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作品名:北の嵐山物語 〜如月〜 作者:森野 鯨

第16回   16
「刑事?」

僕は助手席でモノマネを交えて全部話した

「で どんな男だった?」

「だからベテランと若手の…」

「刑事じゃなくて 写真の男」

「あぁ んーフツーのおじさんって感じの人」

「わかりやすい説明だな」

「でしょ」

「歳は?」

「40台…後半?」

「痩せ型?」

「まぁ フツーかな」

「髪は?」

「フツー」

「普通って?」

「ハゲてないし アフロとかでもなかったし」

「なるほどな フツーだな」

「空き巣とかかな?」

「下着泥棒とか?」

「母さんの下着 欲しい人いる?」

「いるんじゃないか 世の中には…」

「もしかして マニア?」

トシさんを 疑り深い目で見た

「バカ! そんなことでオレは…」

「そうだ!」

急に夜の気配のことを思い出した

「何! びっくりさせるなよ!」

「最近 夜になって人の気配を感じてた」

「え?」

「たぶん キツネだとかだと思うけど」

「やばいなソレ」

「どうして?」

「エキノコックス!」

「あー 動物園がやられたやつだ」

「よく知ってるな」

そんな話をしてたら もうすぐ病院だった


車を降りるとトシさんが言った

「美咲には 今 そのこと言うな」

「エキノコックスのこと?」

「じゃなくて 刑事が来たこと」

「なんで?」

「とりあえず 落ち着いたら話そう」

「わかった」

そう約束して 僕らは病院へと戻った


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