賢人「( ;∀;)前回のマッカーサー元帥の話に感動した!!」 瞳「(ノД`)・゜・。令和の日本は戦後に逆戻りしてる?」 美雪「(^_^メ) なにせ自給210円ですからね」
※令和10年です。
その時であった。 70過ぎと思われる白髪のご老人(男性)が車椅子を押していた。 車椅子に乗っているのは40代の女性であり、 一見すると娘さんなのだろう。実際に娘さんだった。
「わしらはもう思い残すこともないからの」 「ううっ……お父さん、迷惑ばっかりかけてごめんね」 「いいんじゃ。余計なことは考えるな。 あとは神のいる国へ旅立つだけなのだから」
二人は何を考えているのか、青酸カリのあるテーブルへ 迷いなく近づいていく。そして老人が青酸カリを手にしたところで 瞳がこらえきれず、タッコーを食らわせた。
※タッコー 米語でタックルを意味する。英語ではタックル
「ぶはぁ(ノД`)」 ←1メートル吹き飛んだ老人
ひとみちゃん 「|д゚) ご、ごめんなさい (m´・ω・`)m でもあなたが自殺しそうな感じだったのでつい」
娘さん「どうして邪魔をするのよ!!」
ひとみん「だ、だってΣ(゚Д゚)」
娘さん「私たちは今日ここで死ぬって決めたのよ!! 行政様が青酸カリ・プラス銃殺って 素晴らしいサービスをしてくれるんだからね」
なんのことかと賢人が真摯な態度で事情を聴いた。
娘さんは車を運転中の事故により半身不随となる。
13年も務めていた事務の仕事をやむなく退職したが 令和10年では退職金もなく貯金もなく、補助金などの 公的支援も得られず、家系は絶望的な状況になった。
そこで高齢の父が深夜の警備員の仕事をして わずかな収入を得ていたのだが、70過ぎの体には 大きな負担となる。金欠のストレスから不眠になり 勤務の継続が厳しくなる。
令和10年では高齢者の働く場所は売るほどあるのだが、 土木建築、交通誘導員、施設警備員、庭の剪定業者など 肉体を酷使する仕事ばかりである。 それなのに時給の相場は180円と、全く割に合わない。
娘さん「このチケットがあると楽に死なせてくれるのよ」
賢人「これは……」
・安楽死・チケット
令和10年では幅広く市民の間に浸透しているチケットである。 本来であれば、生活保護の申請を拒まれた生活苦の市民は、 青酸カリを飲んで自殺するのだが、食道を焼かれて5分にも及ぶ 苦しみに耐えなければならない。
この5分間は、文字通り地獄である。 断末魔の叫びをあげること必至である。 そこで対象者が青酸カリを飲んだと同時に頭を拳銃で 撃ってくれるサービスがある。これなら即死出来る。
だったら初めから銃殺にしろよと言われそうだが、 役所は国の命令で自殺者には必ず青酸カリを飲ませることなっていた。
瞳 「(>_<)と、とにかく死ぬのはダメよ!!」 娘さん「あんたに止める資格があるの?」 瞳 「だめなものはダメよ!!」 老人 「何と言われようと、わしらは死ぬぞ」
老人が躊躇なく青酸カリの紙コップへ手を伸ばそうとした。 ひとみんのタックルが発動し老人を吹き飛ばす。 懲りずにまた老人が紙コップへ手を伸ばすと、吹き飛ばされる。
そんなやり取りを4回も繰り返すと、 老人はポロシャツを引き裂いて泣き叫んだ。
「あんたはまだ20代だから、わしらがどれだけこの国に絶望し、 どれだけ考えた末に自殺にたどり着いたか、わからんのだろう!!」
ひとみん(≧∇≦).o00(私ったら20代って言われちゃった☆) けんと( ゚Д゚).oo0 (若作りってレベルじゃねーぞ!!)
「この国ではアントワンット、じゃなくて金がない奴は死ぬんじゃぁああ!! 金こそが日本国で生きる手段、金こそがこの国で生きる資格そのもの!! 金がない奴は人権を奪われ、生きる手段を失い、最後は死ぬ運命になる!!」
美雪Σ(゚Д゚).o0(なんでアントワンットって言ったの…) 賢人('Д').o0(マリー・アントワネットのことか)
瞳「辛いのは分かりました。 でもね、あともう少し頑張って生きてみませんか? 自民党の一党独裁が終われば 貧しい人への搾取が終わるかもしれませんよ」
老人「すでに野党は一掃されとるがな」
娘さん「若い人は政治のことなんて知らないんでしょ。 自民党以外の政党がないのに、どうやったら独裁が終わるのよ」
瞳(言われてみればそうだった……)
賢人(しかも自民党独裁って現実世界も同じだ。 実質野党が存在している意味ねえ)
※政府与党案は、最終的に参議院で強行採決されます。 立法府に提出された99%の法案は、自民党の思い通りに可決してきました。 つまりほぼ確実に、というか絶対的にこの国は自民党の一党独裁なのです。
野党がいくら吠えても経団連(自民のスポンサー)に 有利な社会になって最終的に一億総奴隷化するかもしれません。 ある意味この小説は、未来の可能性の一つを表してると言えるでしょう。
瞳「目の前で死のうとしている人がいるのに、 黙って見ていろって言うんですか」
老人「その通りだ。黙って見てなさい」
娘さん「あんた、血色がいいし品があるけど もしかしてお嬢様? だったら金頂戴」
瞳「わ、私は派遣の底辺労働者です…」
娘「ほんとに? 髪質が良いから高そうなシャンプー使ってそうだけど。 だったらそこの夫婦でいいや。お金ちょうだい」
賢人「夫婦って('Д')」 美雪「私たちのことですか(≧∇≦)」
娘「2000万くれたら自殺するのやめてあげる」 賢人「( ゚Д゚)」ニセン…… 美雪「(;^ω^) お兄ちゃん。話にならないから帰ろう」
瞳「わ、わかったわ!!」
賢人('Д')な… 美雪Σ(゚Д゚)え
瞳「2000万あげれば自殺するのをやめてくれるのね?」 娘「え、本当にくれ…」 賢人「何言ってるんだよヒトミさん!!」 老人「さあさあ、金があるならさっさとくれ!!」 美雪「瞳は若返りの化粧水によって年を誤魔化してるけど、実はブスです」
瞳「いいわよ。ただし、私じゃなくて美雪さんがね」 美雪「ん(;´・ω・)……?」
瞳「(*^▽^*) 美雪さんは米国株をたくさん持ってるでしょ。 例のETFを一部売却してこの人たちに分けてあげて」
美雪「(^_^メ) ぶちころされたいんか、こら。 父の生前の形見の、大切な大切な株を簡単に売却できるかボケ。 ママからも人生をかけた超長期投資を勧められてるんやぞ」
瞳「(*^▽^*)マッカーサー元帥は、貧しい人たちにも 兵隊さんの食料を分け与えていたわ」
美雪「(;^ω^) 連合国軍の最高司令官と私を同列に語るな。 私だって生活が懸かってるんだから 一市民のために大金払えるわけないでしょJK」
瞳「(*^▽^*)それより美雪さん、 話の途中で私のことブスとか言ってたのは気のせいかしら?」
美雪「気のせいじゃないと思うよ。 だって、あんただって私のことブスってバカにしてたじゃん。 忘れたとは言わせないよ。このバアア。行き遅れの年増女が!!」
瞳(# ゚Д゚)ダダダダダッ 美雪(^_^メ)きなさい。こら
二人はつかみ合いの喧嘩になり、 床の上をゴロゴロ転げまわっていた。
その茶番はまさに致命的というほかない。
老人と中年の娘さんは、何を思ったのか、 正面ゲート前の監視カメラに向かって中指を立て、 「安倍政権くたばれ」 「自民党一党独裁は北朝鮮のキム政権と変わらない」 と暴言を吐いた。
その次の瞬間だった。
二発の銃声が鳴り響き、二人の頭に風穴を開けたのだった。 糸の切れた操り人形のように、ひざをかくんと折り、前向きに倒れた。
ついさっきまで元気に話していた二人が、今は息をしていない。 どくどくと、貫通した頭部から血だまりが広がっていく。 死んだ人の血はどす黒い色をしているのだ。
瞳(´・ω`・)エッ? 美雪( ゚Д゚)ハァ?
キャッツ・ファイトなどしてる場合ではなかった。
あの二人は安倍政権の悪口を行っただけである。 決して青酸カリを飲んだわけではない。
そもそも、どこから銃弾が飛んできたのか。 無機質にしか見えないコンクリートの壁のどこかに 銃眼が空いているのか。それとも屋上にスナイパーが潜んでいるのか。
賢人「に、逃げろ。ここにいたら俺たちも殺されるぞ!!」 瞳 「あなた達も逃げるわよ。真理ちゃん。泉ちゃん!!」 美雪「あの2人ならとっくに帰ったわよ」 瞳 「いつの間に!?」 美雪「たぶん一話前辺りで」
賢人の足元に一発の銃弾が振って来た。
賢人「う……うわぁ……。俺も狙われてる……?」 瞳 「賢人、逃げるわよ。さあ、早く!!」 賢人「だ、だめだ。何者かの強い殺気を感じて足が動けない」 美雪「お兄ちゃん、しっかりして!! 瞳も一緒に彼を運んで!!」 瞳 「まかせて(^○^)」
足が恐怖でお釈迦になってしまった賢人を、力持ちの 女二人がずるずる引きずってその場から退散することに成功。
令和10年。埼玉県にて。不用意に市役所に近づき、 自殺志願者の市民と接触するだけで反逆者候補になってしまう。 この日本には人権などなく、市民に生きる権利などなく、 中世の封建社会以下のただの奴隷大国となってしまった。
これが日本国の真の姿である。
この国の本質は、一億総奴隷社会である。
クレオパトラが生きたプトレマイオス朝のエジプト奴隷王朝。 日本国・奴隷王朝である。
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