同日昼、2人は街の中で歩きながら頭を悩ませていた。 「政府に隠れて住居の建築は出来ないよね?」 「仮に出来たとしても、無数の監視カメラですぐにばれます、すぐに壊されるでしょう。」
2人が頭を悩ませていると、後ろの裏路地の中から男の声と足音が聞こえてきた。 「お前ら考えろよ、上がダメなら下に作ればいいじゃないか。」 その声に、2人はすぐに反応し男の顔を見つめる。 いくつぐらいだろうか、少なくとも私達より年上ではない、それだけは分かる。17、18・・・いや、もっとか? 「おい、お前たち 聞いてるのか!?」 2人はハッと我に返ると由奈が男に疑問を投げつけた。 「あなたは一体誰?下ってどういうこと?そもそもあなた一体何者?話聞いてたの?」 一気に質問を矢継ぎ早に聞かれた男の顔は徐々にくもり、怒りを爆発させる。 「だーーーーー!うるせぇうるせぇまとめて言うなめんどくせーなまったく!」 由奈は男の声に驚きすぐにごめんなさいと謝罪し、成の後ろに隠れびくびくしている。 「貴様何者だ?由奈さんを傷つけるというのなら私が許さない・・・・。」 成は戦闘態勢に入り、男を思いきり威嚇して様子を見つめた。 すると、男が予想だにしない言葉を吐いた。
「ちょっと待ってくれ!どちらかというと俺は君たちの仲間だ!俺も打倒政府を狙っている。」 『ふぇ?』 2人は一瞬顔を見合わせて再び男の顔を見つめ唖然としているのが伺える。 男は、ケホンッと1つ咳払いをするや否や静かに語り始めた。 「俺の名前は修という、俺もとある理由で君たちと同じようにこの国の破壊を狙っている1人だ。 初めてこの国の内部で同じ目論見をする人物に出会ってつい声をかけてしまった、突然申し訳ない。 こんな突然で何も信じてもらえないのは知っているが、俺を仲間に入れてもらえないだろうか・・・?」 修のあまりに突然の申し出に2人はさすがに戸惑いの表情を見せる。 「そんな急に言われても・・・とある理由って何?聞いちゃいけないことなのかな?」 由奈の問いに修も一瞬戸惑いを見せて後、小さな声でボソッと答えた。 「その話はまた次回からの話に盛り込んであるので今はちょっと・・・無理かな・・・。」 『え、何て言ったの?』 「いや、なんでもないです、はい。」 「それにしても由奈さんどうしましょうね・・・本人の前でいうのもなんですがまだ私達にはあなたが信用できません。 万一あなたが政府側の人間だったとしたら私たち2人とも一網打尽ですから、今はどうにも・・・すみません。」 成がそういうと、修はゴソゴソと持っていた鞄の中から何かを取り出した。 「これで信じていただけるかは分かりませんが、お2人にはこれを差し上げます。」 「これは・・・どこかの鍵?」 「その鍵を使えばあなた方が欲しがっていたものが手に入ります、いかがですか?」 由奈と成は非常に警戒しているようで、鍵を返そうと修に渡そうとするものの、差し出された鍵を見て修が口を開いた。 「いいんですか?これは私が作った大きな地下室の鍵です、無論盗聴器もなければ監視カメラもない、 あなた方の活動にぴったりなものだと思いませんか?ここで逃せば二度と手に入りませんよ? 俺を信じてもらえないか?必ずこれからお2人の力になることを誓うよ、如何だろうか・・・?」
由奈と成はしぶしぶではあったものの、修の参加を認めた。 いつか脅威となるかも知れない、裏切られるかも知れない。 そんな不安の中だったが、どうしても自由な空間は必要だった・・・。
次回「破壊的」
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