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作品名:北の嵐山物語 〜如月〜 作者:森野 鯨

第11回   11
今日 トワさんは夜勤だそうだ

夕方 福寿園に送り届け家に帰ると

玄関に困り顔のトシさんが立っていた

「あれ?トシさん どうしたんですか?」

「おぉ天樹、美咲いるはずなんだけど いくらピンポン鳴らしても

 鍵がかかってて 出てこないんだ」

「工房じゃないんですか?」

「そっちも…」

ガチャっと鍵が開ける音がして扉が開いた

まるで魂の抜け殻のような母さんの顔が見えた

「母さん!」

「美咲!どうした?具合悪いのか!」

母さんは何も言わず居間へと戻っていく

「何かあったのか?」

「さぁ?」

トシさんは心配そうに家に入っていった

郵便受けを除くと

一枚のメモがあった

「トーヨー 321? なんだこれ?」

「天樹くん!」

遠くからトワさんの声が聞こえて振り返ると

トワさんが走ってきた

「トワさん!」

「施設長いる?」

「中に、どうしたんですか?」

「龍之介さんが倒れたの!」

「え?じいちゃんが?」

「電話しても出ないし」

「母さん!トシさん!」

僕は慌てて家の中に入って二人を呼んだ

遠くから救急車の音が近づいてきていた


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