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作品名:北の嵐山物語 〜如月〜 作者:森野 鯨

第13回   13
母さんはうなだれたままだ

だからトシさんが経緯を説明した

「すみません」「申し訳ありません」を度々使いながら

どうやらトシさんは責任を感じているらしい

「あんたのせいじゃない」

巨人の一言は良くも悪くもいつも重い


お医者さんが出てきた

「どうですか?」

トシさんが尋ねた

「命には別状ありません」

「良かった!」

「しかし、麻痺がどのくらい残るか」

巨人は腕を組んだまま黙っている

「最悪 寝たきりということも」

母さんはうなだれたままだ

「このまましばらく入院となりますので…」

「どうした、美咲」

巨人が口を開いた

「何があった」

「?」

僕とトシさんはキョトンだ

しかし トシさんは何かを察したのか

「じゃぁ手続きと入院の用意をしてくる、天樹、行くぞ」

「は、はい…」

僕等はその場を離れた



しばらく沈黙が続いた

研二さんには見抜かれるような気がしてた

横に座り ポツリとつぶやくように言った

「神威岬」

「え?」

「あのときと おんなじ目だ」

「…」








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