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作品名:令和10年 兄妹の物語 第二シーズン 作者:なおちー

第20回   美雪「賢人……そろそろこの小説終わりにしよう」
美雪は冷え性なのだが、暑がりの賢人に配慮して
エアコンの除湿を強めに設定した。

深夜の3時である。
瞳と賢人は実に一時間近くも茶の番をしていたのだ。

美雪は清潔なシーツの上に寝そべり。賢人も隣に来るように言った。
いつもの添い寝である。美雪のまくらは彼の腕である。
賢人はペンタックがストで休みの間に、趣味の筋トレ(腕立て伏せ)を
増やしたのでいつもよりも筋肉の量が増している。痩せマッチョである。

「お布団かけよ?」 「おう」

厚手の掛布団をかける。どう見ても夫婦や恋人同士のやり取りだが、
これでもこの二人の関係は兄弟なのである。無理があるだろう。

「お兄ちゃん。もう怒らないからさっきのこと初めから全部話して」
「分かったよ」

賢人は説明するよりも前話を読んでくれた方が早いと判断し。
スマホを手渡した。美雪は前半の文章を読んでは笑い、
中盤の「賢人は瞳を女として意識してない」で爆笑し、
終盤の賢人のラブシーンで歯ぎしりした。

「さっきは怒鳴っちゃってごめんね(。・ω・。)ノ♡
 やっぱり賢人は何も悪くないってことが分かった。
 私のこと愛してくれてるってことも伝わったよ。
 (⋈◍>◡<◍)。✧♡」

「(;゚Д゚)」

「お兄ちゃんは私のこと愛してるんだよね?」

「(;´∀`)」

「お兄ちゃん?」

「(;^ω^)」

「どうして顔文字だけで何も答えてくれないの?」

これが昼ドラやラノベならさっさと次の展開に行くのだろうが、
賢人の心境は穏やかではない。瞳の胸を触ってる時に
邪魔をされてしまったのだ。レースで例えると
スタートダッシュと同時にエンストしてしまい、消化不良なのである。

(もう瞳のことしか頭にない。瞳と最後までやりたい)

賢人は瞳をメスとして意識してしまったので、
今すぐ彼女の部屋に突撃したくて仕方なかった。

美雪は賢人のアソコが不自然に戦闘状態になっていることを
確認し、大いに焦った。女のカンで兄の脳内が
瞳お姉さんで占められているのを悟ってしまう。

(胸なら私の方が…)

美雪は急いでブラを外して、賢人に胸を見せつけた。

(*´Д`)ハァハァ 
やはりでかい。瞳とは比べ物にならない。
賢人はたまらず妹の胸に顔を押し付けた。

妹とはいえ、年下の女の子の胸に吸い付くのは不思議な気持ちだった。
今までいたずら半分で触っていたこの子の胸だが、顔を近づけるのは
初めてだったので大いに興奮した。しかも形が良くて弾力がある。

女性の身体の柔らかさは男性にはない要素だから
男性側は誰だって興奮してしまうのだ。多くの男性がガリガリより
ふくよかな女性を好むのは、安産性の他に触り心地もあるのだ。

「 (*´Д`)ハァハァ 美雪の胸、大きいぞ」
「賢人ぉ……舌がくすぐったくて声が出ちゃうよぉ」
「ちゅ (*´ε`*)チュッチュ」
「あ……ん……んっ……賢人ぉ……」
(これ以上本格的に描写してしまうと、ただの官能小説になるので控える)

(でもなんか違うんだよなぁ_( _´ω`)_)

賢人はそう思った。
つい先ほどの瞳は人間とは思えないほど美しかった。

あのサラサラな髪の毛の手触り、ふんわりとした匂いをまとう。
白くて血色の良い肌。日ごろの運動の成果で本当に肌がきめ細かく若い。
さらに不思議とすっぴんだとエロさが増すのだ。
もうヒステリーなんてどうでもいい。

たとえ胸は小さくても。
賢人が今一番味わってみたいのはあっちの胸だった。

「ちょっとトイレに」

賢人は美雪のことなど放置して部屋を出て行ってしまった。

「賢人、どこに行くのぉ!!」

美雪が追ってこれないように、締めたドアノブを怪力でへし折ってしまった。
直すのに最低でも10分はかかるだろう。
10分もあれば十分だった。

瞳の部屋に直行するが、脱ぎ捨てた服があるだけで誰もいない。

何があったのかと廊下を走ると、トイレの前にいた。
瞳は裸のまま体育座りをしてシクシク泣いていた。

「;つД`) やっぱり最後は妹に取られちゃうんだ……。
 もういいよ。生きてるの疲れた。どうせ私なんて
 生きてても価値ないし、いっそ死のう……」

「勝手に死なれたら困るよ」

「えっΣ(゚Д゚) けんとくん……?」

「俺の許可なく勝手に死ぬなんて許さないぞ。
 俺はさっきの続きをするために戻って来たんだ」

賢人は瞳をお姫様抱っこし、部屋に連れ戻した。
今度はちゃんと布団の上に押し倒し、また熱いキスを始めた。

「賢人くぅん(^ε^) もっとちょーだい」

「ああ、いくらでもキスしてやるよ。
 おまえは俺のものだからな、ひとみ
 (`・ω・´)←イケメン」

瞳の両手首をしっかり握り、抵抗できないように押し倒した。
そんなことしなくても瞳は抵抗する気などいないのが。

『お兄ちゃぁあああん お兄ちゃ嗚呼あああああああああん!!』

廊下から悲鳴に近い怒声が響いている。
壊れたドアノブの扉を暴力的に叩きまくっており、
もはや道路工事並みの騒音であった。

これでは雰囲気がぶち壊しだが、もうどうでもよかった。

賢人は瞳の胸に乱暴に吸い付き、乳首を吸い上げた。
瞳は彼の体の下で体をよじり、体が熱くなって
色っぽい息を吐くのだった。

賢人はいよいよ辛抱たまらなくなって、
すべての服を一瞬で脱ぎ捨ててしまうのだった。

「瞳。覚悟はできてるんだよね?」

「もちろんよ。あの妹に私たちの関係を見せつけてやりましょう」

事後。

およそ8分程度の時間だったが、二人には十分な時間だった。
さっさと終わらせて満足したのは賢人だけ。瞳は痛いだけでただ怖かった。
とにかく事は終わった。

互いに初めての経験だった。まさに初夜と呼ぶにふさわしい。

疲れて瞳の隣で果てている彼を、扉をぶち壊した妹の美雪が発見し、
もはや人語とは思えない声で発狂した。

「sかおdじゃおしdじゃおいjださでょあしでゃおいsだsplまwldfd」

裸で汗ばんだ二人。独特の匂い。そしてシーツを染める処女の鮮血。
美雪の脳は現実を受け入れることを拒否し、ついに気絶してしまう。

賢人と瞳は交代でお風呂でシャワーを浴びてから一緒の部屋で寝た。
妹の美雪は彼女の布団まで運んであげた。白目をむいて泡を吹いているので
精神的に相当にまずい状態なのは間違いない。

こんなカオスで彼ら三人は次の朝を迎えたのだった。



今日もペンタックは休みである。
賢人と瞳は早起きなので5時半と同時に目覚まし(スマホ)が鳴り、
洗顔や身支度を始める。賢人は昨夜、獣の本能のままに瞳の体を
乱暴に扱ったことを猛省していた。

「(´∀`*)ウフフ 私なら大丈夫よ。家事は普通にできるわ」

「( ゚Д゚) でも歩き方が痛そうな感じだよ。
 朝の支度は俺がするから君はベッドで休んでいて」

なおも無理をしそうな瞳に賢人はキスをして黙らせた。
昨夜の喧嘩が嘘のような仲の良さである。

賢人にとって心配事がもう一つある。

(ミユキはどうなった……?)

部屋に行く。いない。

その代わりに書置きが置いてあった。

『私はブスなのでお兄ちゃんに選んでもらえませんでした。
 新婚夫婦がいるのに私がいるとお邪魔でしょうから、
 自分から出て行くことにしました。さようなら』

賢人が泣きながら瞳にこの紙を見せると

(やったああああああぁぁああああ!!
 私の完全勝利!!!!)

と喜びたい瞳。かろうじて残った自制心を発揮させ、

「一時的な現実逃避じゃないかしら。
 あの子だって子供じゃないんだから、
 たぶんすぐ戻ってくると思うわよ」

「今回はめずらしく自殺未遂じゃなくて家出だよ。
 どこに行ったのか心配だ。令和10年は
 どこも治安が悪いから変な事件に巻き込まれてなければいいが」

「あとで私も一緒に探しに行くわ。 
 でも今は体の調子が……ね?」

「Σ(゚Д゚) あ、ああ。そうだったね。
 もちろん瞳さんはここで休んでいてくれ。
 俺が一人で探しに行ってくるから」

「だめ」

「(。´・ω・)ん?」

「賢人に一緒に居てほしいの。お願い。私と一緒に居て?」

精一杯ぶりっこして言ったつもりだった。
はたして彼に通用するか不安だったが、

「ひとみー(*´ε`*)チュッチュ」

効果抜群だった。
昨夜の一件で賢人は瞳にメロメロなのである。
きっと理性が溶けてしまったのだろう。

二人は布団の上でもつれ合い、たまに体制を入れ替えながら
2分以上もキスを繰り返した。

「ひとみ、好きだ」
「私もよ」
「そろそろ満足したかな? 
 俺はそろそろ美雪を探しに」

「喉乾いた」
「え」
「喉描いたからお水持って来てくれる?」

賢人は15秒でコップに水を入れて戻って来た。

「なにしてるんだ?」

瞳は長い髪の毛を、サイドでまとめて肩の上に降ろしていた。
美雪がよくする髪型だ。

美雪は髪型をいじるのが好きで、曜日によって
結び目の高いポニーにしたり、ストレートで降ろしたりしていた。

「お、お兄ちゃん(>_<)」
「へ?」
「今日から私が妹役もやります。
 私は坂上瞳であなたの妹でもあります」

賢人はショックのあまりコップを床に落としてしまった。

「そろそろこの小説のパターンに気づいてきたの。
 賢人が美雪を探しに行ったら、たぶんそっちで
 フラグが立って私がないがしろにされる」

「だから俺の気を引くために、妹役をやると?」

「お願い。私を捨てないでください」

賢人は相手にしてられなくなったので、
やはり妹を探しに行こうと思った。

「待ちなさいよおおおおおおお!!」

怒声。部屋のガラスが割れるんじゃないかと思うほどの高い声である。
この声を聞くと賢人は漏らしそうになってしまう。

「私は昨日の一件で体を動かすのが辛いのよ。
 賢人は私のために私のお世話を一日してくれないかしら」

「美雪を一日も放置したら事件に巻き込まれる可能性が…」

「昨日私に乱暴したって、パパにばらすわよ」

「う……」(合意したはずなのに…)

「男だったらちゃんと責任取って」

「うーむ。それを言われると辛いが」

「私は何も難しいことは言ってないわ。
 私と一緒にここで過ごしてくれればいいのよ」

(十分に無理難題だよ。まじで美雪どうしてるんだろ。
 ああ心配だ心配だ。なんで俺は昨夜あんなことを)

「お腹がすいたわ。朝ごはんを作ってちょうだい」

「あ……なに? ごめん。聞いてなかった」

「あ・さ・ご・は・んを作ってって言ったの。
 おかずはいらないから、ご飯を持って来てくれるだけで良いわ」

(さっきから瞳さんの口元が二ヤついてるのが気のせいか?)

賢人はご飯を用意する振りをして、扉の前で待っていた。
瞳にばれないようにこっそり扉を開けて中の様子を見ていると。

「あはははははは!! ざまーみろ妹の分際で。でしゃばりやがって!!
 あいつがいないってだけで、こんなにも晴れやかな気分になるのね!!
 死ね死ね!! さっさと自殺しちゃえ!!
 二度とこの家に戻ってこれないように不幸のラインを送ってあげるわ!!」

「瞳さん。ずいぶん元気そうじゃないか」

「Σ(゚Д゚)」

「俺の大切な妹のことを死ねって言ってたのは気のせいかな?
 前も言ったと思うけど、俺の妹を悪く言うのは完全NG。
 もちろん分かってて言ったんだよね?」

瞳は言い訳するのは不可能だと判断し、
何を思ったのか逆ギレしてしまうのだった。

「だってあなたの妹ムカつくんだもの!!
 私が何か間違えたこと言った!? 
 残念でした。これが私の本性なのよ!!
 誰だって恋敵が一緒の家に住んでいたら不愉快でしょう!?
 そして恋敵が消えたら喜ぶ。人間として当然の感情よ!!
 女にとって恋愛は戦争なのよ!!」

「淑女同盟は……」

「ああ、そんあものもあったわね。でも今は全く関係ないわ!! 
 一切記憶にございません!!私は賢人と婚約して
 幸せになるのが目的なんだから、あんな嫉妬深い小姑なんか
 いなくて当然。むしろ存在している意味がないわ!!」

「瞳さん。君には失望した」

エヴァのマダオのセリフを吐いた賢人。
瞳の素直さに怒りよりも感動すら覚えるほどだった。

確かに彼女の言い分は良く分かるのだが、
賢人にとって血を分け合った、たった一人の妹を
悪く言われると、どうしても怒りがこみ上げてくるのだ。

「ごめんなさい。もう美雪さんにたくさんメール送っちゃったわ。
 朝からあなたのお兄さんとHしてますって。嘘だけど
 あの子なら信じるわよ。あと電車のホームに飛び降りて
 死になさいって。あっ。でもホームだと人に迷惑が…」

パッシーン

賢人は、少し制裁を加えるくらいの気持ちだった。
ぶたれた瞳は、まさか彼にビンタされるなんて思ってなかったので
衝撃のあまり震えた。

「今の俺は君のことを心から嫌いにはなれないんだ。
 だから、今言ったことは訂正してくれ。
 メールでも美雪に謝ってくれ。そうしたら仲直りしてあげるから」

「う……うう」

「(。´・ω・)ん?」

「(つд⊂)エーン うわあああん!! 賢人君がぶったぁ!!」

突然大泣きをした瞳。
賢人は彼女の口元に注目し、(・∀・)ニヤニヤしてるのに気づく。

「嘘泣きはやめてくれるかな」
「……テヘペロ。ばれた?」

賢人はもう一度瞳をビンタした。
今度は手加減しなかったので、それなりの音が響いた。

賢人は瞳のことはどうでもよくなったので駆けだした。

「お願いよ!!(ノД`)・゜・。 待ってえええええ!!」

実は嘘泣きでも瞳の泣き顔は男としてぐっとキテしまう。
思わず昨夜の続きをしてしまいたくなるのだが、今はそれどころではない。
華麗に無視である。

そして玄関の外には、素知らぬ顔をした美雪ちゃんがいるのであった。

賢人「えΣ(゚Д゚) おまえ、なんでここに!?」
美雪「お兄ちゃんが来るのをずっと待ってたんだよ(^▽^)」
賢人「ずっとここにいたのか!? 家出したって書置きはなんだったの!?」
美雪「はい。ただいまの賢人議員からのご質問ですが、それはすなわち、」

――ただのフェイクニュースです。

そのような事実は、一切ございません。
残念ながら記憶にございません。

「それじゃあ。お兄ちゃん。そろそろ行こうか」

美雪は涼しい顔をしており、動揺した様子はない。
賢人はこれだけ長い間一緒に過ごした実の妹でも、
ついに彼女の考えていることを理解しかねて警戒さえした。

「……どこにだ? 言っておくが市役所は嫌だぞ」
「行き先なんて待ってるじゃん」

――かんぽ生命の本社だよ

(なぜ、かんぽ生命……?)

令和10年。兄妹の絆の物語。ついに新展開を迎える!!!!
瞬間、心重ねて!!


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