一度に多くの人物を味方につけ、喜ぶ2人。 しかし、城陥落までの道は未だ見つからない。 「これからどうしようか、政府を潰すにも・・・あの城の内部地図はさすがにないみたいだし・・・。」 「そうですね、内部も警備状態も知らずに乗り込むのはただの自殺です、困りましたね・・・。」
「1つ、話をしてもいいかな?」
ラウルが由奈と成に話を切り出すと、2人は大きく首を縦に振った。 「君達が狙うべくはそこの城じゃない。この国には我々よりもっと上がいるんだ。」 「それはどういうことですか?あの収容所は政府の作ったものではないんですか?」 ラウルは幸せな国の地図を取ると、机に広げた。 「ここを見てほしい。」 指差す先は例の収容所の奥、GODと文字が書かれているのが分かる。 「神・・・・?ここになにかあるんですか?」 「ここに住んでいる連中が収容所、奴隷制度の創設者であり、この国の神だ。」 「神・・・?この神って人達があなた方に指示をしているというのですか?」
「ちょっと待ってくれないか!?」 突如成が興奮した様子で声を荒げてラウルの言葉に反発する。 「おかしいよ、私は長年この国に住んでいるが神なんて者がいるなんて聞いたこともない! 適当な出まかせ言って何かを企んでいるようにしか私には思えないよ!それを証明できる物はないの!」
見かねた修がラウルに何か耳打ちする。 「そうだな、こうなったら致し方ない。それを証明することは出来ないが・・・私の素性を明かそう。」 そういうと、ラウルは祭事用の正装に着替え、成がゆっくりとラウルの頭に冠する。 その姿を見た成はわなわなと震えながら床に崩れ落ち、大きく頭を下げた。 「数々の・・・ご、ご無礼お許しください・・・。」 「王は今立場を捨てお前たちに話している、頭を上げろ。」 由奈にはいまだ状況が全く掴めない。 「え?え?え?誰なの成・・・・。」 「このお方は幸せの国の国王ラウル様でいらっしゃいます!」 由奈が成とラウルをチラチラ見て口をパクパクとする。 「え、えええええええええええ!?」 由奈もすぐに跪いてラウルに大きく頭を下げた。 「コ、コラコラ今は立場を捨てて話していると私の側近が言っただろう。頭を上げてくれ!」 そういわれ、2人は頭を上げた。 「あれ・・・?だったら国王自身がその神を打ち滅ぼせばいいのではないんですか・・・?」 由奈の言葉にラウルは大きくため息を付いた。 「それが出来るならとうの昔にやっている、そもそも城の中にもカメラがあって迂闊な真似は出来ない。だから君達に頼んでいるんだ。」 「でしたら、私達にどうしろというんです?その神を説得すればいいのですか?」 ラウルはゆっくりと立ち上がると、壁に掛けてある大きな銃を手に取り由奈と成に手渡した。
「ま、まさか・・・。」
ごくりと2人は息を呑んだ。
「ああ、これであの一族全員を撃ち殺してくれ。」
『!!?』
次回「正義の殺人」
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