「・・・・ちょっと、大丈夫?何よ急に重くなっちゃって、しっかり・・・しなさい。」 神に言葉をかけるも返答はない、背負った後ろの手には神の大量の血が伝う。 「おい、侵入者。俺達にこいつを殺す機会をくれてありがとうなあ、おかげで殺せたよ。」 「何言ってるの?こいつは死んでなんかいない・・・まだ助か・・・」 由奈の言葉を遮るように神を撃った指揮官と見える男は言う。 「よく見てみろ、助からねえよ心臓と頭撃ち抜いてんだから…残念だったなあこのバカ守れなくてよぉ・・・。」
男の言葉に由奈は全身の力が抜けてその場にへたり込む。 それと同時に、ドシャッ・・・という音と共に神は由奈の背中から落ちた。 瞳孔は開ききり、全身から血を流して不自然な体勢で倒れる神を見た由奈は神の死を実感する。 「・・・・・ぐぅっ・・・うぇ・・・げぇぇぇ・・・!」 由奈は口を押え前屈みになり激しく嘔吐する。 「由奈さん・・・大丈夫ですか、しっかりしてください。」 成の言葉で少し吐き気が落ち着いた由奈は首を小さく縦に振る。 「強情な女だ・・・まぁ、我々の目的も達したしお前らもう帰ったらどうだ。怪我人も多数出ているそうじゃないか。」 男のその言葉に3人は驚いた。 「お前達には・・・この一部始終を見た私達を殺す必要があるんじゃないのか?」 ラウルが男に問う。 「ふん、外の人間は“神”という存在自体を知らない。話されたところで何の障害もない。話したければ好きに話すがいいさ。 さて、お前たちのおかげで今日やっと我々は任務を達成した、長年の任務もこれで終わりか、その代償となった命は多かったがな…。」
数百の兵士達が一気に沸き立ち、銃や剣を天高く投げ捨て、兵士達は共に抱き合い喜びを分かち合う。 この光景に3人は状況の把握ができない。任務?代償?一体何の話だ? 「ど、どういうことですか?任務って・・・?」 男に由奈が問いかけると、静かに全てを話し出した。
「我々は前国王のラグ様が亡くなる直前に生み出された部隊なんだ。ラグ様の最後の任務、それはここの解体だった。 すぐに我々は神というやつの配下として潜り込み、神の死刑執行と解体の機会を日々ひたすらに何年も探していた。 この部隊の連中は全員ここで誰か大切な人達を亡くしている、だからこそ、我々はここまでやってこられた。」 「じゃ、じゃああなた方は全然敵とかじゃないんだ・・・?」 「まぁ、そうなるな。」 「まさか前国王がそんなことを言っておられたなんて・・・。」 「極秘の任務内容だったからな、申し訳ねえ。」 「いえ・・・皆様長年の任務お疲れ様でした・・・。」 ラウルが兵士達に頭を下げると、兵士達は涙を流して喜んだ。
その後、3人はすぐに神の家を出て病院へと向かった。
次回、最終話「光の国」
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