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作品名:北の嵐山物語 作者:森野 鯨

第1回   1
校庭のナナカマドの実が真っ赤だ

「テンキ、もう窓閉めろよ」

5時間目の体育は長距離走だったから 少し開けていた

でも確かに すっかり汗も引いたし 自分でも肌寒さを感じていた

「もう、用意した?」

「全然」

本当は ちょっとだけしていた

仏壇の線香の灰

ひと握りの灰を チョコボールの箱の袋に入れて

こぼれないようにセロハンテープで止めたものだけは用意していた

「小遣いは5万以内だっけ?」

「確かそう」

「でも絶対守るやつなんていないよな」

そういうもんなのか

教室の戸が開く 担任が来た プリントを持っている

「いよいよ明日出発だな、でも、このタイミングでこれを配っとく」

プリントが前から順送りされてくる

「進路希望調査だ、なんで明日修学旅行に行くのにって思ってるかもしれんが、帰ってき たら11月だ、むこうはまだ暑いらしいが、こっちはすぐに雪が降る、その雪が解ける 頃、お前らは高校三年だ、卒業後の進路、いつ決める? 今でしょ!」

未だにこのフレーズを使うセンスを疑う

「提出は帰着後の最初の登校日だ、とりあえず今日は早く寝ろ、遅刻したら置いてくぞ」








 




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