晴れ渡る空の下、幸せの国の国民達はラウル城庭園で沸き立ちながらその時を待っていた。 城内に国民達の無数の歓声が響き渡るも、それを越える勢いで城内でも無数の怒号が飛び交っていた。
「まだか、早くしないか!今日の戴冠式は国にとって限りなく重要な日だぞ!!」 「こちら会食の準備は間もなくです!お二人の準備はいかがです!?」 「ラウル様、由奈様共に準備終了しました!お二人をテラスに誘導します!」
空に数発の花火が打ちあがると、庭園を見渡せるテラスにラウルと由奈が姿を現した。 その瞬間、湧き上がっていた国民は更に声を張り上げ大歓声が国を揺らす。
「ふふ、ついにこの時が来たな。由奈君、今の心境はどうかね?」 「正直に言えば本当に私でよろしいのでしょうかと、そんな気持ちですよラウル国王様。」 「あの時と似ているな、20年前君達が辞任しようとしている私のところに乗り込んできたあの時と。」 「ラウル国王様、あの時なにかありましたっけ・・・・?」 「似ているというか同じだな。だから私もあの時の君達と同じことを言おう。もう答えは聞いたでしょ!」 それを聞いた由奈はああなるほど、と笑った。
「それでは、橘由奈。」 「はい。」 「幸せの国、国王の名において橘由奈を現時点をもって新国王に立てるものとする。」 由奈がラウルの下に跪くと、ラウルは由奈の頭にティアラ風の王冠を冠した。 「ありがとうございます、ラウル国王様。」 「今の国王は君だ、この国を頼むぞ。ほら、国民に手を振ってやりなさい。」 「はい、必ずあなたの意志を継ぎ素晴らしい国にして見せます。」
由奈は幸せの国始まって以来初の女王となった。
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