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作品名:北の嵐山物語 〜皐月〜 作者:森野 鯨

第1回   1
高校三年のゴールデンウィークが終わった

結局 何もしなかった

勉強も ひとり旅も


永和さんは 三月いっぱいで福寿園を辞めて

どこかの町に行ってしまった

オホーツクの方ってだけで

最後まで どこの町かは教えてくれなかった


だから僕はこの連休で

網走から北に 

いなかったら

網走から南にと

自転車で探し回ろうと思っていた


でも結局 何もしなかった

だって…


背中をつつかれた

「?」

3時間目の英語の時間

どうやら当てられているようだ

「はい!」

「返事だけはいいなぁ」

みんなが笑った

質問がわからない

前の田中が教科書の「that」を丸で囲んでみせた

僕はすかさず「ザット!」と答えた

みんなが笑った

「だから〜そのthatは何を指すの? じゃ田中」

…こんなんじゃ 大学なんてやっぱり無理かもしれない


ようやく咲いた桜を眺めながら

僕は自分の情けなさと向き合いはじめた



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