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作品名:北の嵐山物語 〜如月〜 作者:森野 鯨

第2回   2
ノックをして面談室に入ると 

担任がスマホをいじって待っていた

「遅れてすみません」

あきらかにイラついている

「母が急にこれなくなって… 代わりに…」

こいつ パズドラしてるし 

でも 何て紹介すればいいんだ?

なんたって血がつながってるわけじゃないんだし…

すると研二さんが僕のあとから入ってきて

「叔父です いつもお世話になってます」

巨人がしゃべった

しかも丁寧な言葉で

やればできるじゃん

威圧感 ハンパないけど

担任は慌ててスマホをポケットにしまい

立ち上がって

「た、担任の岡松です ど、どうぞ」

「失礼します」

僕はなぜだか ちょっと誇らしげだった



「あれ? 今日は高校行くとかって言ってなかったっけ?」

久しぶりにお父さんの着替えの整理をしていると

トシが入ってきた

「そ、でも台場から渋滞で全然動かないから」

「また事故か? 冬のカムイコタンはやだね」

千年オンコの前で撮った写真を手にしてトシが言った

お父さんはその後 大人しくここで過ごしてくれている

「そうだ あのさ」

「なに?」

「指環 婚約指環のことだけどさ」

「だから そんなのいらないって」

「でも こういうのはさ ちゃんとしておきたいんだ」

「なんか美味しいものを食べに行った方がいいじゃない」

「ソレはソレ コレはコレ でさ イシなんだけど」

「イシ?」

「美咲は三月生まれだから誕生石はアクアマリンだけど」

「よく知ってるわね」

「でもやっぱ ダイヤがいいべさ?」

「ダイヤ? だからそんな高いものいいって」

「どっちがいい?」

「だからぁ〜」

「デーや」

「ん?」

「お父さん!」

ひとりでお父さんがニヤついていた



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