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作品名:DEV 作者:Miami3

第13回   13
「君をしばらくミラーノのお付きの使用人としての立場から解任する」
「・・・・・・解雇ですか?つまり」
震える声でようやくそこだけ絞り出した。怒鳴られるより、殴られるより、罵倒されるより身に沁みる。どうして?そんな意味のないのかあるのか分からないような言葉を投げかけたい。答えが返ってくるのかは分からないが。
「いやいや、そんな不景気な話ではない。栄転だ」
快活な声でクロフォードは返す。
「正直な話、わたしが望んだことではない。ミラーノをなるだけ平静に保つためには君を傍に置いておくのが1番だとわたしもはっきり分かっている、だが、マクレモアの方はそう思っていない。出来るだけ結婚が終わるまでは身内以外の男を近づけさせたくないんだ。だから君にはミラーノの傍から離れて・・・・」
「納得がいきません!!!」
誰よりも先に大声で反応したのはミラーノだった。今まで憮然とした表情で黙っていた彼女だがここで顔を真っ赤にしてバンとテーブルを叩き大声で突っ込んだ。流石にクロフォードも目を見開き驚く。真はヤバいと顔にはっきりと書いた上に赤のマーカーで上塗りしたような顔をして口元を抑える。
「どうして、どうして私とロイが離れなければいけないの?どうしてです?それに結婚の話にも了承もしていません!それなのにどうして話が進んでるんですか?納得がいきません!そ結婚する気など一切ありません!」
ガミガミと大爆発を起こすミラーノにクロフォードは見開いた目を再び細めてはっきりと告げる。
「これ以上その私という自己主張を止めろ!お前はそんな風に育てられたわけでも、それをわたしや父上が許した覚えも無い!」
「父上は関係ない!それに兄様も私の親じゃないでしょう!?それを勝手に」
「ミラーノ!これ以上をわたしに言わせたいか?お前の態度はいつからまたそう酷くなった?お前は何をどう学んできたんだ?」
凄みを利かせた低い声で最後通牒を発する。流石にクロフォードの声のヤバさを感じ取ったのか、さっきまで威勢が良かった矛先は綺麗に丸められた。
「それは・・・・・・・・」
「さぁ、いつも言っている通りだ。ミラーノ」
「はい・・・・・・・・ごめんなさい、兄様」
「さて、騒がせたね。ロイ君、わたしは別に君にこの家から出て行けというつもりは無い。ただ今までどおりミラーノと接することは許可できないということさ。だが、時が来ればまたミラーノとは会える。旧知の仲として、数少ない気の置けない親友としてね。わたしはね、君のように若くて才能があり意欲あふれる少年を出来るだけ支援するし、ゆくゆくはわたしの補佐としても活躍して欲しいんだ」
これ以上の口論はごめんだとばかりにクロフォードは一気にまくしたてる。その流れるような一連の話にロイはただただ乗せられるばかりだった。
「はい、喜んで」
無理矢理微笑んだ彼の笑みは現状を表すかのように歪なものとして真の目に映った。

「それでどうする?」
部屋から出ていき際にブライアントがそれとなくジョーに尋ねる。これからのこと諸々含めての疑問だった。しかし質問の幅が広すぎたようで、ジョーはいまいち要領を得ない顔をしている。
「お前、随分さっき復讐してやるって意気込んでだじゃんか。それをどうするってことだよ」
「うん、あぁそのことか。それはいい、暫く忘れるよ。今すぐには何も出来ないしな。それよりもここからどうにかして元いた自分の居所へ帰らないと」
プラーと適当に手を振って後はプイっと脇を見てジョーはそのままもう何も喋らなくなった。これ以上は聞いても無駄だとブライアントも部屋に戻って寝ることにした。
「そうか、まぁ今夜は遅いし、時間はしばらくあるんだ。寝た方が良さそうだ」
「そうだな。今夜は色々考え直せそうだ。ありがとよ、ジョー」


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