有していたとしたら、地方議会選挙でエルドアン大統領が
苦戦を強いられ、またEUから負債の債務不履行のリスクが指摘され、
リラの金利が急上昇していることが報じられている昨今では非常にまずい。

母「なによぉ。この通貨は( ゚Д゚)ハァ?
  外貨建ては困るわぁ(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾いますぐ解約して頂戴( ˘ω˘ )」

かんぽ「わかりました」

中途解約手数料が発生(通常手数料。外国為替取引手数料(リラから円への両替のこと))

さらにその時のリラ・エン相場によって金額が決まる。これが差金決済である。
仮に母の100万が、70万に代わっててもおかしくない。そのうえで手数料も取られるのである。

身近な実例といて、姉の友達の旦那さんは理系の技術者なのだが、
外貨の恐ろしさを理解できずに、証券マンの勧められるままに
USドル建ての保険に入ってしまった。当時1ドル114円と今に比べて大変に
円安であり、プロの投資家連中でさえ両替(TTB)を控える時期である。

彼の保険元本はなんと400万。
参考までに、執筆時点では円相場が1ドル106円65銭まで円高になってしまった。
今ごろ彼の資産はかなり減っていることであろう。

なぜここまで円高なのか。端的に言ってトランプ相場である。
(2019年の9月に対中・第四次・追加関税発動の声明が報じられた)

ドナルド・トランプが中国いじめを継続する限り、
世界の市場関係者に動揺が走り、株やUSドルを売って
安全資産としての円とスイスフランが買われる流れは止まらないのだ。


夕食の時に親父殿に報告をすると、

親父殿「100万の保険が、最悪半分無くなってるかもしれない? 
    あーそれは大変だな(∩´∀`)∩」

ぼく「もっと騒がないの?」

親父殿「正直うちがいくら金持ってるのか知らねえし、
    保険とか難しくて内容が分かりずらいんだよな(;´∀`)」

姉「親父。お気楽すぎてワロタ(;^ω^)」

親父殿「お金のことはお母さんに任せてある。
    まあ君達(子供達)も大人だから、母さんを手伝ってあげてくれ」

ぼく「聞いてくれ。保険が外貨建てに変えられている可能性だってあるんだぞ!!」

親父殿「外貨建て? なんだそりゃ」

姉「かくかくしかじか_( _´ω`)_」

親父殿「( ゚Д゚)おー。それはまずいなぁ。最近の保険会社はどうなってんだよ。
    俺が若い時のかんぽ生命はそんなんじゃなかったんだぞ。
    嘘じゃねえんだろうな? 今でも信じられねえな」

親父殿は不思議な人で、お金に対して執着心がないのである。
なにせ家の総資産額すら興味がなく、実際に知らないらしい。
気の毒なのでこの前こっそり教えたのだが、すぐに忘れてしまったそうだ。

親父殿「うちの家は無駄遣いしねえのが美徳だな」

ぼく(おやじどの……)

定年退職して何年も経つが、家が貧乏だと思っているようで
本当にお金を使わない。

親父殿「普段から俺の財布には1500円しか入ってねえぞ」

床屋に行ったり、スーパーの買い物を頼まれた時、
音楽の友の会?にお出かけする時だけ母からわずかなお小遣いをもらう。
親父殿の財布の中身が3千円を超えるのは、旅行に行く時くらいである。

独身時代から溜めたお金も全部妻に渡してしまい、
自分の預金口座の暗証番号すらすっかり忘れ、
銀行名すら良く分かってない。
ついに人生の最終盤に差し掛かっても
妻に全てのお金を渡してしまって満足している。

筆者の母のお金の管理は完璧で、例の保険以外に全くスキがない。
確かに夫からしたら賢い妻に管理を任せるのは合理的ともいえるが、それにしても……

親父殿「楽器は新品で買うのは高いから、中古で十分だな」

ハードオフで初心者用のエレキギター、
エレクトリックピアノを揃え、それで満足している。

自分の趣味など、お金を掛けるべきではない。それは贅沢だ。
それなのに子供の学費は将来への投資だと考えてて、
子供二人を私立の4年制大学に入れてくれた。奨学金ではない。

2歳違いの子供なので在学期間が二年も重なり、
『家計を万力で締め付けるかの如く』圧迫した。
私立大は半年ごとに50万の学費を振り込むのである。
それが二人だと100万になる。

母「私立大学の学費シャレにならないわ。
  結婚後初めて貯金を切り崩しての生活が始まったわ。
  さすがにちょっと苦しくなってきたわね(;'∀')」

ぼく(まじでやべーぞ)

それを見かねた、当時生きていた祖母も
私の学費の一部を負担してくれた。感謝の言葉もない。

大学3年の時。

親父殿「おい息子よ」
ぼく「なんだい?」

親父「母さんに聞いたんだがな、我が家でおまえさんが
   一番お金を使ってないことが判明した。
   そんなんじゃ人生詰まんねえだろ。
   お小遣いが欲しかったら母さんに言っていいぞ」

私の同級生は過半数が奨学金だった。
仲の良い友達も奨学金で大学時近くにアパートを借りて生活していた。
私は親に学費を出してもらえるだけでありがたいのである。
高校も大変に優雅な私立だったのだ。無駄遣いなどできるわけがない。

私は大学に通う電車の中でも親への感謝の気持ちを忘れずにいた。
そうしたら質素を通り越してケチになってしまった。

買い物といったら、立川駅北口のモノレール駅に隣接している
紀伊国屋書店で買う漫画とラノベだけだった。
あとPCが壊れた時は買い換えてもらった。そのくらいだ。

本は大学の図書館で読み漁り、質素倹約を続けた。
およそ学生らしくない性格だっただろう。
だが私は生きているだけで幸せなのである。

小さい頃は……

「おかーさん(´ρ`) おもちゃ買ってぇ」
「はいはい。(^○^) あれが欲しいのね?」

こんな感じでほぼ無制限におもちゃを買ってもらえたので、その反動だろう。
高校の時にいかに自分が今までの人生で無駄なお金を使っていたのか悟り、猛省した。

母は結婚後は銀行から離れ、近所の電子系の工場でパートして働いていた。
母曰く「工場の仕事は頭の容量を2割だけ使えば勤まるから楽ねぇ(^○^)」
と言っていた……。

頭の容量の2割って……。

夫の給料を生活費に、自分の給料はなんと全額子供のおもちゃ代のための
費用として計算し、それでも着実に貯金を増やしていったのだ……。

親父殿「子供におもちゃ買い過ぎじゃねえのか…?」
母「全然大丈夫よぉ(^○^)」
祖母「子供に甘すぎじゃ。もっとお金を大切にしろ」
母「だから問題ないんだって(*´ω`)」

本当に大丈夫だったのだから笑える。

我が家の歴史は古く、400年も同じ場所に住んでいる。
先祖代々から受け継いだ広大な農地と畑があるので
食費の部分は相当に節約できる。管理費を差し引いても
一年間食べる米は、ほぼ無料なのだ。農地は4400坪ほどだ。
野菜も基本は自家栽培だ。

さらに住宅は、祖父の代で農地の半分を売却して
捻出したお金で一括で購入。住居費がないのだ。
まさに令和10年の渋谷家の設定のモトネタとなっている。
住居費がタダなのは学園生活の高野家でも既出の設定だ。

祖母「絶対にローンを組むな。金融機関に金利を払うな。
   質素倹約に貯蓄に励め。貧乏な人にお金を渡しても
   あてにされるだけだから絶対にあげるな」

我が家の家訓にもなっている祖母の言葉である。

ささやかだが、生前の祖父祖母の年金と軍事恩給もあった。
そのうえで母は、自分の給料は子供の無駄遣いのための
お金として考えて問題ないと判断したのだ。

私は自分が宇宙一の大馬鹿なのだと正しく理解し、
今後二度とお金の無駄遣いをしないと先祖と神に誓った。

高校、大学時代に親戚一同からもらえるお年玉を貯金し、
生活費として使ってほしいと頼んで母に渡したものだ。
そうしたら、最近になって1円も使ってないことが判明した。
私の郵貯の口座に26万も入っていて、さすがに驚愕した。

母「だって生活に必要なかったんだもん(^○^)」

なんと……。

社会人になってから母にわずかな生活費を入れていたのだが、

母「(∩´∀`)∩
  あなたからもらったお金は生活に必要ないから、
  JAの積み立て年金口座に入れておいたわよ」

なんと……。

「JA個人年金保険」変動金利型。満期は被保険者が60歳。
25歳から月1万ずつ積み立てて累計440万まで溜まる。
60歳から5年の間、月8万おりる口座に入れてくれたらしい。

母「政府がマクロ経済スライドとか発動してるし、
  年金支給開始年齢の段階的な引き上げをしてるんだから
  子供ちゃんたちが老人になった時の不足分(60〜65歳)
  を補填してあげるのよぉ(*´▽`*)」

感謝……!! 圧倒的、感謝……!!(カイジ)

母が10年来不要と判断した現金は保険などの金融商品に変えられるのだ。

というか私の差し出したお金は生活に必要なかったのか。

母「子供ちゃん達が大学を出てからは嘘みたいに生活が楽になったわねえ。
  (((o(*゚▽゚*)o)))」

ふたを開けてみると、結婚後ずっと右肩上がりで上昇していた貯蓄額が、
大学在学期間中だけ減っていく。つまり家計収支が初めて赤字になって驚いただけ。
そもそも総額がそれなりにある上に、祖母からの援助もあり、まだまだ余裕があった。

母「もし妹か弟がいるとしても、あと一人くらいなら大学に出せるわよ」

なんと……。

母「次の問題は老後の生活ね。
  (∩´∀`)∩ 政府にしっかりと年金を払ってもらいたいわ」

母は年金に関しては菅政権の公約がウソ(60歳から最低でも7万支給)
だったことにさすがにプチ切れし、(^_^メ)←こんな感じ。
二度と自民党以外に投票しないことにしている。

私の母は大変におっとりした性格で品があり、若い時から親戚の男性から
大人気だったのだ。細かい気配りは得意でお金の使い方は完璧なのだ。

偉大すら通り越した祖父、祖母の代から受け継いだ資産を
この人は一部のスキもなく管理してくれたのだ!!

感謝……!! ただ感謝……!! そしてご先祖様に土下座する……!!


親父殿「令和元年になっても日本の経済はやばいらしいなぁ。
    東証一部企業で首になった人たち、かわいそうだよな。
    俺は世間に迷惑を掛けずに、ご隠居生活を送れればそれで十分だ(´_ゝ`)」

姉「ふーん。爺は死ぬまでケチなんだね。
  ま、あたしらにお金が残るからいいけどさ」

ご自身が死ぬまで質素で良いのだろうか。
気の毒が過ぎるので、私の給料からお小遣いとして4万を差し出したことがある。

親父殿「新品のギターでも買えだって? 
    おっ、通販で良いのが売ってるな。
    たまには無駄遣いしてみるか(∩´∀`)∩」

『サウンド・ハウス』楽器通販最大手でエレキを一本注文した。
それだけである。こんなので親孝行になるのか。
もっと高いのを買ってあげればよかったか。

親父殿「これの上のランクのギターだと8万とか10万もしちまうよ( ゚Д゚)
     そんな高いのは俺みたいな貧乏人には不釣り合いだ。
     やめろやめろ。俺に渡す金があったら食料品にでも回してくれ」

それ以降は何度お小遣いをあげようとしても、
受け取ろうとしてくれないのでこっちが諦めた。

休日に近所のとりせん(北関東にあるスーパーで私のお気に入り)で
出来合いの総菜やお弁当を買ってきてあげると

親父殿「おお。これはご馳走だ(∩´∀`)∩」
と言って美味しそうに食べるのだった。
350円のお弁当がご馳走なのだろうか…( ノД`)シクシク…

別の日。あれは今年の梅雨時だったろうか。

親父殿「俺のレコーダーの容量がいっぱいになっちまった」
ぼく「え?」

楽器の演奏を記録するための、手のひらサイズのICレコーダーだ。
ソニー製。SDカードの容量が8ギガでいっぱいになってしまったようだ。
一度録音した音は消したくないとのことで、追加でSDカードが
欲しいとのこと。

私は姉から渡されたビッグカメラ(コジマ電気の親会社)の
優待券を握りしめ、光の速さでSDカードを買ってきた。

焦り過ぎたせいで財布を玄関に忘れてしまい、
途中で気づいて家にすぐ戻った。
コジマ電気で売っている中で一番容量の有る36ギガを選ぶ。

親父殿「優待券を使っても3千円もしたのかよ。わりいなぁ」

私が数年前のデノンのオーディオ(ミニコンポ。セットで4万)と
ヤマハのサブウーファーを(計6万5千円)
買った時に言われたことがある。

親父殿「こんな高いの買ったら、おまえお金なくなっちまっただろ。
    お金が必要なら、あとでお母さんにもらいなさい」

確かにデフレ下の日本で4万は高価かもしれないが、
私のお小遣いの範囲で買ったのである。

なんでこの程度の買い物をしただけで
お金がなくなったと思われるのか。実に不思議な発想をされる方である。

母「(*'▽')あなた。本当にお金を使わないのねぇ」
親父殿「まあな。俺は今の状況に満足してるからよ(´っ・ω・)っ」

母「定年退職した人は高いオーディオとか買うのよ。
  あなたの音楽部屋にある、そのおもちゃで本当に満足なのかしら(゜-゜)」

なんと、親父殿の音楽室には、私が高校生の時に買ってもらった
ミニコンポのスピーカーがある。本体(レシーバーが)が壊れたので
スピーカー部だけを父に渡したのだが、なんとスピーカーだけは
未だに現役なのだった。

学生が買うレベルの製品である。
これではおもちゃと言われても仕方ない。

親父殿「壊れない限りは使うつもりだぞ!! ( ・´ー・`)」
母「あはは。まあうちのお金は助かるけど(;・∀・)」

私は母とこっそりと話し合い、オンキヨー製で定評のある製品、
フルセットで22万円のオーディオセットを父にプレゼントする計画を立てた。
オンキヨーは人の声の帯域(中高音域)の再生に定評がある。
親父殿が好む演歌や歌謡曲も素晴らしい音で鳴らすことであろう。

夕食時に提案すると、

「そんな高いのいらねえよ(>_<) いいからやめろ。マジでいらねえから」

一瞬で終わる。

普段から質素倹約を心掛け、無駄遣いはせず、
自分の退職金も使い道がないと言って
妻に全額あげてしまったお方である。

退職金は4年かけて我が家の屋敷全体のリフォーム代として
母が綺麗に使い切った。庭が広いと管理も大変なのである。

親父殿は、離れで楽器の練習、夕方には畑仕事を
するなどして体を鍛え、優雅なご隠居生活を送ってらっしゃる。
決して稼ぎの良い方ではなかったが、子供たちには十分なお金を残してくれた。

2014年。

姉「へいマミー。現金を持ってても低金利で増えないし、
  そもそも銀行が信用できないから銀行預金するのが苦痛。
  てわけで株式投資を始めるから☆」

母「えー(;゚Д゚)」

姉「始めるから。キラ☆彡」

母「(´・ω・)株式投資は高度なのよぉ。ちゃんとできるの?
  お金が減っても大丈夫なように安全資産でやるのよ」

姉「うん」

なんと姉は今まで溜めた銀行預金を全額株式投資に回し
アベノミクス相場で180万以上の資産を増やすことに成功した。
今では個人資産額の80%をドル建ての株でNY証券取引所に置いている。

我が家の有価証券の6割を一人で保有してる。
現金預金大嫌いの女性投資家である。

姉「あんたも投資やれよ」
ぼく「え……」

そんなこんなで私も始めたのだ。
私は現金をため込んでドヤ顔するだけで十分だったのだが、
実際に投資をやってみると毎日相場が変動して刺激的であり、
世の中の味方が変わって面白い。

姉「雑誌に載っている銘柄を買っておいたらお金が増えた―!!」

母「あら、すごいわねー(*^▽^*) 1年間で税引き後144万も入ったのね」

※アベノミクス相場の2017年はボーナス・ステージです。
つまりド素人が投資しても8割儲かる、戦後稀に見る強気相場でした。

ぼく「俺も少額だが始めて見たぞ。おおっ。見てくれ。
    半年かけて積み立てしたんだ。
    俺の日本株と米国株は合計で135万円の価値があるぞ!!」

母「ぷぷっ( ̄m ̄〃)!」

ぼく「え?」

母「たかが百万くらいで投資してるって言えるのぉ?
  息子ちゃんたら可愛いー ( ̄m ̄〃)クスクス」

ぼく「いや、今デフレで不景気だし、100万も投資するなんて
   十分大事だと思うんだが。最初はすげえ勇気いったぞ」

母「株式投資は最低でも2000万くらい安全資産のある人が
  やるべきなのに……投資元本がたかが百万ちょっとじゃねえ……。
  銀行の投資窓口にくる人は億とか普通に持っていたわよ」

ぼく「ぐぬぬ……まだ貯金があるから、もう少し投資元本を増やしてるよ」

母「がんばってねー(&#2669;&#2369;´・ω・`)&#2669;&#2369;&#8318;&#8318;」

---

姉「NISA(非課税枠のこと)の範囲を増やしたいから、
  株式投資するためのお小遣い頂戴」

母「今さらお小遣いって。いくらほしいのよ」

姉「100万」

母「ひゃくまん!?Σ(゚Д゚)」

姉「私の口座じゃなくてマミーの証券口座を開くの。
  運用は私がやるからお金だけ入れてくれればおk」

その後、さすがにもめた。

母は一か月かけても首を縦に振ってくれなかったのだが、
株主優待銘柄で相場の変動がほとんどないものを買うだけだと
説得され、ついにお金を渡してくれた。

母「最悪100万程度なら全損しても我慢してあげるわよ( &#728;ω&#728; )
   現物取引なら資産額がゼロになることは、まずありえないけどね」

姉「ご安心ください。信用取引、先物取引、FXは一切やりません。
  投機はカスです。株の現物取引のみです」

株主優待は6月や12月に自宅に送られてくる。
姉は吉野家の優待券などを母に渡すのだが、あんまり満足していなかった。

母「外食はあんまり興味ないけど、銀行預金のゴミみたいな金利よりは
  よっぽどましね。わずかだけど配当金も入るから株式投資も面白いわね。
  それより旅行に行きたいんだけどなー」

姉「家族旅行はもちろん計画するから任せて」

それから時は過ぎ。2019年。

姉「米国株の銘柄が増えすぎて把握できない\(^o^)/」

銘柄だけで25前後。給料を全額株に回していることもあり、
投資元本もそれなりの額になった。
日本人ネットブロガーにして米国株投資家の、
『バフェット太郎』を師として配当金・再配当投資をしているのだ。

太郎氏は近年まれにみる賢者で長期の資産運用家である。
個人資産総額はすでに6000万を超えるらしい。
興味のある人はぜひ彼のブログや本を読んで欲しい。

姉は10銘柄程度に絞れとの常識を守らず、
リスク分散のために25以上の銘柄を買いまくっている。

日本株だけでも一時期30銘柄もあった。個人で投資する分としては
銘柄をむやみに分散させすぎて訳が分からなくなっている。

筆者が財務分析の手伝いをしようとしたら、さすがに企業数が
多すぎて骨が折れる。しかも外国の企業は色々と複雑だ。
金でも貰わないと簡易版の決算書類でさえ
読む気になれないほどである。

姉「母の口座、あんたが管理してくれると助かる」

ぼく「お、おう」

姉「もう二年近く管理してないから(>_<)」

ぼく「そんなに長い間放置してたのかよ:;(∩´&#65103;`∩);:」

そういうわけで母の口座をお借りした。
親のお金である。もっと言えば先祖のお金である。責任は重大だ。

投資元本が100万だったのを、どんな魔法を使ったのか
姉がさらに50万も増やして150万に。一時期180万まで
相場が上がったのだが、トランプ相場で年明けから大幅な下落。

資産総額140万程度の評価となっていたと思う。
銘柄は、いかにもマネー雑誌を見て買ったような
不動産銘柄が多い。財務分析をしたら長期で見て
資金繰りが苦しそうな、投資不適格株ばかりで唖然とした。

ただちに25万もの損を計上しながら総額60万近い不動産銘柄などを売り払い、
ドコモ、キャノン、伊藤忠などの優良銘柄に切りかえる作戦を立てる。

私が購入を検討した銘柄は8社もあり、日本を代表する
大型株が多く、最低購入単位(100株)で15万から32万円もするのだ。

(たとえばドコモは株主優待でなく配当金を年に1万2千円
 も払ってくれる素晴らしい企業だ)

そうなると

ぼく「(;・∀・) 金(買い付け余力)が足りねえ」

私の溜めたお金は、数年かけて自分の証券口座に積み立てる予定なので余裕がない。
しかし、配当金投資をするためには、今年度の下げ相場で
安値で買い付けを行わないともったいない。
そもそも株を買わないと年2回の配当金が入らないから機会損失だ。

ぼく「母さん。配当金投資をするのにポートフォリオの整理が必要だ。
   できれば50万ほど貸してくれると助かるよ…」

母「どの会社の株を買うか決めてるのぉ?」

ぼく「決算書をよく読んで選んだ、長期保有して
   問題がない大型株ばかりだ。もう小型株へは投資しない。
   優待品じゃなくて配当金が入ってくる銘柄をだね……」

母「うんうん。よく考えてるのね。お金出してもいーわよ」

ぼく「いいの!?」

母「どうせ現金預金しても増えることがないから(・´з`・)
   それと優待はいらないわ。だって用途が限られるじゃない。
    決まったお店でしか使えないでしょ。
    クオカードをもらっても、そもそもコンビニに寄らないのよ」

ぼく「そうそう。だからこそ配当金投資だよね」

母「うんうん(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)
  現金でもらったほうが助かるわね」


そして現在も株の運用をしている。震えながら。

長期の配当金投資だから、
相場の変動に一喜一憂するのは無意味だと頭では分かってはいても、
トランプの第四次追加関税の発動、
増税前の不安心理により日経平均が底知らずに下がっていく。

私の口座の資産評価額が変わるのは構わない。
どうせ私が稼いだお金だからだ。

なぜ私が母の口座を管理しているのか今でも理由がよくわからないが、
こっちの証券口座の時価評価額が減っていくと、なんだか
ご先祖様から受け継いだ資産の一部を無駄にしている気がして、
土下座したい気分になる。


母「今年は50万あげたわね。来年はさらに100万積み立てられるからね」

ぼく「え……」

母「10年の満期保険がね、二年以内に166万円おりるわ」

ぼく「なんだってー」

郵貯(かんぽ生命)に100万
JAの保険が     66万

となっているらしい。これらは我が家の生活に向こう
10年以上必要ないお金なので全額投資に回せるのだ。
これぞ生活に支障のない範囲での投資である。

郵貯の貯蓄型保険は、祖母から受け継いだお金であり
まさに先祖のお金である。

かんぽ生命に100万置いてる。

これが、問題なのである。


----------------------------

話が冒頭に戻る。簡保の件である。

平日は会社勤務の私を覗き、
母と姉が郵便局を襲撃するつもりで保険内容の確認に行くと、

郵便局の担当者(バカ)
「ええー。保険内容を解約したいんですかぁ(>_<)
 どうしてですかぁ。満期まで1年6か月もあるじゃないですかぁ;つД`) 」

女の担当だったようだが、このような話し方だったらしい。
あれほどの大惨事が報じられていながら、なんだこの口調は。
筆者が直接聞いていたら、ぶん殴っていたかもしれない。

担当者(偏差値27)
「だーかーら。お母さまの保険内容はご覧の契約になってます(&#8904;&#9677;>&#9697;<&#9677;)。&#10023;&#9825;
 ほら。契約内容に変更ないでしょ? うふふ。お客さまったら
 せっかちさん☆ なんだからぁ(*´ω`)」

姉(ぶっころしてえ。腹パン食らわせてえ……(^_^メ))

担当者(小学校卒業程度の学力)
「保険内容は医療報酬がこんなに充実してるんですよぉ(≧∇≦)
 どうですぅ。すごいでしょぉ。高齢の方なら
  どんな人でも納得しちゃうような、素晴らしい特約がたぁくさん!!」

姉 「(;゚Д゚) だめやこのアホ。一方的に保険内容を説明するばかりで
  お客の要望なんか聞いちゃおらんわ。金融窓口ってどんだけ腐った組織なん」

母「(~_~メ) 金融機関は信用によって成り立っているのに。
  自分から信用を失うんじゃ本末転倒ねぇ。しかも勧誘が必死過ぎ。
  バブルの頃はこんなに頼み込まなくてもお客はすんなり契約してくれたからね」

姉「昭和のバブルはお客が騙されてどんだけ無駄な契約してたの!!」

母「そういう時代だったから、仕方ないわね」

契約内容の簡易書類をもらう。
仮に中途解約をしても100万と9千円が戻ってくるので元本割れはしてないことが判明。
ありがたいことに? 日本円で戻ってくるのだ。

帰宅後

姉「すでに手数料が9万円も引かれとるがな!!
  やっぱり保険会社は詐欺やクソや!! ぶっころしたるわ!!」

ぼく「生保はクソ!! 販売委託を受けた郵政もくそ!!
   過剰なノルマでお客の要望を無視して無理やり売りつけた!!」

姉「契約は即解約!! 中途解約待ったなし!!(&#2669;&#2369;´・ω・`)&#2669;&#2369;&#8318;&#8318;」

母「この保険は、満期まで保有するわよ(゜-゜)」

姉「Σ( ̄ロ ̄lll) なにー?」 
ぼく「Σ( ̄ロ ̄lll) なぜに?」

母「金融庁の是正勧告を受けた直後だし、郵便局の社長が
  謝罪会見をしたばかりだから、あと一年半は大丈夫でしょう」

満期だと109万円になって戻ってくるらしいのだが……。
筆者は日本の全ての金融機関が信用できない。
郵便局もかんぽ生命も大嫌いである。

実際に悪さをしたのはかんぽ生命なので
郵便局の非は少なくなる。そう思えるかもしれないが、それは違う。

販売を任されたのは郵便局であり、実際に顧客と
顔を合わせて販売したのは、上に書いたような低能な担当者らである。
過剰な営業ノルマによって、保険内容が不適当な顧客に
対しても無理やり売りつけた。これが詐欺の入り口である。

そもそも無理やり売らなければ詐欺も発生しない。
民法を適用しても十二分に郵便局にも責任が有ると判断されるだろう。

我が家の簡保の保険は、もともとは祖母のお金である。
かんぽ生命と郵便局は、私のご先祖様のお金に
『元本割れのリスク』を生じさせた。

これは、我が家の先祖様に対して戦争を仕掛けたと
同等の蛮行であり、断じて容認することができない。

したがって私はこのやり場のない怒りを鎮めるために、
次の話で郵便局とかんぽ生命に対し、軍事攻撃を仕掛けることにした。


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