由奈が国王になって3日。激務をこなす中で気になる職務がに舞い込んできた。 「次の書類は…五国国王会議に参加…?うん、まいっか、参加。次は…ん?何だろこれ、シェイラ移住受け入れ星の視察…今回は地球!?」 由奈はとてつもなく驚き由奈の側近となったラウルを問いただす。 「ラウルさんこれどういうこと!!私また地球に行けるの!?てか視察って何!地球のどこ!?」
あまりに興奮する由奈を宥めながらラウルは由奈に説明する。 「こらこら、落ち着きなさい。国王がみっともないですよ。これは5年に一度行われる国王としての仕事。 シェイラへの移住が認められている星に国王が自ら赴き、今後もその星からの移住を受け続けるかどうか査定します。 ちなみに前回はステルという星だったが、とある事情で今後のステルからの移住許可は取りやめられてしまいました。」
由奈はうんうんと頷きながら目を輝かせラウルの顔をじっと見つめる。 「じゃあ私地球に帰れるんだ・・・もう二度と行けないと思ってたよ!42歳になって大分年老いちゃったけど・・・。」 地球に帰れると浮かれる由奈にラウルは冷静に忠告する。 「由奈さん、この視察はあくまでも国王としての仕事。私情を挟むのはもってのほかですし、相手国の人間との接触は認められていません。」
ラウルの言葉にシュンとしながらも由奈は楽しみで仕方なかった。 「あ、視察する場所!場所は何処でもいいの!?」 「場所は何処でも国王の好きな場所で大丈夫ですよ。勿論、由奈様の出身地でも。」
これまでの20年では観られない程喜ぶ由奈の顔を見てラウルも顔が綻んだ。 「この視察には緊急時のための由奈様の護衛もつけます、最低1人以上、5人以下でお選び下さい。」 「護衛・・・・?私に・・・・?」 不思議そうに言う由奈にラウルは説得するように由奈に説明する。 「ご承知ください、この20年で貴女が戦いの女神と言われる程にお強くなったことは無論存じています。 屈強な男でも、もはや貴女に勝てる人間はこの国にはいないでしょう。しかしこれは法律なのです。 地球で何かあっては幸せに国が崩壊しかねないことをどうぞご承知くださいませ。最低一人以上で、お願いします。」 深々と頭を下げるラウルに由奈は渋々納得する。 「分かったよー・・・でも、城の中から選ばなければいけない?」 「いえ、それなりに武道の心得がある者なら民間人でも構いません。」 「そう、ならよかった!」 「出発は12日後、8月26日の午前10時を予定していますので。」
ふと20年前を思い出す由奈 「そうだ・・・あの日も8月26日だった・・・そう・・・全ての始まり・・・。」
まるで運命の導きのように由奈は感じた。
|
|