「この先は、政府直属の奴隷の生活区画であり・・・処刑場です。」
衝撃の事実が成の口から語られた。 ところが由奈はフッと一瞬笑い冷静に一言言った。 「やっぱりね・・・。」 その言葉に成の方がとてつもなく驚かされる。 「ま・・・まさか由奈さんご存じだったんですか!?」 「まさか、何となくね。そんな気がしていただけ、度々それを裏付けるような事も聞いてたしね。」
あまりに洞察力のいい由奈に、成は由不安と恐怖を覚え再度忠告をする。 「由奈さん、この先の事の事には何があろうと一切かかわってはいけませんよ? ましてやこの先に進むだなんてわざわざ自分から殺されに行くようなものです。 今日言ったことは早めに忘れてこの国の法に則り幸せに暮らしましょう!!」
成がそういうと、由奈は んー・・・ と何かを考えながら成の言葉に答えた。 「でも、もう知っちゃったよ。ここで奴隷になってる人たちは罪人なの?」
成は呆れるように由奈を思いとどまらせようとする。 「知ったから何だというんです、我が身が大切じゃないんですか!? 由奈さんには何もできません、だから変なことだけは・・・。 それから、ここの人たちは全て罪人です、国家反逆罪という罪名です。」 「国家反逆罪・・・その罪の人しかいないの?」 「はい、他の罪の罪人は別の刑務所にいます。国家反逆はこの国ではそれだけ大罪なんです。 良くて奴隷、使い物にならなくなれば即処刑処分、それがここのやり方です。 そして一度入ったら二度と外には出ることは叶わず、 時に政府の大物のストレス解消の場として処刑が無差別に行われるような場所です。 しかも、国家反逆罪というのも名ばかりで時折善良な市民が連行されていることもあり、 人々はいつここに入ることになるのかと恐怖に打ちひしがれながら生活を送っています・・・。」
それを聞くと由奈は腹を抱えて大きく笑った。 「あははははははは!あー・・・面白い、何処が幸せの国だよ笑わせてくれる。 あー面白い、そんな現状で死を恐れて誰一人立ち上がれなかったんだね、おっかしい! 最高だねこの国、いやー幸せなんてまさしく名前だけだわ、名前詐欺名前詐欺あっはっは!」
成は由奈の言葉に怒りを覚え声を荒げた。 「由奈さん!いくらなんでも酷すぎます!この国の人たちがどんな思いで生活しているか!!」
成が由奈の顔を見上げると、そこには見たこともない怒りに満ちた由奈の顔があった。 「由奈・・・・・さん・・・・・?」
「この国、壊さなくちゃね。有り得ないよね許されないよね、悲しいよね苦しいよね。 こんなふざけたことを政府がしているというのなら・・・何もかも壊してやる!!! 政府だから悪が許される筈がない、例え国王でも総理大臣でも大統領でも警察でも、いけないことはいけないんだよ! だから、ね、成。今のままじゃ何もできないから、この国の闇を消すために、私はこの国で、もう一つの国を作ろうと思う。」
「!?」
次回「闇の国と光の国」
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