20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:北の嵐山物語 〜如月〜 作者:森野 鯨

第22回   22
カーテン越しに外を見ても 雪がちらついているだけだった

「マルタイ 立ち止まって様子を伺っています」

また トランシーバーからの声

「やっぱり来ましたね」

若い方の刑事さんが言った

「職質かけますか?」

トランシーバーからは別の声

いったい何人で張り込んでいるんだ

「焦るな」

張り詰めた空気

「マルタイ 動きました そっちに向かって…」

「どうした?」

「マルタイ後方から 若い女性がマルタイをつけてます」

「何?」

「トワだ」

「トワさんが? どうして?」

「どうします?」

「マルタイとの距離は?」

「4、50メートル…あ!」

「どうした」

「マルタイに向けて走り出しました」

「何! 確保だ!」
 
刑事さんが玄関から飛び出した

僕と巨人も

「関口!」

刑事が叫んだ

「関口?」

とっさに担任の言葉を思い出した

外に出ると 男は走り寄ったトワさんの首を抱え

ナイフを突きつけ立っていた

「やめろ関口!もう終わりだ!」

「うるせー!どっちみち 終わりなんだよ!」

…あれが 僕の父親?

「関口、その子を離せ」

ベテラン刑事が歩み寄る

「来るな!ぶっ殺すぞ!」

…トワさん

「オレは、自分なりに、息子にひと目会って…」

「わかった」

刑事さんはそう言うと 僕に来た

「協力してもらえませんか」

「え?」

「安全は保障します」

そう言って 僕の手をとり前に進み出た

「息子さんだ」

男と目が合った

トワさんが 驚いた表情でみているのもわかった

「さぁ その子を離すんだ」

男は泣き崩れ トワさんを離してその場に手をついた

「確保だ!」

そのとき トワさんがナイフを拾い上げ 男の背中に突き刺そうとしたが

あと数センチのところで 巨人がナイフを持った手をとり 止めた

「関口永一 殺人および死体遺棄容疑で逮捕する」

驚いた

男は取り押さえられ やってきた車に押し込まれた

トワさんは 巨人に抱きかかえられた

「ご協力に感謝します」

ベテラン刑事がそう言って あっさり去っていった


← 前の回  次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 4575