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作品名:スマホで魔法アンドロイド始めました! 〜 英雄戦国史 〜Ver.3 作者:たばたこういちVer3

第1回   [6話] 「加速する“日常”からの“非日常”」

 土手沿いでの攻防から2週間。
学校ではいつも通りの日常が流れている。
「平ちゃん、おはよう!」
教室に入ってきた雅が挨拶をする。
「うん。おはよ〜!」
平ちゃんもいつも通りニコリと満面の笑みを浮かべて返事を返す
「おう!来ていたか、お二人さん。」
カツミも姿を現す。
「銀河図書館ネットを使った戦いをしてから、この三人でいることが多くなったよね。」
と雅。
「そうだね。僕たちで自警団作ったし。」
平ちゃんが誇らしげに答える。
「まあ、メンバーがあと二人揃っていないんだが。」
とカツミ。
「近藤はじめ君と・・・、有村(ありむら)さつきさんだよね?」
と人差し指を立てて雅が答える。
「そう!近ちゃんと、さつきさん。」
「そうだね。あの人達が来ないと作戦が立てられないもんね!」と雅。

放課後、雅の自宅にいつもの三人のが顔があった。

「まずは、戦闘の戦略を練る所から始めよう。二人で出来るのはそういう所からだもんな。」
暫く戦略会議が続いて、遅れて有村さつきが姿を現した。
オシャレな靴などは履かずに、スニーカーシューズを履いて来る所がさつきらしかった。
「おはよっ!どういった訓練をするんだい?」と雅の家の玄関から声が聞こえてくる。
更に暫くして、近藤はじめの声が玄関から聞こえてきた。
「こんにちはっ!。お邪魔しますッス!」礼儀正しい声が玄関に響き渡る。
「ようやく五人揃ったな。」上機嫌にメガネを上げてカツミが答えた。
「さて、まずは・・・。」
カツミを筆頭に作戦の練習が始まった。

しばらく時が過ぎ、自警団の動きにも本格さが増してきた。
だが、一向に奥村の動きなどは予測できずに空回りの日々が続いていた。
ある日の帰り道、それは突然起きた。

轟音と共に脅迫めいた声が聞こえてきた。
「おら〜っ!金出せって言ってんだろ。頭叩き割るぞ。コラ!!」
丁度そこには雅とカツミと平ちゃんの三人がいた。
「何なんだ、一体!!」雅がびっくりしていると、瞬間、平ちゃんが前へ出た。
「奥村か!?」眉間にしわが寄る。
カツミが現場へたどり着くと平ちゃんと格闘していたのは佐々木という高校生だった。
見ると、木の枝を触手のように操り高校生男子の手を拘束している。
そして、片手に“プラ棒”と呼ばれていた棒を手に持っている。
「最後の警告だ!!金を出せ!」佐々木という青年がプラ棒の先に宇宙を思わせる空間を
生成し始める。
「残念でした。カツアゲなんて真似、もう、させないよ!」平ちゃんが切り込んでゆく。
「ソウル ティアー!!」右手を上げて平ちゃんが叫ぶ。
佐々木という青年の体内から平ちゃんの体内目掛けて、何かが憑依した。
「ほう。こういう能力か!」間合いを詰めながら平ちゃんが笑った。
「撃破、覚悟しろッ!」敵の懐に入った平ちゃんが、先ほど佐々木が手に宇宙空間を思わ
せた空間を作って攻撃した。
その瞬間、佐々木は旋風がまき散るほどの風によって攻撃をかわす。
不思議なことに、佐々木が宇宙空間に引きつけられ平ちゃんが吹き飛んだ。
このヘンテコな光景をカツミは鋭い眼差しで分析しながら観戦していた。
平ちゃんの体勢が崩れるとすかさず雅が突進して平ちゃんを守ろうとする。
だが、雅は相も変わらず戦線を離脱して射程範囲内から出た位置に轟音と共に出現する。
「くそっ、まだシンクロ率が…。」と雅。
雅の稲妻の突進に焦る佐々木。
「クッ、やべえ!!ここにも能力者が居やがった!」
「プレイヤーってんだよ!」カツミが叫んで
アート オブ パートナーで創造した仲間で威嚇する。
「僕に勝負をつけさせてくれ。」と平ちゃんが前へ出た。
「僕も練習したんだけどな。あ、いててっ!いーよ。平ちゃんがやっちゃって。」と雅。
カツミもオーケーサインを出しながら、カツアゲされていた連中の保護に回った。
「何の凶器持ってるの?何の凶器持ってるの?」と心配そうな顔でカツアゲされていた
連中が訊(たず)ねてくる。
何でも無いよ。と動揺させない為に普段どおりのフォローをするカツミ。
野良犬が驚いて遠くから咆哮している。
よし、こっちの番だ。
「まず、これ。」と平ちゃんが指をくるくると回した。「そして、これ!」
次の瞬間、樹木の枝が佐々木の足にまとわり付く。
「こいつ、何で俺と同じ能力…。それに、俺の能力が使えねえって何だ!」
「全部、お前から引き剥がしたのさ!今一個残らずね!」と笑う平ちゃん。
次の瞬間、遠くにいた筈の野良犬が佐々木目がけて噛み付いてくる。
「いてえ。なんだ、この野良公!あっ、これも俺の力か!」
平ちゃんが笑って近寄る。「甘いなあ。自分の能力は最大限発揮しないと、勝てる試合も
勝てないよ?」
「勝負あり!!」平ちゃんの手にプラ棒が出現し、先端から宇宙空間みたいな空間が出現
した。
パキィン
とレンズが割れるような音を立てて、佐々木が撃破された。
スマホ リフレクションが飛び散る。
平ちゃんの能力
=======================================

ソウル ティアー(魂の引き剥がし) 出現率:レジェンド 単体発動

【ソウル シリーズ】★  

【簡易説明】相手のエンチャントを吸い取って自分が使うぞ。

【詳細情報の購入:撃破数による購入】
支払い : 25撃破数

=======================================
暫くしてから、観客から声援が沸いた。
「おお〜!ありがとう。」
「ていうか、今の何?ゲームじゃないよね?」
「怖かった〜っ!」
「これはね、”銀河図書館ネット”って言って…。」
雑談の途中だが、平ちゃんは確信していた。
(これならアイツに勝てる。奥村でさえも。)
「ところで、犬を操ったのって何なの?魔法?」
「ビースト ドメスティケーションって言う能力らしいよ?」
「へえ、魔法じゃないんだ。」
「じゃあ、あの宇宙空間みたいなのは?」
「ナイトメア ハンマーって言うらしい…。LVは32。」
「じゃあ、君が吹き飛んだのは?」
「ノックバックアーマーだよ。LVは36。もういい?」
「ようやく撃破数取ったね!平ちゃん!!」と雅。
「そうだね。やった。ははっ。」
「次も連勝だぜ!」とカツミ。
「それに、自警団の初仕事だ…。」と雅。
「次は、みんなが揃っている時が良いね。」雅は皆に言った。

その頃、近藤はじめと有村さつきは、たまたま商店街で行き会って
二人でぶらぶらと見回りしていた。
「何のスニーカー買おうかな〜。」と顔を上げてさつきがつぶやく。
「大学生なんだし、もっと女の子らしいの履けばいいのに…。」
と苦笑いの近藤。
と、その時商店街を爆音を立てながら逃げてゆく一人の少年を見かけた。
商店街の物がどんどん壊れてゆく。
「事件じゃないですか?」と近藤。
「だね。」と首でうなずくさつき。
追われていた背の低い少年はさっさと逃げてしまった。
そこに、人相の悪そうな20代中盤のおっさんが「追うか!」
「奴を殺すなら今だぜ!!」と叫んでいる。
「これは関わらない方が身のためだね。」と二人はそこを後にした。
「この商店街も物騒になったね。」と冷や汗顔のさつき。
「手を出したらやばかったですね!」と近藤。
「撃破数、貯まんないね…。」と悲しそうにさつき。
「人が救えれば良いんじゃないですか?」と一点を見つめながら近藤は答えた。


暫く歩いて、二人は雅たちと合流した。
「今日、自警団として初仕事したよ!」というのが最初の挨拶だった。
「ホントに!」近藤とさつきは目を合わせて興奮した。
「何だった?カツアゲ?」とさつき。
「そりゃ、そうでしょう。初仕事ってくらいだから。」と首を縦に振り近藤。
「そうだよ!カツアゲ阻止成功だよ。」と笑顔で雅。
「ただ、その場だけ助けて現場は元のままだけどな。」メガネをクイッと上げて
カツミ。
「警察とかに目を付けられたら最悪だし。」と平ちゃん。
「あ、そう言えば、今日柄の悪い人に追いかけられていた少年を見たぞ!」とさつき。
「なるほど。で、各自それぞれ今日の反省点は?」とカツミ。
「雷化エンチャントがうまく使いこなせなかった。もっとシンクロ率上げなくちゃ!」
雅の意見にカツミも同意している。
「僕たちは少年を助けられませんでした。」とさつきと近藤が手を上げる。
「僕はうまくいったかな。」と平ちゃん。
「では、今日も始めますか。…。」
そんなこんなで一日が暮れていった。

次の日の放課後、雅たち5人は自警団としてパトロールしていた。
そこへ一人の青年が声を掛けてきた。
青年「やあ、自警団を始めたって聞いたんだけど、もしかして君たちの事かな?」
フードをかぶった青年は不気味に微笑んで近づいてきた。
「俺こういうもんなんだけどさ…。」と言いつつ、フードからイヤホンとスマホを見せた。
すると、突然こう言い放った。「俺、君たち喰えるんだけど!!」
とっさに構える青年と一瞬たじろぐ自警団の皆。
「俺、小林、ヨロシク!二人喰いだから。」
とスマホを見せ付けてくる。
=======================================
覇王の卵(下克上エンチャント・強肉弱食エンチャント)
出現率:レア 単体発動 
最初は何も能力がエンチャントされていない。破壊したスマホのエンチャントを
奪う。
( 2人喰い )
アート オブ アーム LV12.5
ダミードール アーマー LV4
マシン テレキネシス LV1
ボマー LV12
セル LV15
=======================================
すると、おまけ!と言い小林が体をナイフに変えて爆発した。
突如みんなの体にナイフが突き刺さる。
「痛ッ!」
相手の小林は飛び散ったナイフ以外、跡形も無く吹き飛んでいる。
カツミ「みんな無事か!?」
近藤「大丈夫。みんな急所を外してるよ。」
カツミがスマホを手に取り言った。
「撃破数が加わってないだろう?だったら、まだ戦闘中だぞ。」
飛散したナイフがカタカタと音を立てて一点に戻っていく。
ナイフと空中で散らばっていた何かが音を立てて合体してゆく。
小林のカタチが出来上がると「ちっ、一撃で終わらすつもりだったのに。コール アーム!」
と距離を取る。
手にナイフが握られた。
「何の能力なの!?今の一撃は。」とさつきが表情を濁す。
「おそらく、3〜4段目にあったボマーという能力だろう。ちょっと待ってくれ。」
「僕が決めるよ。」と雅が雷化(らいか)をオンにする。
雅が小林に向かって右ストレートをいれた。
右ストレートが決まり、パァ〜ンと音が鳴る。
すると、更に小林のスマホから音が鳴った。
「ダミードール アーマー残り3体です!」
「!!」雅が反応した。
小林「痛えよ。痛え。はい。反撃!」
驚いた雅を尻目に小林がナイフを振るう。
雅の手に一撃が噛まされる。
「ぐ…あぁ…。」と雅がうめく。
雅は一歩下がって様子を見た。
「大丈夫か。」「大丈夫?」「大丈夫ですか?」とそれぞれが反応を見る。
傷ついた手でオーケーサインを出しながら後ろへ引いた。
「こんなのが続いたら体がズタズタになっちゃうな。」と心配そうに近藤。
それに対しカツミは冷静に返す。
「大丈夫だ。戦闘が終われば傷は自動回復する。スマホ リフレクションがある限り安全
だ。」
「なんだか不安だねえ」とさつきも返す。
「ところで、能力は分かったの?」近藤がカツミの方に問いかける。
「おそらく、これはボマーとアート オブ アームの合わせ技だな。」と答えるカツミ。
スマホの画面を見せつけながらカツミが説明する。
「ボマーの能力がこれだ。」
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 ボマー   出現率:汎用  複数発動
 
【簡易説明】自分自身を大爆発させて攻撃するエンチャント。自身のスロッ
トに入っているエンチャントの効果を付加させることも可能。

【詳細情報の購入:撃破数による購入】
支払い : 8撃破数


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「たぶん、この付加させるエンチャントにアート オブ アームが入っていたんだと思
う。」とカツミ。
「そうだよ。そういうこった。アート オブ アームでチャカとか出せりゃ話は早かった
んだけど、LVが12.5じゃねえ。」と笑う。
チャカという言葉にギョッとしながら雅が答える。「ふ〜ん。チャカは出せないんだ。」
「もう一発いくか。」と言うと5人が距離を置いた。
「同じ手は使えないか!じゃ、次の手!コール セル!!」
小林は左手に現れた細胞で右手の先に触れた。
突如、小林の右手から大蛇が生えてきた。
「もう一方の手は…。コール アーム…!」と言いながらナイフを出す。
「これは…。強そうだな…。」と近藤。
「はい。手口は見せてもらいました。」と平ちゃん。
「一対一だと、いや??一人だと僕には勝てませんよ。」と平ちゃんが笑う。
「コール ソウル! ソウル ティアー!どっちでもいいや?」
小林から魂みたいなものが出て、平ちゃんの中へ入る。
「はい。僕の勝ち!コール アーム!!」
静けさだけが辺りを包む。
「何しやがった!!」と戻った体で小林が叫ぶ。
「おかしいな。コール アーム!…、何も出ないや。雅くん、とどめ刺しちゃって!」
「分かった。はっ!」と雅。
轟音が鳴る。
パキィン
とレンズが割れるような音を立てて、小林が撃破された。
スマホ リフレクションが飛び散る。
「おかしいな。何で技が出ないんだろう?」
「能力だよ。能力…。」とカツミ。
「覇王の卵って能力、最初は技が何も入ってないみたい…。」
と雅。
雅たちも戦闘が終わり、傷ついた体が回復したようだ。
「けど、こんな戦闘が毎回だと正直つらいですね。」と近藤。
「しょうがないさ。あの時掲げた志のためだから。」

土手沿いで奥村に襲われた日のこと
薄暗く土手沿いのライトが5人を照らしている。
さつき「ちょっと、日本ってこんなに危ない国だったっけ?」
近藤「いや、自分は始めてっス!こんなの。」
戦闘から戻ったカツミが声を出す。
「いや、これからはこんなの日常茶飯事だと思うね!」
「ホントにその通りだよ。」と暗闇から声が聞こえる。
雅のようだ。
「僕たちはあんな奴らの言いなりにならない為に戦おうと思うんだ。」
と平ちゃんが寄ってくる。
「僕たちって、僕も含まれるの?」と雅が驚く。
「これからは自衛手段のためにもそういうのに入っておくか、立ち上げた方がいいと思う
ぜ。」とカツミ。
「どうせなら日本を守る!!」と雅が笑いを誘う。
安堵からか笑いの出るみんな。
クスリともしない平ちゃん。
「僕はマジで作ってやる。そういう組織を!!」と平ちゃんはうつむきながら言った。
「分かったよ。巻き込んだのは僕らだしね。いいよ。僕も参加する。」と雅。
「雅が行くなら俺も!」とカツミ。
「僕も良いですか?僕も自分に勇気があればと思いまして。」と近藤。
「あたしもカツアゲするような奴、嫌いだから。」とさつき。
平ちゃんが右手をあげる。
平ちゃん「みんなの平和のために!」
みんな「平和のために。」

(そう…。これからは平和の時代だから…。)


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