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作品名:月下氷人 作者:箕輪久美

第5回   看破
 「美彩季ちゃん」
「・・・・・」
「美彩季ちゃん、どうしたの?」
「あっ・・・紗耶ちゃんか」
「どうしたのよ、いったい?」
「私ね、だめだったわ・・・」
「何がだめだったの?」
「彼ね、きれいな彼女がいたんだ」
「ええっ!!そうなの !?」
「うん、モデルさんなんだって。ああ、たったの四日間だけだったなあ・・・」
「彼からそう聞いたの?」
「いや、デートしているのを見かけちゃったのよ」
「じゃあ、なぜ、彼女がモデルだとわかったの?」
「彼女、スポーツクラブで彼の指導を受けているのよ。彼女がモデルだというのは、他の会員さんから聞いたの」
「そう、でも、彼が自分で彼女だと言っていないのなら、まだ、わからないじゃない」
「そんなことはないわよ。あんなに楽しそうに腕を組んで歩いていたんだもの」
「いや、それは、わからないよ・・・ねえ、美彩季ちゃん。私を、2人のいるところへ連れて行ってくれないかな」
「そんなことをしてどうするの?」
「私ね、恋愛をしている人たちの感情がなんとなくわかるのよ。2人を見てみれば、お互いをどう思い合っているかがわかると思うの」
「えっ!まっ、まさか、そんなことが・・・」
しかし、紗耶香が、自分には考えも及ばない不思議な力を持っていることを美彩季は思い出した。剛志との恋愛を予知したのも、他ならぬ紗耶香であったのだ。
「いいわ、じゃあ、明日私についてきて。スポーツクラブで2人に会える可能性は、十分あると思うわ」
 翌日、美彩季は、前日に引き続いて元気がなかった。紗耶香は、『まだ、わからない』と言っていたが、デートの様子からして、相思相愛であることは明白であった。その結論が、今日出るのである。美彩季は、前回、タイ人留学生のチュラポーンに、女は見かけだけではないと言ったことを後悔していた。それでは、外見以外で自分のどこが彼女に勝っているのか。
自信の持てるところなど一つもなかった。いまさら、剛志が、美彩季に目を向けるなどということは、あり得ないことだった。
 終業の時間となった。先週末とはうって変わって、美彩季は、重い足取りでスポーツクラブへと向かった。今日最終宣告をされるかと思うと、できることならこのまま引き返したい思いだった。
やがて、スポーツクラブに到着した美彩季は、更衣室で着替えを済ませ、意を決してトレーニングルームに入った。いつものように、インストラクターたちが、元気のいい挨拶で美彩季を迎えてくれた。
剛志は、美彩季から見て左の前の方で器具の整備をしていたが、美彩季に気が付き「副島さん、こんばんわ〜」と笑顔で挨拶をしてくれた。
美彩季も、「こんばんわ〜」と挨拶を返したが、あえて剛志に近づかなかった。モデルの女性は、今日は見当たらなかった。
 「紗耶ちゃん、今の人が、剛志さんよ。よく、覚えておいて」美彩季は、姿の見えない紗耶香に話しかけた。そして、準備体操をした後、ゆっくりと2階のトラックで走り始めた。
2階のトラックからは、トレーニングルームがすべて見渡せるため、人の出入が非常によくわかる。もし、モデルの彼女が、入ってきたら最も気が付きやすい最適な場所といえた。
美彩季は、常に下に注意を払いながら、いつもよりスピードを落とし、ゆっくりとトラックを走った。そして、5周目にさしかかったところで、前回とは違った色の派手なトレーニングウェアを着たモデルの彼女が、通路を歩いている姿をその視界に捉えた。彼女は、トレーニングルームに入るとすぐに、剛志を呼び寄せ、何か談笑しながら準備運動をしてトレーニングに取り掛かった。
 美彩季は、靴の紐を結びなおす振りをして立ち止まり、紗耶香に話しかけた。
「今、剛志さんと話しをしている派手な色のトレーニングウェアを着た女性が、モデルの彼女よ。私は、あと5周ゆっくりとトラックを走ってからここを出るね」
小声でそう言うと、美彩季は、再びゆっくりとトラックを走り始めた。そして、5周を走り終えると1階に降り、トレーニングルームを出て、浴室でシャワーを浴びてからスポーツクラブを後にした。
 美彩季が向かった先は、スポーツクラブから程近いお寺であった。あらかじめ、スポーツクラブの周辺をインターネットで調べておいた美彩季は、クラブの北東方向にお寺があることを確認していた。5分ほど歩いて、美彩季は、お寺に到着した。
「みっ、美彩季ちゃん!たっ、大変よ!!」
「えっ!どっ、どうしたのよ。いったい!」
紗耶香が、血相を変えているので、美彩季の方が、逆に慌ててしまった。
「あの女、彼のことを愛してなんかいないわ!」
「ええっ!どっ、どういうこと?」
「何か企んでいるわ」
「企んでいる?」
「そう、彼を利用して何かしようとしているのよ!」
「ほっ、本当!?」
「彼は、あの女のことを気に入っている。それは間違いないわ。でも、あの女は、そこに付け込んで、彼を使って何かをしようと企てているのよ」
「まっ、まさか・・・・」美彩季は、あまりのことに絶句してしまった。
「それが、何なのかはわからないわ。でも、放っておいたら、彼が危ない!」
美彩季は、紗耶香の言うことが、にわかには信じられなかった。しかし、話してもいないのに美彩季の考えていることを言い当てたり、美彩季の恋愛を予知したりした紗耶香が、これほど取り乱して剛志の身を案じているのである。嘘や冗談を言っているようには、とても思えなかった。
「そっ、それで、どうすればいいの?」
「美彩季ちゃん、あの女の住んでいるところがわからないかな?」
「住所か・・・難しいわね。クラブでは当然把握していると思うけど、私たちには絶対に教えてくれないし。でも、それを知ってどうするつもりなの?」
「私なら、気付かれずにあの女の部屋に入ることができるわ。そして、そこでずっと張っていたら、何をしようとしているのかがわかるかもしれない」
「それなら、今日、彼女の後をつけて行くことはできないの?」
「その人の同意なしには、ついて行くことはできないのよ。今日は、美彩季ちゃんが了承してくれたからここに来ることができたの。あの女が、ついて行くことに同意するはずはないし、それ以前に、あの女には、私の姿は見えはしないわ」
「う〜ん、そうか・・・」
「あっ!・・・ある、あるわ!一つだけ可能性がある!」
「えっ、どっ、どんなこと?」
「紗耶ちゃん、今日中には無理なので、明日いつもの神社で会いましょう。住所については、その時に報告するわ。じゃあ、今日はこれで」そう言うと美彩季は、一目散にスポーツクラブへと戻って行った。
 2時間が経った。ここは、Tスポーツクラブから程近いある居酒屋の個室。
「いよ〜、珍しいね。あんたが平日の、それも、月曜日の夜に会いたいだなんて」
桂子は、約束の時間より5分程遅れてやって来て、入口の引き戸を開けるなり、いつもと同じ調子で美彩季にそう言った。
「ごめんね。忙しいところ。まあ、座って」
桂子が、掘り炬燵式の座敷に腰かけたところで、店員が注文を取りに来た。
「今日は、私が全部持つから、何でも好きなものを注文して」
「ええっ!あっ、あんたどうしたの?明日、雪でも降るんじゃないの?」
「いいから、好きなものを注文して」
「そう・・?」
桂子は、いぶかしげに、適当に思いついたものを注文した。そして、店員が部屋を出ていくなり、心配して「あんた、何かあったの!?」と訊ねた。
「ごめん。何も聞かないで、この人のことを調べてほしいの」
美彩季は、そう言うと、ポケットからスマホを取り出して、ディスプレイにモデルの彼女の静止画数枚を映し出し、桂子に向けてさし出した。
 紗耶香と先程お寺で別れた後、美彩季は、忘れ物をしたふりをしてスポーツクラブへと戻った。そして、電話をしているふりをして、スマホで彼女を撮影してきたのだった。
「どっ、どういうこと?」
「ごめん。事情は話せないの。この人の住所を調べてほしいの。お願い、私を助けて!」
美彩季は、そう言うと、頭をテーブルにこすりつけて懇願した。
「ちょっ、ちょっと、あんた、なっ、何をしているの!頭を上げなさいよ・・・あんたがそこまでするんだから、よっぽどのことなのね・・・」
「お願い、助けて!」
「よし、いいわ。調べてあげる!写真をよく見せて」
「あっ、ありがとう!恩にきるわ。」
「私に調べてくれということは、その子モデルなの?」
「そうよ。どこの事務所なのかは、わからないけど」
「ん?この子・・・どこかで見たことがあるわ」
「ええっ!ほっ、本当!」
「うん、もちろんうちの事務所の所属ではないけど、確かに、以前にどこかで会ったことがあるわ」
「そう!調べられそう?」
「大丈夫よ。まず間違えなく調べられると思うわ。じゃあ、その写真、私のスマホに送って」
「あっ、ありがとう。本当に助かるわ!」
美彩季は、言われた通り、桂子のスマホに先ほど写してきた彼女の写真を送信した。
「じゃあ、明日同じ時間にここに来れる?」
「もちろんよ」
「OK。それじゃあ、明日までに調べてあげるわ」
「あっ、ありがとう!本当によかった!」美彩季は、思わず涙ぐんでしまった。
「あっ、あんた、本当に困っていたのね!」
「うん、でもよかった。やっぱり持つべきものは友だわ」今度は、安堵の表情を浮かべた美彩季だった。
 翌日、退社後、美彩季は、いったん帰宅して、いつもの神社で紗耶香と話をしていた。
「沙耶ちゃん、モデル事務所に勤めている友達がね、彼女の住所を調べて、今日教えてくれることになったの」
「そう!それはよかった!じゃあ、住所がわかったら今日にでもそこに連れて行ってね」
「いいわ、でも、それ程急がなければならないの?」
「そうよ、あの女が考えていることは、具体的には分からないけれど、間違いなくとんでもないことよ!そのことだけは、絶対に確かだわ。だから、こちらが一歩出遅れただけで本当に取り返しのつかないことになるのよ!」
「わかったわ。じゃあ今日のうちに行きましょう」
「うん、それと、住所がわかったらその近くのお寺か神社を調べておいてね」
「ああ、そうね。調べておくわ」
「わたし、ずっとあの女の部屋に詰めているから、一日一度、そのお寺か神社に会いに来て。何かわかったらすぐ教えるから」
「ありがとう。それにしても、まさかこんなことになるとは・・・」
「美彩季ちゃん、弱気になったらだめよ。なんとしても彼を救い出さなければ」
「そうね」
美彩季は、事態が切迫していることを改めて実感した。
 美彩季が、紗耶香と話し始めてから約30分が経った。
「さあ、そろそろ行かなければならない時間だわ。紗耶ちゃんもついてきて友達の言うことを一緒に聞いていてね」
「うん、わかった」
2人は、神社を出て待ち合わせの居酒屋へと向かった。
 美彩季と紗耶香は、約束時間の10分前に居酒屋に到着したが、桂子は、珍しく先に来ていて部屋で美彩季を待っていた。
「あれ、早いね。待たせちゃった?」
「いや、私も今さっき着いたばかりだよ」
「それで、どうだったの?」
「うん、それは、オーダーをした後でじっくり話すわ」
桂子は、呼び鈴を押して店員を呼び、適当に飲み物と料理を注文した。そして、店員が部屋を出ていくと、さっそく調査の結果を話し始めた。
「美彩季、あんたが調べてくれって頼んできたモデルの子、すっごく評判悪いよ!」
「えっ、そうなの?」
「どうするつもりなのかは知らないけれど、ちょっと気を付けた方がいい人物だよ」
「そっ、そう」
「じゃあ、名前から順に行くよ」
「モデル名は、如月ジュン。本名は、平凡で鈴木弘子。身長171センチ。体重49キロ。スリーサイズは、84、55、85。生年月日は、平成5年5月30日生まれの24歳。そして、あんたの知りたがっていた住所は、これよ」
そう言って、桂子は、スマホに書き込んだモデル如月ジュンの住所を美彩季に示して見せた。そこは、市内の一等地にある高級マンションであった。美彩季は、一文字一文字を書き間違えないように確認しながらしっかりとメモした。
「ありがとう、桂子」
「それと、この子、パトロンがいるよ」
「えっ、パトロン?」
「そう、これがパトロンの川田権造」
そう言って、桂子は、スマホに写った権造の写真を美彩季に見せた。
それは、50代半ばと思われる頭の禿げあがった中年男性で、お世辞にも品がいいとはいいがたい顔立ちであった。
「この川田なんだけどね、市内に10店舗ほど展開している風俗店のオーナーなのよ。そして、この風俗店が、非常に危ない商売をやっているらしくて、すごく評判が悪いの。やくざとの関係も取り沙汰されているほどよ。この子もその風俗店の経営に関わっているんじゃないかと、もっぱらの噂よ」
「美彩季、何でこの子のことが知りたいのかは聞かないけれど、本当に気を付けなさいよ!下手をすると命に関わることにもなりかねないわよ!」
「ありがとう、桂子。本当に、本当に助かったわ」
美彩季は、礼を言いながら、桂子の情報収集能力のすごさにほとほと感服していた。
たった一日で、ここまでの情報を集める力は、尋常ではない。まったく、頭の下がる思いだった。そして、こんな危ない情報を外部に漏らしていいはずがないことも、美彩季は、十分に理解していた。自分の身を守るためにも、桂子に迷惑をかけないためにも、美彩季は、よほど慎重に事を運ばなければならないと、いっそう身が引き締まった。
 桂子と別れた美彩季と紗耶香は、タクシーで弘子の住むマンション近くの神社へと向かっていた。美彩季は、桂子から得た情報で、紗耶香の言っていることの信ぴょう性の高さを確信できた。
もともと疑っていたわけではなかったのだが、あまりにも話が現実離れしていたため実感がわいてこなかったのだ。しかし、ここに至って剛志に危機が迫っている可能性が高くなり、緊迫感が一層増してきた。
弘子の企てとは、いったい何なのか。そして、剛志をどのようにその企てに巻き込むつもりなのか。美彩季は、車内でそのことが、片時も頭から離れなかった。タクシーは、20分程走って、目的地の神社へと到着した。
 「沙耶ちゃん、それじゃあ、マンションまで行くからついてきて。」
「うん。お願い」
美彩季は、スマホの地図を頼りに、弘子の住むマンションの方向に歩き始めた。そして、10分ほど歩いて到着した場所に、美彩季には一生縁のないような、目もくらむような高級なマンションが建っていた。いかにモデルとはいえ、とても、24歳の独身女性の手に入るような代物ではないことは、一目瞭然であった。
「沙耶ちゃん、部屋番号は501だから、5階の右端か左端のどちらかの部屋よ。それは、建物に入ってから確認してね。それじゃあ、また明日、さっきの神社で会いましょう」
美彩季は、そう言うとその場を立ち去り、最寄りのバス停からバスに乗って帰って行った。
 如月ジュンは、その日、市内で行われたファッションショーに、モデルとして出演していた。ショーは、盛況のうちに終了し、その後、スポンサーとの打ち上げに参加して21時半ごろに、帰宅するタクシーに乗り込んだ。今日は、権造が、マンションに泊りに来ることになっていた。22時過ぎにマンションに到着したジュンは、いつものように、エントランスの静脈認証装置に手をかざし、マンション内に入った。ジュンは、この時、紗耶香も同時にマンション内に入っていたことには、当然気が付いていない。いつも通りにエレベーターで5階まで昇り、自室のドアを開けて部屋に戻った。紗耶香は、ジュンがドアを開けて鍵をバッグにしまっているその間隙をぬって、ジュンより一瞬早く部屋に入ることに成功した。
ジュンは、帰宅するとすぐにシャワーを浴びた。そして、その後、今度は、権造を迎えるために、入念に化粧を始めた。
 ジュンが帰宅して30分が経った頃、リビングにあるインターフォンが鳴った。
「はい」
「わしだ」
「ああ、お帰りなさい。今、ロックを解除するわ」
ジュンは、モニターで権造の姿を確認して、ロックを解除した。しばらくすると、今度は、もう一度インターフォンが、違った音色の音を鳴らした。
「はい」ジュンは、再度モニターで、ドアの向こうにいる権造の姿を確認して、ドアを開けた。
「お帰りなさい」
「うむ」
「コートを預かるわ」
「ああ、すまない」
「食事は、すましたの?」
「ああ」
「じゃあ、何か飲み物は?」
「そうだな、ウィスキーをロックでもらおうか」
「はい」
ジュンは、ジャケットを脱いで、リビングのソファーでくつろいでいる権造のもとに、ロックのウィスキーを2つ作って持ってきた。
「とりあえず、3人目処が立ったよ」
「そう。いつこちらに来るの?」
「3日後だ。しかし、一つ問題がある。奴らの持ってくる偽造パスポートには、日本のビザが張っていないんだ。日本のビザの偽造は向こうでは難しいらしい」
「ビザがないと滞在できないんじゃないの?」
「いや、タイ人なら15日間だけなら、ビザなしでの滞在は可能だ」
「でも、15日間ではとても目的は達せられないわ」
「そうだ。体を張って稼いでもらうためには、できるだけ長く日本にいてもらう必要がある。そこで、H組の配下でビザの偽造ができる組織があるそうなので、H組の組長に話をつけた。奴らの偽造パスポートに興行ビザを偽造する。それで、最長1年間は日本での滞在が可能だ」
「そう」
「弘子、3人が来たら、用意したアパートに3人を連れて行って、奴らからパスポートを回収してきてくれ。そして、わしが指示するH組の人間にそのパスポートを渡して、偽造が完了したら、その人物からパスポートを受け取り、3人にパスポートを返してやってくれ」
「わかったわ。3人が、日本に到着する時間は?」
「金曜日の午後3時半の便で、K空港に到着する。後は、今話した通りに頼む」
「はい」
「実はね、私の方も、いい知らせがあるの」
「ほう」
「タイ語ができる男を見つけたわ。タイ人と実際に会話をしているところを見ているし、そのタイ人からもその男のタイ語の力を確認したわ」
「そうか、しかし、まだ我々の計画を話してはならんぞ」
「もちろんよ、今、密入国者を管理してくれなんて言ったら、こちらが捕まってしまうわ」
「そうだ。お前なら、その男を籠絡することは、たやすいだろう。しかし、それでは、まだ、まだ、不十分だ。どんなことでもいいから、その男の弱みを握れ。そうすれば、行く行くは、その男に密入国の指揮を任せることもできるかもしれん。そのあかつきには、ブロカーに金を払う必要がなくなって、お前の夢である、クラブの経営にも一歩近づこうというものだ」
「フフフ、素敵な話ね」
「まあ、焦ることはないさ」
2人は、ロックのウィスキーを飲み終えると、シャワーを浴びて、寝室へと消えて行った。


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