これは、本編の翌朝早朝の物語である。 尚、同刻由奈は病院にて爆睡中のご様子・・・
幸せの国の中心に大きな城が聳え立つ。 今日はここで五国国王会議が行われていた・・・。
ー幸せの国、ラウル城最上階王室ー
「さて、これより五国国王会議を始める。」
五国の国王が一堂に会すのは、極めて稀な状況である。 厳かな空気が室内に張りつめていた・・・。 机を挟んで二つの多いなソファーに5人の国王が腰を掛ける。
前列ソファー、左から 戦乱の国[国王]ミィ 自由の国[国王]ジール
後列ソファー、左から 慈しみの国[国王]ユーリ 娯楽の国[国王]サム 幸せの国[国王]ラウル
「で?一体こんな国まで呼びつけて何の用だってんだ?こいつらと顔を合わせるのはごめんなんだが?」 開口一番他国国王への侮辱を堂々と言い放ったのは戦乱の国の国王ミィだ。 「わたくしとて、貴女のような野蛮な方とお話になるのはごめんですのよ?国のレベルが知れるわね。」 扇子で口元を隠しながらミィを嘲笑したのは慈しみの国の国王ユーリだ。 「なんだと貴様!貴様の国・・・我が国の全戦力をもって叩き潰すぞ!!」 ミィが声を荒げユーリを挑発する。 『こらこら、顔を合わせるたびに喧嘩するのはやめろよ!』 声を合わせるように二国の国王の仲裁に入ったのは自由の国の国王ジールと娯楽の国の国王サムだった。 「まったく、君たちはやめないか!毎度毎度戦争寸前まで気まぐれで喧嘩するのは!」 サムがユーリに注意をする。 「わたくしに非があると申しますの?でしたら、あのケダモノをまず檻にでも閉じ込めて下さいな。」 「いちいち喧嘩売らないでくださいよもう・・・ジールさんどうなさいましょう?」 「子どもの喧嘩ならいいのだが・・・国王同士の話となるとまだ別の話だ、本当に戦争になったら困る。」 一瞬静まった女王同士の喧嘩がまたミィの怒号と共に始まる。
ジールがふー・・・と大きなため息をつくと、何も話そうとしないラウルの疲れ切った顔が見えた。 それを見たジールはすかざずラウルに声をかける。 「どうかしたのか?ラウル、そんな疲れたような顔して。」 ラウルは聞こえていないのか何も答えない。
すると、ミィは笑ってラウルの顔を見て言った。 「はははっ、ラウルさまはお悩みなのでしょう、この幸せの国の闇の大きさに!!」 「こら、ミィやめないか!」 「相変わらずデリカシーの欠片もないお方ですこと・・・ふふ、さすがケダモノさん。」 「ミィさん、さすがに人の国の事をとやかくいうのはいかがなものでしょう。」 ミィの言葉に各国から非難が集まった。 「私は事実を言ったまでだ。この国の闇は我々の国のそれとは比べ物にならない!」 すると、ラウルがゆっくりと口を開いた。 「事実、戦乱国女王の言うとおりだ、もはや一国王としても対応しきれない状況にある。 そのために、昨日他の星より我らが幸せの国の救世主をシェイラに呼び寄せた。」 それを聞いてミィは腹を抱えて笑う。 「おいおい、てめぇついに人頼みかよ!情けねえ国王だなおい!」 「黙って聞きなさい、まったくミィは・・・。」、 「んだよぉー文句あんのかよぉー?あ? で?呼び寄せたのはどんな屈強な男なんだ?」 「22歳の橘由奈という細身の女だ。」
『!?』
ラウルの言葉に全国王が驚愕した。 「今日報告したかったのはこの女の事だ、今はまだ自由にさせておくがいずれは・・・。 是非ともこの娘のことを覚えておいて欲しい、よろしく頼む、話は以上だ、閉会する。」
こうして五国国王会議は終わりを告げる。 と同時に・・・ ベッドからガバッと起き上がり寝癖だらけの由奈。 「うー・・・あれ?ここどこだっけ?」
本編に続く。
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