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作品名:言霊 作者:狸塚ぼたん

第20回   壱-16
壱-16

 ここからは、あたしが説明するね。

まず、いきなり信じ難い事実なんだけど、パパと龍壬さんは国の裏組織に所属しているらしい。

この組織は絶対に世間に知られてはいけないため、組織に所属している人たちの戸籍は存在しない。

つまり、組織に所属する人たちは生きているのにも関わらず、世間では存在していない存在となっている。

だから、パパにも龍壬さんにも名字はないんだって。

その組織に所属する人たちは主に、組織に所属する親を持つ子とかで、組織創立からの歴史は古く、先祖代々組織に所属している人がほとんどだとか。

 その組織の名前は、陰陽隊。

陰陽師の子孫もいれば、陰陽寮に所属していなかった術者の子孫もいて、その中には、パパや龍壬さんみたいに能力を持っている術者もいれば、現在は術を使う能力を全く持っていない人もいる。

だから、隊にはいろんな役割が存在してて、隊員は本部の指示によって役割分担させられるらしい。

隊の種類には、戦闘部、医療部、情報部、開発部の四種類に分かれている。

術者は基本的に戦闘部の特殊部隊ってところに所属していて、術者以外の人たちは戦闘部でいうと主戦力部隊に就くんだって。

そして、特殊部隊と主戦力部隊から選抜された本部直属の部隊を本部護衛部隊と言って、隊内には術者と術者以外の人たちのエリートが集まる。

戦闘部はこの特殊部隊と主戦力部隊と本部護衛部隊の三つで形成されていて、術者のパパと龍壬さんはその戦闘部の特殊部隊に所属してる。

 隊員には位階っていうのがあるらしくて、上から将、将補、一佐、二佐、三佐、士長、一士、二士、三士ってなってるんだって。

もう、ほとんど軍隊に近い。

で、パパと龍壬さんの位はどこかっていうと、パパが二佐――二等陰陽補佐っていう位で、龍壬さんは三佐――三等陰陽補佐っていうかなりの高位。

組織でのパパの仕事は、特殊部隊第一番隊隊長っていうごたごたした肩書きで特殊部隊全体の指揮を担ってて、龍壬さんは特殊部隊第一番隊補佐としてパパのことを色々助ける仕事を受け持ってる。

それを聞いてあたしが思い出したのが、基己とかいう男の言葉だった。

パパのことを隊長とか呼んでいたのは、このことを言っていたみたい。

まさかパパと龍壬さんがそんな偉い人だなんて思わなかったから、ただ驚愕するしかなかった。

 特殊部隊の仕事は、人に害を与える妖を退治したりするのが主。

それで、もう一つの主戦力部隊っていう隊は、他の組織との衝突時に出動する隊のことをいうらしい。

 他の組織って表現したから分かったかもしれないけど、陰陽隊はパパや龍壬さんが所属してるところだけじゃなくて、複数存在する。

っていうのも、陰陽隊にはそれぞれ妖に対する理念があるみたいなのね。

例えば、パパと龍壬さんが所属してる陰陽隊は、「人と妖は共存すべき」って理念を持ってる。

これを共存主義といって、他に「妖は人に従順であるべき」っていう従順主義に、「妖は世に存在すべきではない」っていう失礼な理念を持った撲滅主義がある。

これが組織の三大勢力で、この勢力同士は理念統一を理由に度々戦争のようなことを繰り返しているらしい。


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