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作品名:令和10年 兄妹の物語 第二シーズン 作者:なおちー

第15回   瞳「令和10年の市役所ってこうなってるの……(ノД`)・゜・。」
自民党独裁。野党の解党。
元野党党員の銃殺もしくは国外追放。

そして地方自治体は自民党政府の奴隷。
県民、市民は自治体の奴隷。
奴隷がまた奴隷を管理する、
恐るべき社会が令和の日本である。

奴隷は、生まれながらにして奴隷。
主人(国家)に逆らうことはできない。

長らくそう思われていたが、多くの貧しい国民は政府に
従ったふりをしつつ、ひそかに軍事兵器を外国から取り寄せ、
暇な時間に軍事訓練をして、着々と国家転覆の機会をうかがっていた。

市営団地から市役所まで、歩いて15分かかる。
賢人を一目で気に入ったカグちゃんの娘たちは、
子供らしい無邪気さで彼と手を繋ぎながら歩いた。

相手が子供でなければ両手に花といった状態なのだが、
この男はロリコンなので十分に満足していた。

「おにーちゃん」

とマリちゃんに言われると、心が温かくなる。
年下の可愛い女の子にお兄ちゃんと呼ばれるのが好きなのだろう。
妹居以外の女性にお兄ちゃんと呼ばれるは初めてだ。
そのため高揚していた。

賢人は、二人の頭を撫でたくなる衝動を必死でこらえていた。
なぜなら、血のつながったブラコンの美雪が
猛獣並みの殺気を放っていたからである。

「あのおばさん、怖いね(゜o゜)」
「さっきから、うちらのことにらんでるよね(・´з`・)」

(おばさん…?)

美雪は大学三年生21歳。賢人の会社にお邪魔した際は
ちょっとしたアイドル扱いをされたものだ。
そもそも21歳という年齢を考えると、女として
最も美しく輝いている年齢であろう。

にもかかわらず、この小学生の女の子二人に
兄を独占されただけでなく、

『おばさん』

と呼ばれてしまった。

これでキレるな、というほうが無理だ。

美雪は、口の聞き方が成ってない子供たちに対し
制裁を加えるために、一歩踏み出そうとした。
尋常でない殺意に、訓練された子供たちは臨戦態勢を取ろうとしたが、

「子供を虐待するのはやめなさいよ、おばさん」

瞳に言われてしまう。

「そーだそ−だ。お姉さんの言う通りだ( ̄▽ ̄)」
「ぼうりょく、はんたーい(・´з`・)」

美雪の怒りのボルテージがさらに上がった。

今のが聞き間違えでなければ、子供たちは
瞳のことを「お姉さん」と呼んだ。
今さら確認するまでもなく、瞳の年齢は32歳で
まもなく33歳の誕生日を迎えようとしている。
(8月が誕生月)

美雪より11歳も年が上の瞳が 「お姉さん」
現役大学生の自分は     「おばさん」

確かに、初対面の人に20代の半ばに間違えられることもある。
最近急に老け込んできたのか。
兄の生活の面倒を見ているからかもしれない。
株の運用で頭を使っていることも影響しているのか。

確かに普通に考えれば女子大生で株価、為替、金利を
意識して生活をしてる人などまずいないだろう。

「おねーさん、ちょうびじんさん(゜-゜)」
「優しそうだし、きれーでうらやましー(゜-゜)」

「(´∀`*)ウフフ。ありがとう。可愛い妖精さん達。
 私の名前は坂上瞳よ。あなた達のお母さまとは
 会社で仲良くさせていただいているわ」

美雪はこの日の屈辱を一生忘れることがなかった。
瞳との容姿の違いは、第1シーズンでも明らかになり
屈辱に耐えたものだが、今回は子供に判定されてしまった。

前とは違う。前は大学時代のミスコンテストでの
結果の有無だったが、無邪気さの残る子供に
おばさん扱いされたのは、その場で気を失うほどのショックだった。

「へー!! おねーさんは、賢人さんの婚約者なんだぁ( `ー´)ノ」

「うらやましいなぁ。賢人兄ちゃんイケメンだし、
 お姉さんも美人。美男美女カップルだぁ(´っ・ω・)っ」

賢人|д゚)..₀o0(あんまり褒めると美雪が怒るからやめてくれ)

瞳「(´∀`*)ウフフ 素直でかわいい子達ねぇ。気に入ったわ。
  あとでお姉さんがゲームソフトを買ってあげるわね」

 ほんとにー? °˖☆◝(⁰▿⁰)◜☆˖° 
                やったー(∩´∀`)∩ 

一行は、ついに市役所についてしまった。

賢人「これが市役所( ゚Д゚)……?」
瞳「Σ(゚д゚lll)軍事基地の間違えよね?」

ここは埼玉県の久喜市である。
埼玉北部の地方都市なのだが、全国の自治体でも特に
反自民党的な分子が多い市とされていた。

そのため、この市の行政の最高機関である市役所は、
反乱分子の鎮圧、また自民党的な思想を植え付けるために
従来の市役所の施設を大幅に改装するに至った。

改装に伴い、大いに参考としたのは、次の施設である。

・ヴォルフス・シャンツェ 
  Wolfsschanze

通称・オオカミの巣

Wikiから引用する。

(Wolfsschanze) とは、第二次世界大戦で東部戦線のドイツ国防軍の
作戦行動を指導するため、アドルフ・ヒトラーが設けた指揮所である。

建設された場所は、東プロイセン州のラステンブルク(現:ポーランド領ケントシン)の
東約8kmの森林の中である。ラステンブルク周辺は東プロイセン時代から
屈指の景勝地で、現在はポーランド・マズーリ湖沼地帯として知られる。

この施設には居住棟、厚生棟(食堂・娯楽室・映画館など)
管理棟がおよそ40棟、コンクリート製の大型掩蔽壕(ブンカー)が7棟、
小型のものが40棟があった。

ブンカーのコンクリートの厚さは『6mから8m』に達していた。
この他、鉄道引込線と航空機着陸場が2ヵ所があった。

周囲は50mから150mの幅の地雷原に囲まれ、有刺鉄線は10kmに達し、
面積は周囲の森林地帯を含め8平方kmに及んだ。
警備する将兵は1944年時点で約2000名に達した。


美雪「ちょΣ( ̄ロ ̄lll)ガーン
   うちの市役所ってこうなってんの!?」

賢人「(゚Д゚;)有刺鉄線がこんなに……しかも近づけば地雷原……?」

市役所周辺には兵隊も職員の人も立っていない。
したがって、近寄ろうとすれば出来る。

だが。

市役所に近づけば、死ぬ。
死なないにしても、ただでは済まない。

それは本能で分かった。

ここは日本国の一部だが、もはや日本ではない。
令和の10年。市民の抵抗を武力で粉砕する。

瞳は女の子にしては珍しく、中学の頃より世界史をよく勉強していた。
日本は先の太平洋線の敗戦後、GHQのマッカーサー元帥の指導の元、
基本的人権を尊重し、軍国化を否定する憲法を作ったはずだ。

だがこれはどうだ?

市の行政の中心部が高度に軍事化され、
市民を毎日のように痛めつけてるのは間違いない。

人権は? 
人として最低限度の文化的な生活を営む権利は?
自民党独裁化の日本では、そんなものない。

そもそも年金支給額が将来的に減らされることは
現実世界でも確定しているし、いざ体にガタがきて
働けなくなった人に対する補償など何もない。

この市役所の防御施設は、もはや市民の自由など
まったく許さないと言っているのと同義。

『生活保護の申請をしに行くと職員に撃ち殺されるのよね』

同僚の女性が言っていたことを思い出し、涙さえ流しそうになる。
年金も、母子手当すら満足に払えない国と自治体が、生活保護など
払ってくれるわけがないのだ。
生保申請却下⇒自殺もしくはホームレス化は現実世界でも発生している。

まり 「(^○^ )あのしせつの、なかにはねー」
いずみ「(゜-゜) かそうば、があるんだよぉ」

賢人「(; ・`д・´)火葬場……?」
瞳 「(;´∀`)葬儀屋でもないのに……?」

まり「(´ρ`)ねんきんの支給額が、すくなすぎて不満をいうひと とか、
   せいかつがくるしくて、せいほを しんせいするひととか
   に ぎょうせい様が、さーびすをしてくれるの」

美雪(-。-).₀o0 (なんでこの子達は赤ちゃんみたいなしゃべり方なの)

瞳  「サービスってまさか、銃殺とか? ((((;゚Д゚))))」
いずみ「(´ρ`)んーんー。ちがうよぉ」

賢人「じゃあ日本国が大好きな拷問かい?(;゚Д゚)」
まり「ちーがーうYO☆ (´っ・ω・)っ あれだよあれ」

鉄条網の外側(つまり賢人たちの側)には、不自然な長机が
用意されていた。その机の上には、
「生活に困った人は、ご自由にお取りください」と書いてある。

置いてあるのは、いくつもの紙コップだった。
ふたがしてある。美雪が恐る恐る手に取ってみると、
中に入っているのは「青酸カリ」だった。

瞳 「いやぁぁああああ(>_<) 青酸カリ!!!((((;゚Д゚))))」
賢人「うわああ(# ゚Д゚) なんでこんなものが市役所にあるんだよ!!!!」


・正式名称 シアン化カリウム(KCN)

下は沖縄戦の例。某HPから勝手に引用。

        病院壕からの移動の時、
自力歩行不可な兵士たちは
         青酸カリウムによって「処置」された。

 化学に精通した友人に色々尋ねてみた所、
     「おそらく彼らは相当苦しんで死んだはず」
                   との答えが返ってきた。

     南風原を例に挙げてみると、
青酸カリはミルクに混ぜて配られたようだ。
                    ここでは仮に、
 ミルクの量は全員100mlだったとして話を進めている。

証言の中に
     「ひどく苦くて――
             という記述があるが、
  ミルクを苦くするのに必要な量は100mg前後。
                     致死量は250mg。
    死ぬには到れない量だ。

    (正確に何g入っていたかは分からない)

 青酸カリを飲むと、まず食道にヤケドをおい、大量の血を吐く。

  それから体内に吸収され、血液中のヘモグロビンと強く引き合い、
  酸素を取り込めなくする。窒息させるのだ。

摂取後5分で死に至るが、その間、

   『指と胸が血だらけになるくらいに
        胸をかきむしりながら、うめき声を上げる』という。

仮に運よく助かっても脳にダメージを与えるために後遺症も残る。
致死量でない量を飲んだのに多くの兵士が死んだのは、
彼らの極度な衰弱を意味している。


美雪 「ちょっとあんた達、これはいったいどういうことなの!!」
いずみ「うげー(´ρ`) 胸ぐらつかまないでよぉ」
まり 「(。-_-。) 私たちじゃなくて、せいふの指示でじちたいが、やってるんだよぉ」


2019年7月の参院選において。
マクロ経済スライドの発動によって年金の支給額が
平均で7%減ることは政府与党が認めた。
基礎年金だけの世帯に至っては、6万5千円から4万円まで削減らしい。
(筆者がNHKの日曜討論で聞いた)

金融庁の審議会でも年金減額予想が伝えられたが、
総務省、厚生労働省、経済産業省も同様の見解であり、
経産省の見積もりでは、老後不足する資金は最大で3750万と最大だ。

つまり我が国の国家機関である各省庁が、
「金のない老人は死ぬ」と宣言しているのだ。


美雪「市民に青酸カリを無料で配る国がどこにあるのよ!!
   これは毒物で飲んだら苦しんで苦しんでから死んじゃうのよ!!」

まり「(´ρ`)だーかーら、私たちはしらないよぉ」

いずみ「(゜o゜)むかしは日本軍が沖縄の人にやってたんでしょお?
    いまの日本人にもおんなじことを、してるだけじゃないのぉ」

瞳「いやああああ!! 令和十年ではお金のない人は青酸カリを
  飲んで死ななければならないの!!」

賢人「うおおおおおおおお!! これが人間のやることかよ!!」

令和10年の日本では、人権が失われていた。

なぜ、こんな日本になってしまったのか。
政治の責任は、その政党を選んでしまった国民の責任である。
そもそもの発端として、日本の平和憲法は
どのようにして作られたのか、次の話で詳しく解説したい。


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