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作品名:職員会議ラプソディ「カンニング指導の顛末」 作者:やま

最終回   1


職員会議ラプソディ

「カンニング指導の顛末」    作 大山哲生

山田「ほな、今から職員会議やります。今日の案件は、教務より、研修部より、親睦会より、指導部より、の順でいきます」

高田「指導部より親睦会の方が先というのはおかしいんと違いますか」

山田「親睦会は早く終わるらしいので、先にやりたいんですが」

高田「ぼくは、やっぱり指導部のことを先にやった方がいいと思います」

吉田「どっちでもええやないか。はよはじめてください」

山田「議長としては吉田先生はあてていませんので、不規則発言はやめてください」

吉田「何が不規則やねん。不規則というのは当て推量のことやろ。怒るでしかし」

萩原「それもいうなら憶測や。はいっ議長、憶測と不規則はちがうと思います」

道本「国語科といたしましては、やはり教師たる者はきちんとした言葉遣いをしなければならないと思います」

山田「では、不規則か憶測かで多数決をとりたいと思います。不規則だと思うひと・・・・十四人、では憶測だと思う人・・・・十四人、同数ですので、校長先生の一票で決めます。校長先生どちらですが」

校長「私は不規則が正しいかと」

山田「では不規則ということに決まりました。さて、わしもへそ曲げたで。指導部からいきます」

水川「それは議長の勝手な・・・・」

山田「シャルラップ!!!!!」

倉内「えー、英語科としましては、今の発音には問題があるかと。シャラップ、これが正しい」

校長「うちの職員会議は疲れるわ。ここまででもう一時間もたってる。もすこしてきぱきやってんか」

山田「では指導部長、お願いします」

寺木「では指導部からですが、先日二年三組で発生した大量カンニング事件についてですが、二年三組担任より説明をしてください」

辻本「実は、先週の期末テストで、ある漢字の書き取りを出題したんですわ。一組で書けたのはクラスで二人だけ、二組で書けたのは三人、三組で書けなかったのは三人だけ」

寺木「ややこしい言い方ですね。つまり三組は三十七人が書けたということですね」

辻本「そやねん。三十七人が書けたのに、クラストップあたりの三人は書けなかった。つまり、いったい誰が誰の答えを写したかがわからんのです」

校長「なんという漢字ですか」

辻本「『薔薇』という漢字です」

教頭「そんな漢字は教科書には出てないやろ」

辻本「出てなくても、薔薇は私の大事な趣味やから出題するのは当然ですわ」

寺木「今、報告があった通り誰がどうカンニングしたのかが全くわからないのです」

当麻「わたし、わかります」

辻本「わかるか」

当麻「わかりますとも。あの教室はのろわれているんです。昔、平家の落ち武者があのへんで死んだという話が」

菊山「異議あり。社会科といたしましては平家の落ち武者なんぞおかしくって」

「そうだそうだ」の声

菊山「平家なんてとんでもない。それもいうなら南朝の落ち武者が」

一同「なんでやねん」

寺木「このカンニング事件は真相がわからないので次にいきます。昨日玄関の掃除がされていませんでした」

辻本「えーと、あそこの掃除は二年三組の菊班の担当でした。菊班はさぼる子が多くて困るわ。先週のチューリップ班はよく掃除したのに」

校長「二年三組は班に花の名前をつけているんですか」

辻本「そうです、菊班とか薔薇班とか」

校長「薔薇班・・・。先週の期末テストの時の日直は何班でしたか」

辻本「先週は薔薇班が日直でした。子どもらが忘れないように前の黒板に日にちと班の名前を大きく書きます・・・・あっ・・・」

山田「みなさん、真相がわかったようですね。今日はもう疲れたし職員会議はやめや」

校長「なるほど、職員会議も『いばらの道』」


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