穣と平助に見送られ、ラウル、由奈、成の3人は階段を歩き始めた。
「ねー由奈、どこに行くのー?そろそろ私にも教えてよ。」 成が前を歩く由奈の顔を後ろから覗き込んで言う。 「そんな体勢で歩いてると転ぶから、ちゃんとしな!」 そんな由奈の言葉に成は少し頬を膨らませるも、元の体勢に戻る。 「これから行くところは地球、私の故郷。」 「私、ゆ、由奈の故郷に行けるの!?」 成は目をキラキラと輝かせ、思い切り飛び回り喜びを露わにしている。 「そのちきゅーはどんな星なの?国は何か国ある?シェイラより多いのかな?」 「国はー・・・確か195か国だったかな?言語だけでも不確定事項だけど5000以上とか。」 唖然とする成の顔を見ることもなく由奈はすたすたと歩き続ける。
「時に由奈さん、我々の到着地点は決めてあるので?」 ふと思い出したようにラウルが由奈に問う。 「え、到着地点?それって管理局が勝手に決めてるんじゃないの?」 「いえ、管理局は封筒が届いた人間の所に着くよう設定をしているのみで、 それ以外の理由でこちらから他の星へ出向く場合の着地点は 行く人間に任せているようです。行きたい着地点を強く願えば設定は完了です。」 「ふーん・・・でもそれって知らない星だったらどうするの?」 「そういう場合におきましてはお任せコースというのが存在します。」
由奈は着きたい場所が自分にとってどこなのか、考える。 自宅?今更合わせる顔なんてない。 じゃあどこに?好きだったお店でも行こうか?それともディ〇ニーランドでも行く? いやいや・・・仮にも公務で遊びに来てるんじゃないんだから。 でもやっぱり自宅や家族のその後は気になる。 「由奈さん?大丈夫ですか?」 はっとラウルにすぐに返事する由奈。 「あ、うんごめんなさい。ちょっと考え事しちゃって・・・。」 「そうですか・・・おや、彼方に出口が見えてきましたよ。」
あの出口はどこに繋がっているんだろう・・・? 由奈はふと不安になった。
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