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作品名:北の嵐山物語 〜如月〜 作者:森野 鯨

第5回   5
カレーを食べながら 研二さんとトワさんは

北海道の開拓時代の話に 花を咲かせていた

北海道に通った はじめての鉄道は

小樽から札幌だったんだって

僕は ただなんとなく 

函館から札幌に伸ばしていったのかと思ってた

「それは北海道新幹線の話でしょ」

トワさんに笑われた

「そうだ ウチの母さん 高校を卒業して 小樽で働いてたんだって」

「そうなの! 私は小樽で生まれたの」

「へー そうなんだ」

「天樹くんは どこで生まれたの?」

「僕は…」

「さ、送るぞ」

皿を洗い終えた研二さんが 話をさえぎるように促した

「トワも送ってやる」

と、トワ? いつからこいつトワさんを呼び捨てに!

「ありがとうございます」

トワさんは 素直に身支度をはじめた

それにしても もし今日母さんが面談に来てたら

トワさんは 研二さんと二人きりで…

「あの…」

「ん?」

「いや 今日はご馳走様でした」

「美味しかったね!」

まぁ 確かに…




今にも壊れそうなジープが トワさんの家の前に着いた

「わざわざ ありがとうございました 天樹くん じゃぁまたね」

「はい」

トワさんの道案内を聞かずに まっすぐ着いた

初めてじゃない ってことか

この二人 怪しい! 極めて 怪しい!

「おい」

「は、はい」

ルームミラーの目が怖い

「くだらんこと考えてるな」

「え? 何をですか?」

「まぁ そのうちわかる」

「え?」

それっきり家に着くまで 会話はなかった

やっぱり僕は 巨人が苦手だ


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