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作品名:北の嵐山物語 作者:森野 鯨

第14回   14
「まもなく深川です 降り口は右側3番ホームに着きます」

トンネルを抜けてから 車掌のアナウンスが入るまで

すっかりトワさん 静かになってしまった

どうして名前が嫌いなのか

結局僕は 聞けずにいた


深川駅を出た

「私、自転車だから」

「はい、じゃぁまた、会いにいきます」

「え?」

「あ、あの じいちゃんに」

「うん」

「じゃ…」

「…あのさ、ヒロキくん」

「はい」

「もし、よかったら…」

「?」

「…つきあってくれない?」

「え?」

「ダメかな」

「ダメなわけないです 全然そんな だって いやOKです」

「ホント!よかった!じゃあ あとで」

「はい!」

呆然と いや ニヤニヤしながら いや

ドキドキしながら 見送った

自転車姿も可愛い

あの自転車になりたい

自転車のあとをついていきたい

あと?

あとで?

え? あとでって?


アレコレ考えながら重徳木工製作所に着いた

「ごめんください…ごめんください」

いないのかなぁ

すると 水の流れる音がして 研二さんがトイレから出てきた

デカイ! 進撃の巨人だ!!

「おう」

「こんにちは」

早く渡して帰ろう

「これ、母からの預かり物です、では失礼します」

「ん、まぁ入れ」

「いえ、ちょっと用事もあそうですし」

「美咲がお前をよこしたということは お前に直接話せということなんだろう」

「はい?」

「いいから」

巨人は奥に進み 僕は脱出不可能な状態になった


 


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