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作品名:北の嵐山物語 作者:森野 鯨

第16回   16
頭がクラクラするのに 後頭部を殴りつけるようにクラクションが鳴った

振り返ると 白い軽トラックの運転席の女性が手を振っているのが見える

ん? トワさんだ!

乗ってと手招きしている

助手席に乗り込んだ ワクワクのツーシーター!

「トワさん 免許持ってたんですね」

「高校卒業してすぐとったんだけど、運転するのは今日が始めてだから」

「え?」

「じゃ、行くわね!」

「はい、でも、どこに?」

「えっと…」

いきなりワイパーが動いた

「あれ?ウインカーってこっちだっけ」

僕は覚悟した






「まいどさん」

トシだ

「はい、どした?」

「あれ? 作ってないのか? コンペの」

「あー作ってもう研二さんのとこ 天樹に持って行かせたの わざとに」

「わざとって?」

「もうわけわかんないから」

「といいますと?」

「昨日着たときの話よ、要介護の父親を山に登らせろって、責任は全部自分が持つ

 万が一のときは俺がお前と一緒になるって」

「それって プロポーズ?ってこと?」

「そんなロマンチックな話に聞こえる? 自分勝手なのよ 昔から」

「そうか…」

「なんでトシが深刻な表情するわけ 悩むのは娘の私でしょ」

「結婚か」

「で、なんか用?」

「あ、ほら富良野の正吉がさ、農家を改造してパスタ屋をはじめたって」

「ふーん それで?」

「行ってみないか? どんな店か見てみたいし」

「行ってくれば? 私はいいや」

「俺も大事な話がある」

「え?」

「6時に迎えに来るから」

「え? あ、ちょっと…」

なにあいつ…


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