今朝 息子が修学旅行へ出発した
京都 大阪 奈良 と巡ってくるらしい
今は 往復飛行機
私の高校時代は 寝台列車だったっけ
「まいどさん」
寿朗が来た 高校時代の同級生
「テンキは?」
「とっくに行ったわよ」
「やっぱ今日だったか、餞別やりそこねた」
「あら悪いわね、私が代わりに頂いておくわ」
「ところでさ、今日空き部屋がでるんだ、龍さんをウチに預けないか?」
「お父さんを? どうして」
「在宅介護しながら製作や店の切り盛りは大変だろう?」
「大変どころか、地獄よ」
「だろ」
「でも自分の親だもの、しょうがないでしょ」
「だからウチのような施設があるんだって」
「こっちが参っちゃったらね」
「そうなる前にさ」
「考えとく」
「待機老人多いんだ、明日はもう埋まっちゃうから」
「私より困ってる人優先でどうぞ」
「美咲、じゃあこうしてみよう お試し期間ってことで」
「ナニそれ」
「龍さんを一週間ウチで預かる それで状況が改善されないようなら帰す」
「お父さんが何ていうか」
「それは任せろ、龍さん部屋か?」
「たぶん」
「じゃ 早速!」
「ちょ、ちょっとトシ!」
トシは 福寿園というグループホームの施設長
父は2ヶ月前に脳梗塞で倒れ、半身の軽い麻痺と失語症を患った
私は父が40年前に始めた硝子工芸店を継ぐことになった
若い頃、わがままを言って家を飛び出し
お腹に子供を宿して出戻った身としては選択の余地はなかったから
父は去年の夏から 仕事をまったくしなくなっていた
そう、母を亡くしてから
暑かったあの夏の日から
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