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作品名:令和10年。財政破綻と強制労働と若い兄妹の絆の物語 作者:なおちー

第30回   瞳「賢人は妹を女として愛している……?(; ・`д・´)」
※ ☆さかがーみ・ひとみん☆です。

ここまで腹が立つのは何年ぶりでしょうか。
あんなにも愛おしいと思った彼のことが
こんなに憎らしく思えるなんて。

これからワクワクドキドキの同棲生活が始まるかと思いきや、
彼はすでに妹さんのことを性的に意識していたことが明らかになった。

今でも信じられないわ。
彼には嘘だって否定してほしかったのに、あっさり肯定された!!

美雪は実の妹なんだよね? 
血の繋がってないとか、そんな裏設定はないはずよね!?
なのに男としての感情で愛してしまっているって、なにそれ!!

「あぎゃああああああああああああああああああああああああああ(>_<)」

私はこの怒りを彼にぶつけることにしたのです。
彼の腕を力いっぱい握ってやりました。
ただ握っただけですが。今の彼は地獄の苦しみと戦っていることでしょう。

なんと私の握力は、片手でリンゴを握りつぶせるほどなのです。
坂上家の娘を舐めないで下さい。

私の握力だけで
その辺の成人男性は再起不能にすることができると自負しています。

「ぽっぉぉおぉぉぉぉぉxぎゃだぁぁぁぁぁあぁぁあぁあああx」
「おれるぅぅうっぅぅぅXおれるうううううぅぅぅぅぅぅぅぅx」

まだ離してあげません。

ヒトミのこと愛してるって……あんなに言ったくせに。
本当に愛してるのは妹の美雪だったんだ!!

くやしい!! くやしい!!
私をずっと騙してたのなら、いっそこの人を殺してやる!!

「これは何の騒ぎなのだ!!」

いかつい主任が来てしまった。従業員の誰かが通報したのだろう。

「ぬぅ!?」

賢人は私が手を放してあげたので、床にへたり込みました。
涙と鼻水で汚れた顔で、主任へ助けを求めました。
そんな彼に対し、主任は一言「キモっ」と吐き捨てました。

「俺はぁ……嘘じゃなくて……本当に君のことが好きなんだぁ……」
「まだいうの。その口が開けなくなるまで痛めつけてあげましょうか!!」
「おぐっ……いyががふぁさdqふぇcwdさくぁsdfくぁえsくぁs」

私はアルコールスプレーの原液を彼の口の中につっこんであげました。
彼は激しくむせ、苦しさから逃れるために床を転げまわりました。
この作品は転げまわる人が本当に多いですよね。

「さ、サカガミ…」 唖然とする、主任。
「何があったのか知らないけど、その辺にしておきなよ」 止めに入る、かぐや姫
「最近の若い娘さんは乱暴になったよね」 穏やかな顔で語る、賢人の父。

あれ……? 違和感が。主任とかぐや姫(私と仲良し)は
同じ会社の人だからいいけど、賢人の父ってなに?

「やあ。また遊びに来ちゃったよ」

そう言って手を振る、中年太りの56歳の男性。
髪型はホリエモン。
名前はシブヤ・タクヤ。略してシブタク。よろしく。

「貴様は何者なのだ!!」

「おうっ。びっくりした。
 主任さんも声が大きいねー。僕は一応賢人の父だ。
 そして今日は三者面談をしにここに来たんだ」

「三者面談だと…ここは学校ではないのだぞ。
 しかも今は勤務中で部外者立ち入り禁止だ。
 部外者は尋問の末,銃殺刑が定番コースである」

「物騒なこと言わないでくれるかな? これでも
 坂上さんの旦那さんに入社許可証はもらってるんだけどね」

坂上栄一。私の父の名前で署名された許可証だ。
米軍特殊部隊で訓練されたと思われる、
筋骨たくましく角刈りの主任は最敬礼し、無礼をわびた。

「このフロアにいる、全従業員の諸君に告げる!!
 ただ今の時刻を持ち、ご覧の三名による三者面談が開始される!!
 諸君らは気にせず、いつも通り仕事に専念してほしい!! 以上だ!!」

ちょっと展開が早すぎてついていけないわ。
三者面談ってどこでするつもり?
会議室とかに移動すればいいの?

「移動するのが面倒だからここでいいじゃないか。
 こら賢人。ここに座りなさい」

賢人はめそめそ泣きながら絨毯の上に正座した。

「お父さんが何に対して怒ってるのか分かるかな?
 分かるんだったら当てて見なさい」

「俺が……俺が婚約者の瞳の気持ちを踏みにじったからです。
 俺がロリコンでシスコンの変態だったからです」

「そうだ。おまえは変態だ。そこが問題なんだ」

なんだか私のことは二の次みたいな言い方がひっかかる。

「ぶっちゃけお父さんは、おまえと瞳さんの
 婚約なんかどうでもいいんだよ」

どうでもいいの!?Σ(゚Д゚)

「美雪は私の大切な娘だ。どのくらい大切かと言うと、
 10億円する宝石よりも大切な存在なんだ。
 それをおまえは、おっぱいを触るだけじゃなくて
 おしりを触ったりしてただろう。美雪が洗い物をしてる時とか」

「う……なぜそれを……」

お尻まで触ってたのね。(; ・`д・´)
どうして彼は罪を素直に認めるのかしら。
しかも赤面してる。

「相手が妹じゃなかったら、おまえはとっくに犯罪者。
 断罪。死刑を求刑。判決。絞首刑。
 自分のしてたことの罪の重さが分かったか?」

「っせえ!! 親父だって……!!
 いや、やっぱりやめておくよ」

「途中で止めるのは若者特有の逃げだよね。
 言いたいことがあるなら、最後まで言ってみなさい」

「美雪が高校生の時、親父が脱衣所で美雪の脱いだ体操着の
 匂いを嗅いでたのを見たことがあるぞ!!」

体操着の匂い!?ヽ(^o^)丿 
まじかよ Σ(゚Д゚)
やべー (・´з`・)

近くの席の男性オペ陣がドン引きしてます。
中には、美雪さんってそんなに美人なのかよ、
顔見てみたい、なんて言ってるアホもいます。
この人達に飲みかけのペットボトルをぶん投げていいですか?

「まあスキンシップの一種だよね」
「あれのどこがスキンシップだ!!」

渋谷家って……まさかそっち系の家系なの?
てかこれのどこが三者面談なの?
私が話に参加してないんですけど。

「美雪には黙っておいてあげたけど、
 本人が知ったらショックだろうなぁ。
 もう二度と口を聞いてもらえないんじゃねえのか」

「大丈夫。美雪ならきっとわかってくれる。
  僕の米国株式も譲渡したばっかりだ」

株は関係ないんじゃ……

「親父。いつもいつも俺を見下して
 俺と美雪の仲を引き裂こうとしやがって。
 俺が今まで何回リビングでAVを上映されたか覚えてるのか?
 しかも美雪の見てる前でよぉ!!」

「7回くらい?」

「30回は超えてるよ!! しかもあれ俺の持ってるAVじゃねえ!!
 なんで女教師や人妻ものばっかりなんだよ!!
 俺は年上には興味ないって知ってるくせによぉ!!」

爆弾発言を聞いてしまいました。
今の彼は……? あるいは、その当時の彼は……? 
年上の女性には興味ないそうです。
私は彼より7歳も上なんですが (ノД`)・゜・。

「あれだけやっても美雪のブラコンが治らないんだから困ったもんだ」

「俺と美雪は真の意味で兄妹なんだ。偽物じゃない」

「美雪はお前に騙されてるだけなんだよ。
 父として早く目を覚ましてほしい」

「親父。嫉妬はみっともないぞ。
 親父には母さんがいるんだから我慢しろよ」

「僕は40過ぎの女にはあんまり興味ないんだよ。
 それに明美の性格は99%男性だよね。
 つまり女として意識するのは無理だ」

うわぁ……
 
「だいたい何が三者面談だ? ふざけんな!! 
 仕事が遅れると明日以降に響くんだよ!! 
 もういい!! くだらない茶番は終わりだ!!
 頭にきたから美雪に親父の悪事を全部ばらしてやる!!」

携帯に電話してるけど、美雪さんは八王子の大学に
通ってるのだから簡単には出てくれないと思うけど。

「はーい(=゚ω゚)ノ 私ならここにいるよ」

なんか、普通に出て来た。ここに。
つまりこの会社に。この部屋に。

「ペンタックに勤務している従業員のみなさーん
 (´ー`) 始めまして☆
 私が渋谷賢人の妹の、MI☆YU☆KI☆ 
 でーす(DEATH)!! (∩´∀`)∩」

ざわつきではなく、どよめきが発生しました!!
フロアにいる従業員30人分の視線が
一斉に美雪さんに集中します!!

もはやアイドル!!

(*・ω・)(;´・ω・)(*-ω-) ( ゚Д゚)(*-ω-)(;・∀・)

すげーかわいー!! 
明るい感じの子だな!!  
あの娘、女子大生なの? 
目元が渋谷君に似てるわ!!
若い子はうらやましいわー 
妹ちゃん、さいこー!!

「皆さんの前で宣言しようと思います。
 私と兄は兄妹ですが、なんと婚約することにしました!!(^o^)」

今度は沈黙に支配されました。
爆弾発言のレベルをはるかに超えた、
もはやソ連の戦略ロケット軍の攻撃を受けたかのごとく。

「兄弟で結婚ってやっぱり引かれちゃいますよね!!
 でも私は高校の時から同級生の偏見と闘ってきましたから
 慣れてるんですよね、エヘ('◇')ゞ 」

「最近は同性婚がようやく認められたりと、
 LGBT、世間の性的マイノリティに対する扱いはまだまだ厳しいです。
 それでもなお、私と兄は世間の偏見と真っ向から戦い、
 これからも幸せな関係を築いていこうと思っています(∩´∀`)∩」

「なぜなら私と兄の関係は、でき婚してすぐ離婚しちゃうような
 若者たちと違い、偽物じゃなく本物の信頼関係に
 よって結ばれているからです!! 
 私と賢人は、もはや兄妹の枠に収まりきるほどの
 関係ではありません。一歩前へ!! 
 その関係の一歩先に進むために…」

――私たちは結婚することにしたのです!!

※ニュースでよく聞く『LGBT』とは、
Lesbian(女性同性愛者)
Gay(男性同性愛者)
Bisexual(両性愛者)
Transgender(性別越境者)
の頭文字をとった単語で、
セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつです


誰か迫撃砲弾とか持ってないかしら。
できれば今すぐ美雪さんの脳みそごと粉砕してあげたい。

あと美雪さんの発言は、ここにいるバツイチのみんなに
喧嘩を売ってることに気づいているのかしら?
なんか、デキ婚してすぐ離婚する若者とかほざいていたけど、
まさにこの職場の女性の過半数が該当しているのよ。悲しいことに…。

「ひとつ質問があるわ!! (; ・`д・´)」
「なーに? ヒトミお姉さん (´ー`)」
「あなたは賢人にセクハラされたのは認めるのよね!?」
「そーだねぇ (´ー`)」

「妹としてどう思うの!? 
 夜寝てる時に体を触られたりしてなんとも思わないの!?」

「別に。兄だったら嫌じゃないですけど」

「嫌じゃないですって!?」

「うん。だってこれから夫婦になるんですから」

この言葉に渋谷家のパパは大泣きながら帰って行きました。
あの人、いい年して何しに来たんだろう……
うざいから早くモンゴルに旅立ってほしいのだけど。

それよりこの展開は何?
ギャグっぽい流れで最後は妹エンドで終わらせるつもりなの?
グリム童話のヘンゼルとグレーテルが元ネタ?
あの作品って近親相関が主題じゃないでしょ。
美男美女の兄弟って設定は渋谷家にも当てはまるけれど。

美雪「こうして私と兄はペンタックの従業員たちに
   祝福され、無事結ばれたのでした。終わり」


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