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作品名:お爺ちゃんと孫娘 作者:松韻萬里

第5回   コゾルって?
「お爺ちゃんコゾルってどうすること?」
 ヒマで退屈している陽菜ちゃんが、ヒマなお爺さんに話し掛ける。いつものパターン。

「さてのう。何かの歌に出てくる言葉かい?」
「このあいだの日曜日に、友達に誘われて教会いったんだ。そしたら賛美歌の斉唱があってね。

「そこに、コゾルがでて来たわけなの?」
「諸人こぞりて迎えまつれ・・・って。諸人っていうのも難しいけど、諸人が「こぞる」んだ。」

「小学生には難しいかも知れんの。」

「「小僧リテ」つまり「子供のように」 迎える?
 それとも、缶の蓋を「コゾリ開け」、中身が飛び出し「爆発的に」 迎える?
 はたまた、「コゾイ(狡い)やつらが」 迎える?  ??  」


****

「いろいろ多くの人(諸人)が、いっせいに集まり(こぞりて)、  主を迎えまつったんじゃ。」
 こぞる(挙る)には、
 「その場にいる者が同じ行動をとる」
 「ことごとく(残らず)集まる」 といった意味があるようだ。

「アッ、「こぞって参加ください」の「コゾル」か!」
「そうじゃよ。・・・しかし小学生も大変じゃの、分からないことだらけで。」

「分かんない時は、お爺ちゃんに聞くから困らない。
 でもね違和感を覚える歌詞も多くて・・・そういう時は悶々としちゃう。」

「小学生がモンモン?!」


(其の一)

「クマにまたがりお馬の稽古」って無理がない?そのまま馬に跨った方が遥かに簡単。牛や犬でもいいけど、熊はねェ〜。


(其の二)

「ないしょの話はあのねのね」。・・・もともと秘め事ってインビで怪しいもんだよね。でもたかが、カアサンとの内緒話し。チト暗過ぎない?


(其の三)

「赤い靴はいてた女の子」は「イ〜ジンさんに連れられて行っちゃった」。イ〜ジンさんは「いい爺さん」じゃなくて、「異人さん(=外国人)」。でも異人って語感が嫌。人さらいの歌に聞こえるのはあたしだけだろうか。


(其の四)

「帰ってくればコワイカニ」。コワイカニ=怖い蟹としか思えなかった。


(其の五)

「かァらァすゥ〜なぜ啼くの」の「やァまァのゥ ふゥるすへ」が難解だった。FOOL巣=ばかげた巣? FULL巣=ぎっしり詰まった巣? ふるす=古巣、が正解。でもなんで巣が古いんだろう、ことさらに。

「七つの子」の謎=烏は七羽も子供を産まないし、烏の七歳は子でもない・・・ってのも有名だけど、あたしにとっては「ふゥるす」の方が気になる。

しかし、「可愛可愛と烏は啼くの」・・「可愛可愛と啼くんだよ」、 微かに変化しながら同じフレーズが重なってゆく。「子をいとおしむ親の心」がヒシヒシ伝わってくる名曲だよ。 子供は可愛可愛って育てるもんなんだ。愛情深く育てられた子は、愛情豊かな大人になり、そこにまた愛に満ちた子供が生まれる。


(其の六)

「やっとこやっとこ くりだした おもちゃのマーチが らったった」。「やっとこ」って、モノを挟む工具かと思った。

「くりだす」の意味も分からないし、「らったった」も難しい。普段使わない言葉がテンコ盛りだからね。

「おもちゃのマーチ」ってのも難解。だって「マーチ」って「行進曲」、つまり曲の形式のこと。「おもちゃ」はモノであって曲の形式ではない。「おもちゃの日産マーチ」=「ミニカー」ってなら分かるけど。

そういや「コアラのマーチ」っていうのもあるから、「マーチ=行進曲=曲の形式≠モノ」とするあたしの解釈が間違っているのかな。


(其の七)

からすの赤ちゃんって、タチが悪いと思わない? 「こけこっこの おばさんにあかいお帽子ほしいよ あかいお靴も ほしいよと」、「かあかあ なく」んだよッ。
「おい、おばさん、いいお帽子被ってるじゃねえかッ。お靴もヨ。オレによこせよナ。」・・・チンピラのタカリか。

山羊さんは、お母さんにおっぱいをせがみ(二番)
鳩さんは、「みみずく おじさん」に、夜路がこわいから「ちょうちん かしとくれ」と、鳴く(三番)
・・・山羊さん、鳩さん達はまともだよ。

でも狐の赤ちゃんは酷い(四番)。「三日月おばさん」っていう人に、「木の葉でかんざし 買っとくれ」「小石で花ぐし 買っとくれ」と、「こんこん なく」んだよ。
からすの赤ちゃんを遥かに凌駕する、無理スジの狐さん。いくら動物の赤ちゃんでも、詐欺を教唆するなんて許されることでない。


(其の八)

遠くの知らない町、「いつか馬車に乗って行きたい町」。でも、あたしには「"カバ車"に乗って行きたい町」に聞こえる。牛車や犬ゾリがあるぐらいだから、河馬が引く車があってもおかしくはない。


(其の九)

なんだっけ、忘れた。



「・・・それにしてもお主、昔の歌ばかりでないか。」

「今の歌にストレスは感じない。それに、トヤカク言うと「関係者が黙ってない」という・・・」
「大人の事情ってやつじゃの。」


「陽菜にお爺ちゃん、早くお風呂に入りなさァい〜」
 洋子さんが、二人の際限ない会話を遮る。・・・いつものパターン。


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