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作品名:令和10年 兄妹の物語 第二シーズン 作者:なおちー

第14回   大塚家具ちゃん「行政はバツイチに冷たいわ」
※三人称

やもめ(離婚して独身に戻った女性)には
児童扶養手当(母子手当)が支給される。市税である。

よく間違われるのが、児童手当である。
これは民主党時代の子供手当を自民党が減額して引き継いだものである。
子供年齢に応じて支給額の増減があり、中学卒業まで支給される。

さて。児童扶養手当は、子供の人数に応じて下記になる。

1人 42,500円 (額は所得に応じて変動する)
2人 52,540円 (上に同じ。最大で1万アップすると覚えればおk)
3人以上  2人以上の場合に3,010から6,020円加算

市の給付金は、各自治体によって異なる。
上にあげた例は、主人公らの住む埼玉県久喜市の例である。
詳しい支給額が気になった読者は、ご自分の住む
自治体のホームページを調べてみてください。

日本のほとんどの自治体は、赤字である。
とはいえ、国家予算から地方交付税交付金が払われているだが…

「令和10年では年金の支給額が月660円。
 年金は国税。自治体の給付金も減ったわ」

カグちゃんはそう言う。まさか、令和10年の母子手当は…

1人     800円 (所得に関係なく一律)
2人     450円 (上に同じ)
3人以上   160円ずつ加算

Σ(゚Д゚) 賢人
Σ(゚д゚lll)美雪
Σ( ̄ロ ̄lll)ひとみ

端的に言って、行政は母子家庭に「死ね」と言っているのだ。

カグ「子供たちがプレステ4買ってほしいって言ってくるのね。
   私はお金がないからその辺の電気屋さんでも襲撃しなさいって言うのよ。
   そしたら本当に襲撃して、しかも生き延びて帰ってくるし、
   ここまでくると笑っちゃうわよね」

美雪(この人はどうやって暮らしてるのよ)

瞳(カグちゃんも私と同じ時給210円。
  臨時収入でもなければ飢え死にするわよね)

賢人「こんなこと聞くのもあれなんだけどさ、
   子供たちをどうやって食べさせてるの?」

カグ「子供の半分は実家に預かってもらっているの」

大塚かぐちゃんの実家は、鷲宮(わしのみや。ここからすぐ近く。
行政区画では久喜市の一部になっている)に古くから続く農家らしい。

8000坪を超えるほどの農地を保有する、明治の豪農として
栄えたご家庭であり、カグの両親が小さな子供たち
(3歳、5歳、6歳の三人)の面倒を見てくれている。

現在家具が同団地で暮らしているのは、
マリ・イズミと高校生の長男(17歳)の三人。
カグちゃんの収入だけでは厳しい。

長男(高校三年生)は部活をせず
飲食店でアルバイトをして母を助けてくれている。
さらに両親から野菜やお米など現物の仕送りがある。

市営団地は家賃が格安。さらに娘たちが
近所のお店から品物を強奪して家計を助けてくれている。
カグちゃん家の白物家電の8割は強盗によって得たものである。
つまりお金を払っていないのだ。

瞳「さらっと強奪とか襲撃とか言ってるけど、
  この小説って犯罪を助長しているような……(>_<)」

令和10年まで現在のデフレが続けば、強盗が日常化するのは
あり得ない話ではないと筆者は思っている。
さすがに軍事兵器は使われないと思うが。

オレオレ詐欺、先日のセンブンアイのキャッシュレス詐欺
(2019/7/4 900人の顧客から5500万の現金が盗まれた)
などは、強盗に比べれば可愛いものだ。

なぜなら、この作品にみられるように軍事攻撃によって
民間人の死傷者が出ていないからだ。
お金は盗まれるけど五体不満足にはなっていない。
健康なら賃金労働ができる。体こそ最高の資本である。

読者の皆さんも、休みの日は運動をする時間を作って
令和の大不況に備えてもらいたいものだ。
日本人の長寿化は政府とメディアに散々指摘されているが、
健康でいられる寿命、健康寿命は、
お金と健康な肉体によってのみ維持されることを忘れないでほしい。

瞳「カグちゃんはご両親が助けてくれて良かったね(*^▽^*)
  もっとぎりぎりの生活をしてるのかと思った」

カグ「私はまだましな方でしょうね。
    会社でも他のバツイチの子達は過酷だよ。
    週明けの月曜日に髪の毛の半分が白髪になって
    出勤してくる子とかいるじゃん(;・∀・)」

賢人「うーむ(-_-;)確かに女性の貧困問題は深刻だよな」

公営住宅に離婚組の女性、貧しい老人が
多数住んでいるのはどこの地域も同じである。
団地内の各家庭でランドセルや教科書の
使いまわしも普通に行われている。

今や20代から64歳までの一人暮らしの女性の
3人に1人が貧困の状態にあるという。
現実世界では参議院選挙が開始されているのだが、
山本太郎のれいわ新撰組の統計では、7人に1人の子供が貧困だそうだ。
もっと多いのではないかと思った。NHKでは5人に1人としている。

(カグちゃんってやっぱり美人なんだな)

賢人は口にせず、ひそかにそう思った。
今日は7月の初めの週。梅雨明けしてない関東の天気は
すっきりしない空模様で、湿度はあるが気温はまだまだ上がらない。

カグちゃんはこの時期になるとさすがに
マスクを外してるので顔をさらしている。
シャープな目鼻立ちで賢人好みの美人の顔だった。

実年齢は42歳。生活に疲れた感はあるが、
まだまだ女としての魅力は感じられる。
結婚を三回もしていた、という事実はまさに
女優か芸能人並みなのだが、ブスな女なら
そもそも三度も結婚できる器量がない。

ここで賢人は、自分の周りに美人ばかりが
集まっている不思議な現象に気が付いた。

まり 「おにーちゃんたち、だれ?(^○^)」
いずみ「ママと一緒の会社の人?(^○^)」

賢人「可愛いお嬢さんたち。初めまして。
   カグさんの同僚の渋谷賢人と言います(`・ω・´)」

銀行時代を思い出してイケメンボイスで言う賢人。
いかにも品があって少しだけうさんくさい、
金融機関勤めの人特有の雰囲気である。

まり「おにーちゃん、イケメーンヽ(^o^)丿」

いずみ「声低くてかっこいい(∩´∀`)∩
     声優さんみたーい。
     ねえねえ、彼女とかいるのぉ?」

賢人は、後ろからにらんでくる瞳と妹に恐れをなし、
速やかに話題を変えることにした。

賢人「お兄さんは子供だから恋愛のことは分からないなぁ。
   それより二人は休みの日はどんなことして遊んでるの?」

(´-`).。oO(やべ。この子達は学校通ってないから
       毎日が休みじゃねえか)

いずみ「市役所で遊ぶのぉ(´-`*)」
まり 「市役所は大人がたくさんいて楽しいよぉ(^ω^)」

賢人「へ、へえ(´ρ`)」

賢人(´-`).。oO(むしろ役所なんて頼まれても行きたくねえんだけど)
瞳 (´-`).。oO(子供の遊び場ってイオンとかじゃないの?)
美雪(´-`).。oO(モールは全部壊滅してるでしょ。気づけやアホ瞳)
瞳 (´-`).。oO(なんやとわれ、こら。ぶち殺されたインカ帝国)
賢人(´-`).。oO(やめろよ二人とも。つーかこの状態でよく会話できるな)

いずみ「今から遊びに行こう!!(*''▽'')」
まり 「以降以降!!(´-`*)」
いずみ「変換ちゃうで( &#728;ω&#728; )」
まり 「あかんわぁ。行こう←こうやな( ̄▽ ̄)」

そして久喜市役所へ。

賢人「カグちゃんは行かないの?」

カグ「会社が休みだから家でやりたいことあるのよ。
   むしろあんたらが子供の相手してくれると助かる。
   帰りに卵買って来てね」

賢人「お、おう」


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