ナズナは目を逸らし、背けて、フミカに背中を見せると、フミカはナズナを後ろから抱きしめた。
「私の愛って重いよね」とナズナの耳元で呟き、苦笑いをする。 ナズナは言葉を探すのに必死で黙り込んでいた。だが、探せば探すほど、言葉に無意味をもたらしているように思え、素直に思ったことを口に出すことは恥ずかしく思え、だけど時間だけが過ぎていく。
誤解とすれ違いを生むのは避けたかったナズナは、素直に思ったことを口に出す勇気を振り絞った。
「嬉しい。嬉しいの。でも、無理はしてほしくない。私のためにお金を稼ぐより、私の側にいてほしい。それだけでいいの。でも、それじゃ、フミカが頑張って稼いだ分を否定することになる。だから、私もフミカと同じように頑張りたい」
「でもが多過ぎ。それに、ナズナのためは私のためでもあるから頑張ってるの。無理なんかしてない。ただ、私だけが一方的に頑張ったことでナズナを不快に思わせてしまったね。ごめん」
「うん」
「あれが改造できたら、一緒に作ろうね」
「うん」
二人の空間が温かくなると、夕日がいつのまにか沈み、橙色の輝きだけが残って夜を向かえる。
「楽しみだーー」とフミカは叫ぶと、ナズナを抱きしめながら後ろに倒れ、「え?」とナズナは驚きの声を出した挙げ句の果て、海に落ちた。
身体をスローモーションにさせる感覚を味わい、口と耳が海によって空気を防ぎ止められると、耳から水の音がこもって聞こえたる。
ナズナは慌てて海から脱出しようと起き上がると、「もう! なんでこう言うことをするのかな」と怒りをあらわにした。 次いで、フミカがあがって「ごめんなさーーい」と悪戯な笑みを浮かべる。
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