由奈は家を飛び出すと、成の自宅まで行きすぐに成を連れだした。 「ど、どうしたんですか由奈さん、怪我は大丈夫ですか!?」 「そんなことどうでもいい、成さっきテレビ観てなかった?ラウル国王が国王を辞任しようとしてるの!止めなきゃ!!」 「ええ!う、うん・・・となると生放送…この世界はテレビ会社が1局…ならばあそこしかない!」 成は由奈を先導し走り出す。 「こっちです!近道があるのでこっちを通りましょう!」 しかし、由奈はそれを無視すると一気に違う方向へ走り出す。 「ゆ、由奈さん!どこ行くんですか!?」 由奈は振り返ることも答えることもなくただひたすらに走る。
しばらく走り辿り着いた場所はラウル城すぐ傍の空き家だった。 「ここは・・・確か修さんに連れられてきたあの地下室のある家…?ラウル国王様と出会ったのも確かここが最初だった…。」 「成、なにぶつぶつ言っているの?ほら行くよ・・・。」 由奈は奥の部屋で既に地下への扉を開けて待っていた。
地下へと降りた2人。 「はい、これとこれとこれ持って。あ、これ弾ね、肩にかけて。」 「え?ちょっと由奈さん!?サブマシンガンにショットガンにグレネードランチャーって・・・重すぎですよ!」 由奈は聞く耳を持たず自らもマグナム、アサルトライフル、トカレフを装備し、急ぐように地下室を出た。
「成、テレビ局へ案内して!」 「は、はい!!」 ガチャガチャと音を立てて走る2人に民間人も恐れ戦く。 2人は手早くテレビ局へ辿り着くものの、無論疲れ切っていた。 「あっれ・・・こんなに装備・・・要らなかったね?はぁ・・・はぁ・・・。」 「はぁ・・・当たり前・・・ですよ!!!」
息絶え絶えになりながらも2人はすぐに中に乗り込んだ。 銃を受付の女性に突きつける。 「ごめんね、今国王様が会見してるでしょ、そこに案内してくれる?」 しばらく女性は恐怖に震えたものの、由奈の顔をじっと見てぶわっと笑顔が咲き誇る。 おや?様子がおかしいぞ、銃を突きつけている筈なのに・・・由奈は困惑する。 「橘由奈様ですよね!?凄い!国の英雄に出会っちゃった!あ、ご案内いたしますこっちですよ!!」 「え・・・・?」 「すっかり有名人のようですね由奈さん。」 成がふふッと笑うと、由奈は成りをじっと一瞬見つめて女性に着いて行った。 エレベーターで上がること23階。 廊下に出ると大きな部屋の前に[ラウル国王様辞任会見]と書かれた立て看板を見つけた。
由奈と成は何の躊躇いもなくバン!と勢いよく扉を開けて中へ乗り込んだ。 警備員が動き始める中、2人は天井に威嚇射撃で2発打ち込む。 「命が惜しければどなた様もお動きになりませんよう・・・。」 由奈は壇上に上がり、ラウルの横に立った。 「ゆ、由奈さん…これは一体どういうつもりですか…。」 ラウルからマイクを奪い話し始める由奈。 「この国の真相を、全て国民の王国の皆様に話に来ました。」
そのまま由奈は神の存在、神のその後、これまでの悪行を全て話し、ラウルのこれまでの冤罪を全て国民に話した。 「由奈さん・・・どうしてここまで・・・。私の信頼などもはや0に等しいというのに・・・。」 「だからですよ。こんなに国民の為に努力した貴方がこれから先恨まれ続けるなんて許せないから、納得できないから。 ラウル国王様、どうかこれからも私達の幸せの国の国王として貴方の背中に着いて行かせてくれませんか?」 ラウルの前に跪き、由奈はラウルに訴えかける。 「しかし、国民が私を許さない、事実はどうあっても私はこれまでだよ由奈さん。」 ラウルは残念そうな顔で由奈を見つめる。
「それでしたら、国民の皆様の声を直接お聞きください・・・成、ご案内を。」 「はい、ちなみに言っておきますがラウル国王様、これは我々が計画したわけではありません、国民の皆様の自発的な行動です。」 「何の話だ・・・?」
2人がラウルをテレビ局ロビーへ案内すると・・・そこには国民が集まっていた。 「国王様、お辞めににならないでください!」 「国王様!私達は貴方様がいいんです!」 「私達は今日あなたに救われた!どうか、どうか辞めないでください!」
無数のラウルを擁護し今後とも国王と認める声が聞こえて来る。 「なんだこれは・・・私はまだ国王をやっていてもいいのか・・・。」 由奈と成は笑った
『もう答えは聞いたでしょ!』
翌朝、ラウルの再会見が行われ、辞任は撤回され、 幸せの国には今日やっと本当の太陽が昇った。 人々の笑顔が、心から笑っている最高のスマイルになった・・・。
END
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