「いつもご馳走様デス」
「なんだよ他人行儀に」
「だって まだ他人じゃない」
「他人じゃなくて フィアンセ、だろ」
助手席でドキドキしてた自分に驚いていた
「じゃ、また明日」
って言うか言わないかの瞬間に
抱き寄せられ キスを交わした
「じゃぁおやすみ」
正直 なぜだか今夜は離れがたかった
またサラッと積もった雪に
玄関に続く足跡があった
「天樹?」
唇を気にしながらふと玄関脇をみると
足跡が工房の方にも続いている
「ただいま」
「お帰り」
やっぱり帰ってきていた
「早かったのね」
「まぁ」
「で、どうだった?面談」
「合格できるように頑張るだけだって」
「そうね、でもあと1年あるんだから大丈夫よ」
「どこ行ってたの?」
「ちょっとトシと用事、ついでにご飯も」
「ふーん」
「そうだ、帰ってきて工房行った?」
「うん、鍵取りに 朝 部屋に忘れてったから」
「それでか」
「何が?」
「ううん なんでもない そうだ、お風呂洗わなきゃ」
僕は頭の中で 今日の放課後からの出来事を巻き戻していた
もしかして母さん
デートがあったから
三者面談に来なかったとか?
そもそも忘れてたとか?
覚えてたけど デートを優先したとか?
そして研二さんとトワさん
「まぁ そのうちわかる」
どういうことだ?
家も知ってたし
福神漬けは買ってきてたし…
もーなんかヤダ!
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