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作品名:見えない未来に待つものは。 AFTER STORY 作者:伊右衛門

第5回   帰星
穣と平助に見送られ、ラウル、由奈、成の3人は階段を歩き始めた。

「ねー由奈、どこに行くのー?そろそろ私にも教えてよ。」
成が前を歩く由奈の顔を後ろから覗き込んで言う。
「そんな体勢で歩いてると転ぶから、ちゃんとしな!」
そんな由奈の言葉に成は少し頬を膨らませるも、元の体勢に戻る。
「これから行くところは地球、私の故郷。」
「私、ゆ、由奈の故郷に行けるの!?」
成は目をキラキラと輝かせ、思い切り飛び回り喜びを露わにしている。
「そのちきゅーはどんな星なの?国は何か国ある?シェイラより多いのかな?」
「国はー・・・確か195か国だったかな?言語だけでも不確定事項だけど5000以上とか。」
唖然とする成の顔を見ることもなく由奈はすたすたと歩き続ける。

「時に由奈さん、我々の到着地点は決めてあるので?」
ふと思い出したようにラウルが由奈に問う。
「え、到着地点?それって管理局が勝手に決めてるんじゃないの?」
「いえ、管理局は封筒が届いた人間の所に着くよう設定をしているのみで、
それ以外の理由でこちらから他の星へ出向く場合の着地点は
行く人間に任せているようです。行きたい着地点を強く願えば設定は完了です。」
「ふーん・・・でもそれって知らない星だったらどうするの?」
「そういう場合におきましてはお任せコースというのが存在します。」

由奈は着きたい場所が自分にとってどこなのか、考える。
自宅?今更合わせる顔なんてない。
じゃあどこに?好きだったお店でも行こうか?それともディ〇ニーランドでも行く?
いやいや・・・仮にも公務で遊びに来てるんじゃないんだから。
でもやっぱり自宅や家族のその後は気になる。
「由奈さん?大丈夫ですか?」
はっとラウルにすぐに返事する由奈。
「あ、うんごめんなさい。ちょっと考え事しちゃって・・・。」
「そうですか・・・おや、彼方に出口が見えてきましたよ。」

あの出口はどこに繋がっているんだろう・・・?
由奈はふと不安になった。


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