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作品名:DEV 作者:Miami3

第16回   16
そうは言うもののこんな日の出ている時間帯からベラベラ秘密を喋ることも出来ないので取りあえず今日のところは大人しく帰ってもらうことにした。いくらなんでも長時間住み込みの使用人が屋敷を開けたら大騒ぎになることは必至だ。あまり計画を実行する前から事を荒立てたくない。ジョーはロイの肩の荷がすっかりとれた軽い足取りの背中を見送って部屋に戻った。中では相変わらず半裸のブライアントが手持ち無沙汰で待っている。
「おい、盗み聞きしてたろ?」
肩がビクっと動いてブライアントが反応する。しかし2秒後Nopと否定の言葉を漏らす。
「嘘つくなよ、俺は出ていくときドアを完全に閉めて行ったぜ。それが帰ってきたらちょっとだけ開いている。どう考えてもお前の仕業だろ?」
ブライアントは何も言わずにただぴしゃりと自分の額を叩く。
「まじかよ。ったく嫉妬深い女みたいな真似しやがって、油断も隙もねぇな」
「は、そりゃどっちだよ。それにしてもホントに盗み聞きしてたんだな?!」
ハっとジョーの言葉の真意に気が付き、カマをかけられた理解すると今度は枕に顔を埋めて足をバタバタと振り回した。それを見てジョーは大声で笑ってようやく満足した。
「まぁいいさ、でどう思う?」
「あのガキの事か?正直唯のお荷物だな。囮くらいには使えそうだけどな」
それすらも怪しいかもしれない、なのにどうしてこいつはあのガキにそこまで肩入れするような真似をする。言外にそんな意味合いも含めてブライアントは自分の考えを言った。ジョーは相変わらず思考が読めない無表情を貫く。
「そんなに不思議か?俺があのガキにあれこれ説教してやったのが」
言いづらいことを平然とぶち込んでいくのがジョークオリティだ。そこまでドストレートに言われるとは思っていなかったブライアントは言葉が詰まる。
「別に特に贔屓にしているわけじゃねー。あんまり気にすんなって言ってもお前にとっちゃ憎い敵の1人だからな」
そう言ってジョーはブライアントの肩をポンポンと叩く。2人の会話はそこで途絶えたがブライアントの頭の中ではひたすらジョーの態度に対する不満や疑念と、実は言ってはいないが何か考えがあるのではないかという期待がない交ぜになっている。ブライアントは黙ってジョーの部屋を出ていった。その後姿にジョーは何の言葉もかけない。


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