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作品名:令和10年。財政破綻と強制労働と若い兄妹の絆の物語 作者:なおちー

第31回   美雪「やっぱり…」
※みゆきさん

終わるわけがないよね。そろそろ終わるべきなのは、
みんなも分かってるとは思うんだけどね。
ぶっちゃけ兄と血がつながってなければ世間の冷たい風も
受けずに済むのになって何度も思いました。
たぶん千回くらい。

読者の皆さんも真剣に考えてみてください。
私と兄が、瞳と同棲する意味ありますか?

これ言うの何度目か分かりませんけど、
私と兄は同棲してうまくいってましたから。
ここでなぜ余計な人を招き入れるのか理解に苦しみます。

企業業績に何も問題がないのに米中摩擦と
ブレグジットの影響で下落が続く日経平均株価と同じですよ。

誰がどう考えても坂上瞳は邪魔者じゃないですかぁ(>_<)

「美雪。早く洗濯したいから、
 そろそろ俺のアンダーシャツ返してくれないか?」

私は兄の肌着の匂いを嗅いでいたのです。
会社帰りの兄が制服の中に来ていた服。
少しだけ汗ばんでいて、洗剤の匂いや体の匂いが混ざって
フェロモン全開なんです。

私は寝る前に必ず兄の衣服の匂いを嗅いでから寝ています。

少し昔の話をさせてください。
私が高校生の時は、こっそり脱衣所にある兄の服を手に取り、
くんくん嗅いでいました(。・ω・。)ノ

兄は学校から帰ったら、洗濯籠の中に
だらしなく服を脱ぎ捨てるのです。
ボタン付きのシャツやYシャツは、ボタンも閉めずに
そのまま放り捨てるものだから、匂いを嗅ぐのにはぴったりでした。

いつかばれる日がくるのかな?と思っていたら、
私がクンクンしてる時に兄が入って来てばったり。

『おまえ、さっきからなにしてんだ?』『見ればわかるでしょ?』

勉強の疲れを癒すための時間(癒しタイム)だと説明しました。
兄は全く納得してないようでしたが、兄の方も私が
中学生時によくセクハラしてきたので何も言い返せません。

『夜寝る時にさみしいから、パジャマの下に着るための
 お兄ちゃんの服をちょうだい』

私が高2の時でした。
お兄ちゃんはさすがに驚いていました。
当時の兄は20歳の大学生。若くてはつらつとしていて、
目がキラキラしていて、社畜になってしまった今とは違い、
男性として輝いていました。

『年明けにセーターをあげただろ』
『セーターとは別のが欲しいの。パーカーとかないの?』

私は兄の使用済みの服を、一週間くらい使ったら
洗濯してからちゃんと返しています。それでも兄は
いちいち私に服を渡すのが面倒になったみたいです。

『じゃあ、いっそこれでどうだ?』

兄は私のベッドに横になりました。ついにその時が来たのかと
思ったら、『添い寝を』してくれるとのこと。
イケメンの添い寝サービスって現実にもあるみたいですよ。

私の兄はイケメンだし、よその男と違って私のことを
心から理解してくれる優しい人です。だって
私が小さい時からわがままを何でも聞いてくれるんだもの。
困った時には助けてくれるし、私が体調の悪い時も
すぐに気が付いてくれるし、とにかくイケメンなのです。

私は心臓がバクバクうるさくてどうしようかと思いながら
賢人にうでまくらをしてもらいました。

『やっぱりお兄ちゃんの匂いって落ち着くぅ。癒し(*´ω`)』
『そんなに、いいものかねぇ(´∀`)』

腕の感触がすごくいいんです。
やっぱり男性の体はステキ。
当時は真冬だったので一緒の布団で丸くなり、
話す声は相手の耳元に届くほど近い距離です。

『お兄ちゃんはドキドキする?』
『あー、どうかだかな』

賢人はそっぽを向くけど、顔は赤くなっている。
私は知っていました。お兄ちゃんの硬くなったモノが
私の太ももに当たっていたことを。

お兄ちゃんも男性なんだね(´ー`)

もっとお兄ちゃんと一緒に居たい。
ぬくもりを感じていたい。
私の話を聞いてほしい。

そんな時に空気を読まずに私の部屋が空いて、

『ちょ…おまえら……Σ( ̄ロ ̄lll)ガーン』

ママがドン引きしてるなど。よくある光景です。
ママは残業だったようです。
遅い時は今日のように11時過ぎに帰ることもあるのです。
今日はお酒臭いから同僚の人と飲んでから帰ったのかな。

『あー……ついに一緒の布団で寝るようになっちまったか。
 これじゃタックンが切れるわけだわ。
 おまえらさぁ。実の兄妹なのにそこまでラブラブだったら
 まじで結婚したほうが良いかもなぁ……(-_-;)』

『か、母さん。これは違うんだよ!!
 美雪がちょっと怖い映画を見たから
 夜一人で寝るのが寂しいからって』

『嘘つくなよ。目が泳いでるぞ。
 これ渡しておくよ( ・´ー・`)
 今日ドラッグストアで買ってきたんだ』

箱入りのコンドームをぶん投げられました。
恥ずかしかったのか、兄の顔が真っ赤になっています。

『あたしは別に気にしちゃいないけど、
 たっくんにばれないようにやれよ? 
 あたしはお風呂入って寝るから、おやすみ(つ∀-)』

(^o^)ノおやすみ。
ママが理解のある人で助かった。
大学時代にオーストラリアに留学したことがあって、
島国(日本)のカスみたいな常識にとらわれず、
国際的視点から幅広い価値観を共有するのがママの哲学。

向こうの国では男性はゲイばっかりだったそうなの。
あと性転換した人とか。性のマイノリティの人なんて
普通に見るから、近親相関が特別珍しいことじゃないみたい。

『か、母さんは全く何を言ってるんだか(*´Д`)
 美雪もそろそろ腕枕は十分だろ。
 俺は自分の部屋に戻って寝るからな!!』

『ちょ、待って!!』

あん。どうして逃げちゃうの。お母さんが認めてくれたのに。
その後、ママに遅れて帰宅したお父さんが、お兄ちゃんと口論していた。

なんかよく分からないこと言っていた。
お兄ちゃんが自分の汗臭い服を美雪の顔に押し付けて
私を匂いフェチとして洗脳してる? 
そのような事実は一切ございません。

私が好きだから嗅いでるだけなんだけどなぁ。
お父さんは何でもかんでもお兄ちゃんを悪者にしたがる癖がある。
お父さんのああいうところは男らしくないし、正直好きになれない。


「美雪。聞いてくれ」

私はハッとして現実に意識を戻しました。
回想シーンは終わりです。

「実は今日。会社でな」

お兄ちゃんは夕飯のチャーハンをスプーンですくっています。

「瞳と喧嘩した。理由は言わなくても分かるよな?」

そうだね。私がまいた種だもん。
私も現場にいたんだから、そんな説明をわざわざしなくても。

「瞳さんがご丁寧に書置きを残してくれたんだよ」

⇒私はしばらく家出します。探さないでください。

よく見たら玄関に貼ってあったんだね。
どうりであの女が帰ってこないわけだ。
でもちょうどいいじゃん。これでお兄ちゃんと奴の
婚約の話は破談になったってことで。

「お兄ちゃん。私と結婚して (≧∇≦)」
「ああ (-_-) いいよ」

「え (´・ω・`)????」(絶対断られると思ったのに)

「なんかそれでいいような気がしてきた。
 今日の昼にさ、瞳さんに思いっきり腕を
 握られちゃってさ。今すぐ病院に行きたいくらい痛むんだよ」

お兄ちゃんの腕はポパイのように大きくなっています。
素人目にも直ちに整形外科で診察を受けたほうが良いレベルです。
その腕でよく肌着を脱げたね。

「やっぱ三人で住むとか初めから無理ゲーだろ。
 結果的に俺が瞳さんを騙すような感じになっちまって
 ばつが悪い。それとあの人ってキレるとかなり怖いな。
 ヒトミさんは令嬢だから一人でも生きていけるけど、
 俺にはお前が必要だ。それにお前だって俺がいないとだめだろ?」

「お兄ちゃん……」

お兄ちゃんはなぜか上半身裸になり、
そこそこ鍛えられた腕で私を抱いてくれました。
こんなに近くで賢人を感じたのっていつ以来だろ。

ごめんなさい嘘です。先月も普通に添い寝とかしてました。

「美雪」

兄は私の前髪をかき分けて、おでこにキスをしました。
私はとっくにお風呂をすませていて、すっぴんです。

私は腕にギュッと力を込めて、賢人に密着しました。
そして上目づかいで

「賢人。私はあなたのことが好き」
「美雪…」
「お願い。私を選んで。一緒に幸せになろ?」
「いいよ。美雪。俺もお前のことを愛してる」

(*´ε`*)チュッチュ (*´ε`*)チュッチュ (*´ε`*)チュッチュ

私達は軽いキスを何度も繰り返しました。
唇と唇が触れ合う程度です。

彼の低い声を耳元で感じるだけで、体中が熱くなるの。
告白する時の彼の真剣なまなざし(´∀`*)ポッ

このキスシーンのあと、エンだぁぁあああああああああぁぁぁ イヤァァ!!

になるのかと思ったら(*´Д`)(*´ω`)(;´∀`)……

そうは問屋が卸さない!!!!!!!!!!!


「やっぱり許せないから戻って来ちゃったわ(# ゚Д゚)」

怒りのひとみん(行き遅れ32歳)襲来。
エヴァ出撃。初号機暴走。大問題です。

ひとみが放つ、手加減なしのボディブローが、
私の大切なお兄ちゃんのわき腹に直撃。

「ごほぁぁぁぁ(>_<)」

兄は壁まで吹っ飛ばされ、力なく崩れ落ちました。

( ゚Д゚)ゴフッ (>_<)オエー

嘘……お兄ちゃんが血を吐いてる!!
 これってギャグじゃないの!!

「みゆき(>_<)……はやく病院へ……みゆ……ごはぁ…(゚Д゚)」

お兄ちゃんが、
また吐血しました。

こんだけ血を吐いてるのによく意識を保っていられるね。
大量出血した場合は、脳の酸素濃度が低下して頭がぼーっとするらしいよ。

それにしてもこの破壊力、笑えない。
瞳の拳ってこんなに強いの?
プロボクサー並みの破壊力なんだけど。
もしかしたら兄のろっ骨が折れてるのかもしれない。

「加減はしたから骨に異常はないはずよ(; ・`д・´)」

あれで手加減してたの?
まさかこの女ってものすごく強いんじゃ…。

私は相手の力を試す意味もあり、
姿勢を低くして奴に急接近しました。

「遅い」
「ぐふ(>_<)」

私は、なんと首を真正面からつかまれてしまいました。
そのまま壁際まで移動し、壁へ体を叩きつけられました。

背骨がきしむほど、(^ε^)-☆ 『痛い』です…
団地の壁はそんなに頑丈じゃないんだから壊れちゃうよ。

この女の腕力はプロレスラー並み…。
私は瞳に恐れをなし、その場から動けなくなりました。

「けんとくぅん(*^▽^*) 私とお話しましょ(。・ω・。)ノ&#9825;」

「ひ、ひぃ。くるなぁあぁぁ!!Σ(゚Д゚)」

お兄ちゃんは玄関の外へ引きずられていきました。
その3秒後、「いだdぁdぁあぁぁだsだだだだsぁぁぁぁぁぁぁぁだっだs」
お兄ちゃんの断末魔の叫びが聞こえてきました。
近所迷惑なんてレベルじゃないよ。夜の11時過ぎなんですけど。

ズドン。と何かが振り下ろされる音。そして兄の悲鳴。
この繰り返しが三度行われた後、先ほどまでの騒ぎが
嘘みたいに静かになりました。

玄関が再び開き、ぼろ雑巾のようになった兄が
その場で倒れ込んでいます。

「あぁすっきりした。今日はもう遅いから寝ましょ(*^▽^*)
 2人とも、おやすみなさい(^o^)ノ <」

瞳さんは何事もなかったかのように自分の部屋で寝てしまったようです。
私と兄はどうしたらいいか分からず、しばらく震えていたのですが、
兄がとりあえず寝ようと言うので、私も一緒に寝ることにしました。

一緒に寝たらまずいって?
だって一緒に寝ないと兄が明日までに死んじゃいそうじゃないですか。
玄関の外でどんなお仕置きをされたのか知りませんけど、今の兄の顔、
ヒットポイントが残り3のホイミスライムみたいですよ。

私は弱り切った兄の体を抱き、互いの体温を感じながら朝を迎えました。


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