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作品名:北の嵐山物語 〜如月〜 作者:森野 鯨

第3回  
研二さんは腕組みをしたまま

何もしゃべらずに面談は終わった

「急にわざわざすみませんでした」

巨人はうなずき 生徒玄関に向かった

スリッパから踵がはみ出している

「メシ 食ってけ」

「は?」

「晩飯 食ってけ」

「あ、でも7時の汽車に…」

「食ったら 家まで送ってやる」

外に どっからどうみても

廃車寸前の軍用ジープが止めてある

確かにお腹はすいていた

でも僕は想像したんだ

何を喰わされるのかって

食ってけってことは どこかで外食ではないし

独身男が作った ワイルドすぎる料理なんだろうって

鹿肉とか熊肉とかトド肉とか

そんな肉の塊を たいした火を通さないで

激レアで 骨ごとしゃぶりつけ みたいな…

「安心しろ カレーだ」

「か、カレー ですか?」

「辛口だがな」

「辛いのは大丈夫です」

「ほぅ」

「じゃぁ 母さんに電話しないと…」



「明日の夕方 ちょっと時間くれないか」

「え?」

「ほら、指のサイズとかあるだろうし」

「あぁ、あ、ごめん電話…天樹だわ もしもし…
 
 そう、わかった、うん、はい、じゃ研二さんによろしく」

「天樹? なんだって?」

「晩御飯食べてくるって、研二さんとこで」

「そっかー、じゃ、これから行くか」

「どこに?」

「サイズ合わせて、どっかで食事でもしよう」

「んー、わかった、じゃ30分後」

「OK 迎えに行く」

「うん じゃね」

私は 幸せを感じはじめていた


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