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作品名:DESTINY 作者:把 多摩子

第124回   謎の影は炎の様に揺らめいて
 風が、一瞬止んだ。

「アサギ、アサギ、アサギ!」
「はい、はい、はい!」

 ハイに呼ばれた分だけ律儀に返事をするアサギだが、正直戸惑いを隠せずにいた。
 目の前のハイの瞳は、虚ろだ。
 出合って数日だが、確信を持って平素のハイとは違うと断言できた。
 リュウがスイカに混ぜた媚薬の為だ、ハイの思考回路がおかしくなっているのである。が、そんなこと二人は知るはずもない。
 乙女の直感、脳からの指令は『防御せよ』。目の前にいる”男性”は危険過ぎる。すっかりアサギの小さな身体は、ハイに覆い隠されてしまっていた。傍から見たら、アサギの姿など何処にもない。
 大木の根に抱え込むようにして押し倒されてしまったアサギは、ハイの瞳を見つめると思わず固唾を飲み込んで身を小さくする。が、身体を縮こませたのがいけなかった、ハイはさらに体重をかけて圧迫させる。

「あ、あの、ハイ様! もしもしっ」

 アサギの上擦った焦燥感の混じった声に、一瞬ハイは瞳を軽く開く。が、右手でアサギの髪に触れて頭部を撫でつつ顔を、唇を近づけた。
 硬直する。
 思わず瞳を硬く閉じたアサギだが、混乱しつつも何処かで冷静だった。叫んでも、誰も来ない。体格の良いハイが相手では、アサギなど微力。以前習った痴漢撃退法をやってみるべきか、いや、しかしハイは痴漢ではない。
 思考回路、半崩壊。
 落ち着きを失くしたアサギの脳裏に、何故か三つの影が浮かんだ。
 救いを求めて思わずアサギは手を伸ばす、一人はミノルだったが横を向いている。
 もう一人はトビィだった、手を伸ばしてくれている。

 ……え? 誰……? だ、れ……?

 そして、もう一人。おぼろげだが、じっとこちらを見据えている様に思える。顔までは見えないが、トビィと同じくらいの年齢に見えた。影は次第に大きくなった、いや、近づいて来ている。
 すると、ミノルとトビィが影が近づくたびに透けていき、消えてしまった。唖然としてそちらを見たアサギだが、目の前の影からの突き刺さるような視線を感じ、息を飲んで振り返る。
 一つの影が、射抜くような鋭い視線でこちらを見ている。それは片想いのミノルではなく、憧れのトビィでもなく。

 ……だぁれ? ハイ様ですか?

 呼びかけてみた、しかし影は怒った様に身体を揺らすだけだった。激しく首を横に振っているようだ、否定している。

「解らないんです、あの誰どなたですか?」

 不思議な感覚だった、解らない、というのは正直な気持ちだが、心の何処かで目の前の影が誰なのか知っている様な気さえしている。
 挑むようにアサギは両手を広げると、影を見据える。
 もどかしい気持ちなのは何処かで”憶えているから”。解らないはずなのに、知らないはずなのに、それでも……”憶えている”。
 記憶の片隅、忘却の彼方、箱の奥底。
 影は揺らめいた、一瞬だったが。紫銀の短髪、トビィに似ていて非なる少年が姿を見せる。
 大きく目を開く、知っている気がしてならない、懐かしい気がしてならない、愛しくて仕方がない、それでいて罪深い。

『思い出せない? 心外だな、またオレを馬鹿にしてるのか。……まぁいい、オレ以外の男に近づかないで、約束』

 はっきりと、声が聴こえた。聞き覚えのある声だった、懐かしくて涙が零れそうになった。低くもなく、高くもなく、愛しいとさえ感じる声。やはり、知っている声だった。
 何度名前を呼ばれただろう、その声で名前を呼ばれることが好きだった、いつまでも聞いていたかった、好きだと、愛していると言って欲しかった。
 姿を現したその少年の綺麗な瞳は鋭くて、それでいて幼く。抱きつきたい衝動にさえ駆られた、知らず涙が溢れて地面に落ちていく。

「待って、待って!」

 思わず声を張り上げて瞳を開くと、零れるほどの深緑が瞳に飛び込んでくる。森の中の大木の上だった、状況を思い出し、吹き出た汗をそのままに我に返る。
 ハイが、いない。

「ひぁっ!?」

 小さく叫んだアサギは身体を仰け反らせた、首筋に柔らかい感触と軽い痛みを感じて思わず声を出す。ハイが首筋に舌を這わせ、きつく唇で吸っていた為だ。だから、ハイの顔が上にはなかった。

「っ! やぁっ!」

 身体が跳ね上がる、大きく瞳を開いてアサギは震える右手でハイの胸を押し返そうと力を込めるがビクともしない。乾く口内で、言葉がそれ以上出てこない。全身が痺れていく感覚に襲われる、吸われる度に身体は跳ね上がるのだが、脳まで痺れていくようで。粘膜が擦れる音が耳に響く、急速に力が抜けていく。
 世界が、廻る。上下が反転するように、木々が覆い被さるように。虚ろに見上げた空は、ざわめく森の檻の様。

 ……助けて。
『助けて? オレの言う事を聞かないからだろ? 何、殺されたいの? お前は誰のものだ、オレのものだろ? だったら目の前の男を殺してでも跳ね除けろ、本当に嫌なら出来る筈だ、それでもなんだ、やっぱりお前は誰とでも』

 再び”あの”声が聴こえた。間違いなく先程の男である、弾かれて喉が張り裂けるほど声を出す。

「ま、待って、嫌わないで!」

 小さく叫んだアサギは無我夢中でもがいてみる、必死にハイの身体を押し返す。唇が青く、顔からは血の気が引いている。
 落胆気味の、蔑んだ様な男の声が聴こえた。喉の奥で悲鳴を上げる、今この状況を抜け出さなければ、あの男に嫌われると直感した。
 冷たい視線は身に受けると刺すような熱に変わる、皮膚から心臓に到達する激痛を、二度と味わいたくない。
 アサギはハイの胸板を叩く、徐々に意識は鮮明になった。泣き叫びながら懸命に抵抗を続けることしか出来なかった、今隣にその男が立っていて冷ややかな視線を浴びせられているような錯覚に陥る。

『殺せよ、本気で抵抗しろよ。しないのならお前は結局』

 目の前のハイより、幻覚の男のほうが怖かった。譫言のように「嫌わないで、嫌わないで」と口にする。
 と、下からの抵抗にハイの身体がようやく起き上がる。静かに、崩れ落ちるように大木から地面に転がって落ちたハイ。
 荒い呼吸を繰り返すアサギは、自分に覆い被さっていた体温と重心が消えたことに胸を撫で下ろす。嫌な汗が流れていた、身体が小刻みに震え出す。

「……あの人に、嫌われる」

 あの人、が誰かも解らないのだが、嫌われると直感した。それだけは、避けねばならない事だと思った。
 ひんやりとした首筋に指を這わせれば、冷えた粘着ある唾液が糸を引く。虚ろな瞳で、アサギはずり落ちたハイを見つめた。気だるそうに、微かに首だけを動かし大木に寝そべったまま空虚な瞳を投げかけた。
 扇情的な光景に見えるが、今のハイにはそう映らなかった。顔面蒼白で、口元を押さえたままハイは泣いている。細い瞳から幾つも涙の筋を作り、嗚咽を堪えて片手で顔面を覆い隠して泣いている。
 顔を顰めてアサギは重い身体を無理に動かし、手を伸ばした。泣いている迷子の幼子、もしくは親に叱られた子供の様に見えた。自分より年上の男性だが、酷く可哀想で小さく見える。
 だが、痺れが取れないアサギの身体は僅かしか手が伸びず。それでもハイは気付いた、気付いて空いている片手でそれを制する。
 沈黙が流れる、風も止んだ。
 大の男が、大泣き中だ。辛うじて声だけは堪えているが、羞恥心と罪悪感に押し潰されそうなハイ。
 数分後、ようやくハイは唇を噛締めアサギへと視線を向けた。視線が、交差する。
 大きな瞳でハイをじっと見ていたアサギだ、交差しないわけがない。一瞬狼狽したが、交差した瞬間に。

「申し訳ない! 申し訳ない! 申し訳ない!」

 森に響き渡る大声に、鳥達が驚いて飛び立ち木々が揺れる。
 謝罪の言葉を連呼し、地面に額を擦りつけるハイ。呆気にとられてアサギは何も言えなかった。
 暫しどう対応してよいのやら解らずに、そのまま眺めていた。だがこのままで良いわけがない、ゆっくりと指先を動かす。未だに軋む身体を起こし、アサギは大木に座ったままハイを見下ろした。脚を、前後に揺らす。
 時折咽ながらも一向に謝罪を止めないハイが、とても貧弱に見えた。惨めな魔王は、ただ謝罪を繰り返すことしか出来ない。

「勇者に謝る、魔王様。子供に謝る、大人の男の人」

 ぽつり、とアサギが呟く。
 それが耳に届かないハイは、叫ぶように精一杯謝罪をし続ける。止めなければ永遠に続くと思われた。今のハイからは先程の違和感を微塵も感じない、正気でないように思えた勘は当たっていたとアサギは確信した。
 まさか原因が、リュウの盛った媚薬であるとは思わなかったが。
 震える身体は怯えているからだろう、謝罪を止めないハイの姿を見ていれば誰でも気の毒に思えてくる。例えそれが、今し方襲われかけていた少女だとしても、だ。
 アサギは肩を竦めて溜息を吐くと、勢い良く立ち上がりハイの腕を両手で掴んで引っ張り上げた。驚き、慌てて顔をそらしたハイだがアサギはしゃがみ込んでハイの身体を抱えて起こそうと力を篭める。無論、起き上がるわけがない、ハイの力が勝っている。

「す、すまない! あ、合わせる顔がなく。その……申し訳ない!」
「あ、あの、もういいです。立ってください、その」
「い、いや! それは駄目だ! 謝らせてくれ!」

 パシ、とアサギの手を払い除け、再び地面に突っ伏したハイだが。今、払い除けた手を思い出した。慌てて見上げれば、アサギの右手が微かに赤くなっている。謝る事に必死で、アサギの手をはたいてしまった。
 夢中だったので、強目に。直様ハイの顔色が変わる。

「す、すまない! い、痛かったろう!? い、今回復の魔法を。あぁ、あああああ私は一体何をやっているんだ!」
「えっと、魔法使うほどじゃないですよ」

 僅かに赤くなっていたアサギの手を優しく強引に掴んだハイだが、苦笑いしてアサギはそれを制した。

「す、すまない、すまない! 本当に申し訳ない! あぁ、私はどうしたら良いのかっ」
「あ、あの、ホントにもう良いですから」

 二人共、自分の意志を変えることはない。数分言い争いが続いた、だがハイが突然アサギの両足に思い切り抱きつく。意外な行動にアサギはバランスを崩したが、倒れこむことはなかった。
 別れ話を告げられた軟弱男と、女……的な構図が仕上がった。二十代後半の男と十二歳の美少女なところが、また卑猥でいかがわしい。
 ハイは必死だった、アサギの生脚にすがり付いているが、意図的ではない。

「アサギ!」
「は、はいっ」
「私はどうかしていた……意識がなかったような気もするが、それは言い訳にすぎない。先程の愚行は事実だ、偽ることなど出来ぬ! ……怖かったろう? 嫌だったろう? だから私に、アサギも同じことをするが良い!」
「…………」

 とにかくハイは必死だ、決して意図的ではない。下心があって言っている訳ではないのである、真剣だった。
 アサギは、面食らった。本来ならば飛び上がって、ひっくり返っていただろう。赤面したアサギは、首を横に振る。

「む、無理です、出来ませんっ」

 つまり同じことをする、ということは、ハイを大木に押し倒して首筋に舌を這わせて嘗めて吸え、ということだ。
 無理に決まっている。寧ろそれではハイが悦ぶだけで、アサギにはなんの得にもならない。アサギは眩暈すら覚えた。

「では、私を思う存分殴るといい! アサギにならば殴られても本望、どちらかというと大歓迎。さぁ、先程の怒りを振り払うように!」
「え、えぇ!?」

 奇怪な事になってきた、アサギの脳内処理が悲鳴を上げる。目の前のハイが別の意味で怖くて、顔を引き攣らせる。
 アサギは、露出度の高い光沢ある衣服に身を包んだ美女と、縛られて鞭を振るわれている男を想像した。
 典型的なSMの図である。
 それを、自分とハイに擱きかけて……みたが慌てて消去する。冗談ではない、そんな趣味はもちろんアサギにはない。赤面したまま、困り果てて俯いた。
 寄りすがっているハイが、小さく見える。気の毒で、哀れで、それでいて何故か可愛らしく。
 アサギは根性を出す、肝を据えた。両手に息を吹きかけながら、ハイを見下ろした。

「解りました、手を離してください。瞳をよーく瞑って歯を食い縛ってください。一撃で終われせます」

 観念したようなアサギの声に、ハイは何度も頷くとそっと脚から手を離す。

「さぁ、遠慮なく!」

 アサギの本気の一撃を覚悟し、ハイはドン、と顔をアサギへと突き出した。これで先程の事が赦して貰えるのならば、お安いものである。というか、寧ろ光栄だった。
 光栄というのもどうかと思うが、嬉しいようだ。

「いいですか? いきますよ? ……せーのっ」

 微力な風が、ハイの顔を撫でる。身を硬くしたハイの耳に届いたのは”ぺちん”というなんとも可愛らしい音だ。おそるおそる、瞳を開いた。

「ぺ、ぺちん? ……え、あ?」

 アサギが微笑み、じっと見つめていた。小さな手でハイの頬を包み込み、慈しむように優しく目の前に居るアサギ。思わず、固唾を飲み込む。なんと慈愛に満ちた瞳だろう、柔らかな笑顔だろう。

「これで、終わりです。お腹空きましたね、ご飯食べましょう」

 掌をそっと離すと、アサギはにっこりとハイに微笑み頭を二回、撫でた。お弁当が入ったバスケットを両手で持ち上げ、大木に腰掛ける。
 唖然と見守っていたハイは、未だに残るくすぐったい頭部の感覚に顔を赤らめる。柔らかで暖かな掌、子供の頃、両親に撫でられた時のような。そんな懐かしい温かみだった。懐かしくも、恥ずかしく、それでいて心がじんわりする。
 赤面したまま慌ててハイはアサギの後を追う、しどろもどろと語りだす。

「あ、アサギ? 先程のあれでは……」

 すっかり冷静さを取り戻したアサギは、ハイを無視しバスケットを広げて中のサンドイッチを手にすると口へ運んでいた。
 もぐもぐもぐ。
 急いで隣に腰掛けたハイは、身振り手振りで弁解を開始した。

「あ、アサギ。怒っているのは解るが、だからこそ私に」

 横目でハイを見たアサギは、その口にから揚げを放り込む。
 もぐもぐ、ごっくん。

「あ、美味いなこれ」

 ぼそ、と呟いたハイに息巻く様にアサギがサンドイッチを突き出す。

「もう終わりにしたんです! これ以上まだ何か言うなら私、ホントに怒りますからね!?」

 予想だにしなかった剣幕に硬直したハイ、怒気を含んだ声と表情の前に心が震える。項垂れるハイの目の前で、アサギは僅かに赤面してそっぽを向いた。

「……私、恥ずかしかったんですから。思い出したくないんですっ」

 言われて弾かれたように、アサギを見た。
 そうである、今回得したのはハイだ。誰がどう見ても、ハイである。自分の意思ではないとはいえ、心の奥底には願望があったのだろう。男だ、雄なのだ。
 申し訳ないという感情が大半を占めているが、少しは嬉しかった、それもまた事実だ。
 頬を赤く染めて恥らいながら憂いを帯びた表情で瞳を伏せるアサギに、胸が締め上げられる。それを振り切り、素に戻そうとしているアサギにも心打たれる。軽蔑しても良いのに、アサギはそうしなかった。こうして普通に応対してくれる事に、感謝した。
 途中までは確かにハイの意志はあった、台詞まで忘れて貰っては困るので慌てて声を張り上げる。

「わ、解った、解ったから最後に聞いてくれ! 私が言いかけたことを、聴いてくれ!」

 むっとして目じりを上げて怒りかけたアサギの表情が緩む、ハイの真剣な眼差しを受けたからだった。開きかけた口を閉じ、アサギは小さく頷いた。安堵に胸を撫で下ろし、ハイはそっと躊躇いがちにアサギの髪を撫でる。

「私はアサギの事をとても大切に想っている。傍に居たい、居て欲しい、護りたい。だが、アサギの気持ちは無視できない、無理強いはしない。強引に攫ってきてしまったのだ、帰りたいだろう。あの時は、アサギに会うことしか考えていなかった、後先考えずに行動した結果がこれだ。私は自分の事しか考えていなかった……。アサギが嫌ならば、魔王とて辞める、何でもしよう、だから……」
「私、護って貰いたくないです。自分は自分で護ります。でも、ハイ様の事は好きだから傍に居たいし、魔界の皆さんも楽しいから好きです、ここに居るのは苦痛ではないです。でも、みんなは心配。私は勇者で、ハイ様は魔王」

 二人の視線が交差した、時が止まった様だった。引き寄せられるように、二人は見つめ合う。
 それは、ハイにとっては願ってもない時間だった。自分の愛する楽園に相応しい森の中で、愛しい娘と二人きりこうして互いに見つめ合う。もう、このまま時が永久に止まってしまえば良いとさえ思えた。
 しかし、それはそれとして。
 ぐーきゅるるるるるるる!
 静寂と甘い雰囲気をぶち壊したこの音に、思わずアサギが爆笑する。ハイも、照れ笑いを浮かべて自分の腹を擦った。ハイの腹の虫が鳴いたのだ、生理現象は抑えられない。

 ……折角の甘い雰囲気を……この空気を読まない腹虫めが!

 ハイが自身の腹を軽く殴ると、答えるように再び腹の虫がけたたましく鳴く。再び吹き出したアサギに、ハイも肩の荷を降ろして思わず笑ってしまう。
 愉快そうに笑っているアサギを、眩しそうに見つめる。なんて楽しげに笑うのだろう、こちらまで笑いたくなる。不思議な感覚だった。
 理由はどうであれ。自分が原因でアサギが笑ってくれることが、ハイにとって幸せだった。

「早く食べましょう! さ、ね?」

 微笑んだアサギは、ハイの口元に再びから揚げを近づける。歓喜してハイは口を大きく開いて、それを受け入れた。
 森の片隅、静寂の帳。二人から少し離れた場所の地面の草が、何かに踏まれた。異質な感じにハイが顔を上げたが、何もなく。それでもそこには、何かが”いた”。


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