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作品名:Time 作者:水谷 心

第1回   1
痛みは、誤魔化す度に疼くものだ。
私のその痛みは、疼くほどにぐるぐると胸の辺りをごちゃ混ぜにして、
モヤモヤとなり、心を少しずつ黒くしていく。
綺麗なものを綺麗と、良いものを良いと、思いたいのに、私はどうしようもなく汚いものを見たくなるのだ。

空はどんよりと曇っていた。こんな空を見ると私の心みたいだといつも思う。
行くあてもないのに、私は歩き出す。
大宮駅で降りるとマルイに繋がるコンコースの目の前にあるカフェに入った。
店の中には、ムッとしたような湿気の帯びた空気が漂っていた。
ー...気持ち悪くなりそう。
私は店から出ようか悩んだが、行くあてもなないのだと思うと出る気は失せた。
カフェモカを注文し、喫煙席に腰を下ろした。
流行らないよな、と思った。23歳の女が煙草を吸うことについて。
今は煙草を吸う人は、少ないようだ。
私たちの父親世代は吸う人が多いのに。
小さい頃は、煙草の匂いで気持ち悪くなっていたのに。
もう私の中で、煙草のない生活というものが想像出来ない。


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