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作品名:北の嵐山物語 〜如月〜 作者:森野 鯨

第18回   18
翌朝 トシさんがおにぎりを持って来た

夜勤明けのトワさんも一緒に

でもじいちゃんは まだ眠ったままだった

「大丈夫?」

トワさんが優しく気遣ってくれた

「ちょっといい?」

僕はトワさんを廊下の奥へ連れ出した





「ありがとう 夜勤明けで疲れているのに」

「ううん 平気 どうかした?」

「ちょっと相談したいことがあって…」

「何?」

それから僕は 昨日母さんから聞いたことを全部話した

そして 母さんには話していないことを話した

「実は、家に警察が来て」

「警察?」

「写真の男を知らないかって」

「見覚えある人?」

「ううん 全然 でも もしかしたら…」

「お父さんかも?」

「うん なんとなくそんな気がして」

「そっか…」

「どうしたらいいと思う?」

「こういうときは 分けて考えてみたら?」

「分ける?」

「まず 会ってみたいかどうか」

「うん…」

「次に 警察が来たことを話すべきかどうか」

「そうだね…」

僕は いつも先走って考えすぎていたのかもしれない

先を読む力もないのに ついつい次の展開を一人で想像して

その方向も 最悪の展開に結びつけてしまいがちで

「なんとかなるものよ 私もついてる!」

「うん …なんか ありがとう」

トワさんの笑顔に 急に元気が出てきた

「警察が来たことは トシさんから話してもらう」

「居場所はわかってるの?」

「そうだ!」

僕は郵便受けの紙を思い出した


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