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作品名:列車の窓に手紙 作者:窮理

最終回   1
夜の駅ホーム。かよ子とあやめが立っている。かよ子はスーツケースを持っている。あやめはカバンを持っている。
かよ子:(ひろしにケイタイをかける)もしもし、ひろし?どこにいるの?もうすぐ列車が出るわよ。
あやめ:(かよ子に気づく)かよ子さん?あなたはどこに行くんですか?
かよ子:(ケイタイを切る)あら、あやめちゃん。こんなところで会うなんて。私はちょっと旅行に行くの。
あやめ:旅行?一人で?
かよ子:(嘘をつく)ええ、一人で。気分転換にね。
あやめ:そうなんですか。私はひろしさんと待ち合わせているんですけど。
かよ子:(驚く)ひろしさん?あなたとひろしさんはどういう関係なの?
あやめ:(照れる)私はひろしさんが好きなんです。でも、ひろしさんは私のことを知らないと思います。
かよ子:(動揺する)そうなの?でも、ひろしさんは私の彼氏なのよ。
あやめ:(ショックを受ける)えっ?本当ですか?
かよ子:(罪悪感を感じる)ええ、本当よ。だから、あなたはひろしさんに近づかないでください。

駅の入り口。ひろしが走ってくる。
ひろし:(息を切らして)かよ子!かよ子!
ホームに戻る。列車が発車する音がする。
かよ子:(決心する)ごめんなさい、ひろし。私はもう行かなくちゃ。私たちは終わりだわ。
列車の窓からかよ子が手を振る。
ひろし:(呆然とする)かよ子!かよ子!待って!

ホームに残ったひろしとあやめが見つめ合う。
ひろし:あやめ、ごめん、俺はかよ子の後を追う。
あやめ:なぜ、行くの?
ひろし:今は急いでいる。後で手紙を書く。
あやめ:行かないで、ひろし!ひろし!待って!
ひろしが次の列車に乗る
あやめ、一人ホームに残る。
あやめ:ひろし!ひろし!本当は行っちゃだめなんじゃない!

列車の中。ひろしが座っている。手紙を書いている。
ひろし:(手紙に書く)あやめへ。俺は今、列車に乗っている。かよ子を追っている。でも、俺はかよ子のことを愛しているのだろうか?俺は自分の気持ちがわからなくなっている。俺は色々な女性と付き合ってきたけど、本当に幸せだったのだろうか?俺は自分の人生に満足しているのだろうか?俺は何を求めているのだろうか?俺は何から逃げているのだろうか?俺は誰を傷つけているのだろうか?

列車の窓から景色が流れる。
ひろし:(手紙に書く)俺はあなたに会ったとき、何かが変わった気がした。あなたは俺に優しくしてくれた。あなたは俺に笑顔を見せてくれた。あなたは俺に本当の自分を見せてくれた。あなたは俺に好きだと言ってくれた。あなたは俺に一緒に逃げようと頼んでくれた。あなたは俺に初めて感じた気持ちを与えてくれた。

列車の中で他の乗客が降りていく。
ひろし:(手紙に書く)俺は今、列車から降りるべきかどうか迷っている。もし降りたら、かよ子と会えるかもしれない。でも、もし会えたとしても、彼女は俺を許してくれるだろうか?彼女は俺と一緒になりたいと思ってくれるだろうか?彼女は俺を愛してくれるだろうか?それとも、彼女は婚約者と結婚することを選ぶだろうか?彼女は俺を忘れてしまうだろうか?

列車が目的地に近づく。
ひろし:(手紙に書く)でも、もし降りなかったら、あなたと会えるかもしれない。でも、もし会えたとしても、あなたは俺を待っていてくれるだろうか?あなたは俺と一緒に逃げてくれるだろうか?あなたは俺を愛してくれるだろうか?それとも、あなたは他の誰かを好きになってしまうだろうか?あなたは俺を忘れてしまうだろうか?

列車が駅に着く。
ひろし:(手紙に書く)俺は決めました。俺はこの手紙をあなたに送ります。そして、この列車から降ります。そして、かよ子を探します。そして、彼女に話します。そして、彼女と別れます。そして、彼女に幸せになってほしいと言います。

列車から降りる人々の中にひろしがいる。
ひろし:(手紙に書く)俺はあなたにも幸せになってほしいと言います。俺はあなたにありがとうと言います。俺はあなたにごめんなさいと言います。俺はあなたにさようならと言います。

駅のポストに手紙を投函するひろし。
ひろし:(手紙に書く)俺はあなたが好きだと言います。俺はその言葉が自分の気持ちを表していると思っています。でも、俺はその言葉をあなたに直接言えません。だから、この手紙に書きました。この手紙があなたの元に届くことを祈っています。
手紙の封筒に「あやめへ」と書かれている。

次の駅のホーム。かよ子が待っている。
列車が通過する。
かよ子:(心の中で)ひろし、どこにいるの?早く来て。
列車が着く。乗客が降りてくる。
ホームをひろしが走ってくる。
ひろし:(叫ぶ)かよ子!かよ子!
かよ子(心の中で)嬉しい、やはり追いかけてきてくれた。
ホームで二人が対面する。
かよ子:(驚く)ひろし!どうしてここに?
ひろし:(息を切らして)かよ子、話があるんだ。
かよ子:(不安そうに)話って何?
ひろし:(真剣に)かよ子、私たちは別れよう。
かよ子:(ショックを受ける)えっ?何で?
ひろし:(苦しそうに)かよ子、君は婚約者と結婚するべきだ。
かよ子:(怒る)何言ってるの?私は婚約者なんか愛してないわ!私はあなたが好きなの!
ひろし:(悲しそうに)でも、君は婚約者と結婚しなければならないんだろ?君の家族や社会の期待に応えるために。
かよ子:(泣く)そんなの関係ない!私はあなたと一緒にいたいの!今の俺は君に何も与えられない。俺は君を傷つけるだけだ。
かよ子:(訴える)そんなことない!私はあなたが好きなんだから!あなたがいればそれでいいの!
ひろし:(決断する)かよ子、ごめん。俺はもう行かなきゃ。俺は君を忘れるよ。君も俺を忘れてほしい。
かよ子:(絶望する)ひろし、やめて!ひろし、行かないで!
ひろしが走って去る。
かよ子:(叫ぶ)ひろし!ひろし!
ホームに残ったかよ子が泣く。

元の駅のホーム。あやめがまだ待っている。
あやめ:(心の中で)ひろし、どこにいるの?早く来て。
夜露に濡れた冷たい線路を見て思わず涙。
列車が着く。乗客が降りてくる。
駅の入り口からひろしが走ってくる。
ひろし:(叫ぶ)あやめ!あやめ!
ホームで二人が対面する。
あやめ:(驚く)ひろし!どうしてここに?
ひろし:(息を切らして)あやめ、話があるんだ。
あやめ:(不安そうに)話って何?
ひろし:(真剣に)あやめ、俺はかよ子と別れた。
あやめ:(ショックを受ける)えっ?本当?
ひろし:(苦しそうに)本当だよ。俺はかよ子と一緒にいても幸せになれないと思ったんだ。俺はかよ子を愛していなかったんだ。
あやめ:(泣く)そんなことない!私はあなたがかよ子さんを愛していると思っていました!私はあなたのことを応援していました!
ひろし:(悲しそうに)ごめん、あやめ。俺は君に嘘をついてしまった。俺は君のことを知らないと言ったけど、実は知っていたんだ。君が俺に好きだと言ってくれたとき、俺は驚いたけど、嬉しかったんだ。
あやめ:(訴える)そうなんですか?じゃあ、私の気持ちに答えてください。私はあなたが好きです。私と一緒に逃げてください。
ひろし:(決断する)あやめ、ありがとう。俺も君が好きだ。俺も君と一緒に逃げよう。
あやめ:(喜ぶ)本当ですか?本当に?
二人が抱き合う。
ひろし:(笑う)本当だよ。君と一緒に新しい人生を始めよう。
列車が発車する音がする。
列車の窓から手紙が飛んでくる。
手紙の封筒に「かよ子へ」と書かれている。
おわり。


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