僕とトワさんは トーヨーホテルのそばまで来た
「直接部屋に行くしかないかもね」
「どうしてですか?」
「フロントでは教えてくれないはず」
「そうなんですか」
「名前は?」
「名前?」
「お父さんの」
「そういえば…」
と、トワさんがホテルから出てきた人を目で追った
「ごめん ちょっと用事を思い出した あとで電話するね」
そう言って 突然雪の歩道を走り出した
「?」
「おう、テンキ!」
振り返ると 担任の岡松先生だった
「先生!」
「何してるこんなところで」
「いや ちょっと…」
「一緒にいたの 関口だろ?」
「関口?」
「去年卒業した、いやおととしだったかな」
「いえ、違いますけど」
「そか そっくりだったけどなぁ」
「先生は何を?」
「昨日ここで結婚式あってさ」
「先生、結婚したんですか?」
「ばか、友達のだよ そんでここに泊まって…」
「何号室でした?」
「は?」
「あ、いえ、すみません ちょっと急いでるんで」
「おお、じゃな」
僕は慌ててホテルに入り エレベーターを待った
「トワさん どうしたんだろう?」
なかなか降りてこないので 僕は階段を駆け上がった
321号室は…
真っ直ぐ続く廊下の向こうだ
なぜだか足音を立てないように近づいた
321号室
部屋の前に立ったとたん 扉が開いた
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