時は運命の8月26日、朝9時半を迎える。 場所は幸せの国、入星、出星管理室内。
「あの・・・えーっと、由奈?久々に遊ぼうというから来たのだけれど、どうして出星管理所なんかにいるの?」 「だから、遊びに行くんだよ?ちょっと他の星まで散歩がてら。」 「散歩なんてレベルとうの昔に超えてるじゃんー!!一言ぐらい言っておいてよもー・・・。」 成が由奈に呆れていると、後ろでラウルがゲフンゲフンと咳払いをする。 「あくまで公務であることをお忘れなきよう・・・。」
コツコツコツ・・・と管理室前の廊下から足音が近づいてきた。 ガチャリと官室のドアが開くと、遠い昔に顔に見覚えのある気がする男が入ってきた。 「由奈様、ご無沙汰しております。国王様となられたこと、本当におめでとうございます。」 「もしかして・・・貴方、穣?久しぶり、元気してた!!?」 20年越しの再開に、由奈は穣の手を取り舞い上がる。
そこに、随分年老いた穣の上司もやってきた。 「こ、これはこれは国王様に前国王様、既にお着きでしたか・・・。」 ラウルが上司の男に声をかけ確認を取る。 「久しぶりだな平助、出星準備は出来ているだろうな?」 ラウルに深々と頭を下げる穣の上司の平助。 「もちろんでございます、いつでも出立可能です。」 「そうか、ありがとう平助。ここの事をいつも任せきりですまないな。」 「い、いえ…滅相もございません、ありがたきお言葉!今扉をお開きいたします!」
あの時のように、固く閉ざされていた扉の無数の鍵が上からゆっくりと外れていく。 全ての鍵が外された頃、平助が笑顔で由奈に言う。 「由奈様、後はご存知でしょう?」 穣と談笑していた由奈も、話を終え扉の前に立つ。 「もちろん、運命の扉は自分で開く、だったよね。あの時は倒れちゃったんだよねそういえば。懐かしいな…。」 「あの時と比べて、この扉はまだ重く固くとても自分では開けないものだと思いますか?」 平助の言葉に、由奈は笑って答える。 「まさか!今はあの頃とは違うもの。開けない筈ない!じゃ、行こっかみんな!」
ガカーーーーーーーーン!!!
由奈は片腕で軽々と巨大な扉を開いた。 そして光る階段は姿を現した。
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