「お爺ちゃんコゾルってどうすること?」 ヒマで退屈している陽菜ちゃんが、ヒマなお爺さんに話し掛ける。いつものパターン。
「さてのう。何かの歌に出てくる言葉かい?」 「このあいだの日曜日に、友達に誘われて教会いったんだ。そしたら賛美歌の斉唱があってね。
「そこに、コゾルがでて来たわけなの?」 「諸人こぞりて迎えまつれ・・・って。諸人っていうのも難しいけど、諸人が「こぞる」んだ。」
「小学生には難しいかも知れんの。」
「「小僧リテ」つまり「子供のように」 迎える? それとも、缶の蓋を「コゾリ開け」、中身が飛び出し「爆発的に」 迎える? はたまた、「コゾイ(狡い)やつらが」 迎える? ?? 」
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「いろいろ多くの人(諸人)が、いっせいに集まり(こぞりて)、 主を迎えまつったんじゃ。」 こぞる(挙る)には、 「その場にいる者が同じ行動をとる」 「ことごとく(残らず)集まる」 といった意味があるようだ。
「アッ、「こぞって参加ください」の「コゾル」か!」 「そうじゃよ。・・・しかし小学生も大変じゃの、分からないことだらけで。」
「分かんない時は、お爺ちゃんに聞くから困らない。 でもね違和感を覚える歌詞も多くて・・・そういう時は悶々としちゃう。」
「小学生がモンモン?!」
(其の一)
「クマにまたがりお馬の稽古」って無理がない?そのまま馬に跨った方が遥かに簡単。牛や犬でもいいけど、熊はねェ〜。
(其の二)
「ないしょの話はあのねのね」。・・・もともと秘め事ってインビで怪しいもんだよね。でもたかが、カアサンとの内緒話し。チト暗過ぎない?
(其の三)
「赤い靴はいてた女の子」は「イ〜ジンさんに連れられて行っちゃった」。イ〜ジンさんは「いい爺さん」じゃなくて、「異人さん(=外国人)」。でも異人って語感が嫌。人さらいの歌に聞こえるのはあたしだけだろうか。
(其の四)
「帰ってくればコワイカニ」。コワイカニ=怖い蟹としか思えなかった。
(其の五)
「かァらァすゥ〜なぜ啼くの」の「やァまァのゥ ふゥるすへ」が難解だった。FOOL巣=ばかげた巣? FULL巣=ぎっしり詰まった巣? ふるす=古巣、が正解。でもなんで巣が古いんだろう、ことさらに。
「七つの子」の謎=烏は七羽も子供を産まないし、烏の七歳は子でもない・・・ってのも有名だけど、あたしにとっては「ふゥるす」の方が気になる。
しかし、「可愛可愛と烏は啼くの」・・「可愛可愛と啼くんだよ」、 微かに変化しながら同じフレーズが重なってゆく。「子をいとおしむ親の心」がヒシヒシ伝わってくる名曲だよ。 子供は可愛可愛って育てるもんなんだ。愛情深く育てられた子は、愛情豊かな大人になり、そこにまた愛に満ちた子供が生まれる。
(其の六)
「やっとこやっとこ くりだした おもちゃのマーチが らったった」。「やっとこ」って、モノを挟む工具かと思った。
「くりだす」の意味も分からないし、「らったった」も難しい。普段使わない言葉がテンコ盛りだからね。
「おもちゃのマーチ」ってのも難解。だって「マーチ」って「行進曲」、つまり曲の形式のこと。「おもちゃ」はモノであって曲の形式ではない。「おもちゃの日産マーチ」=「ミニカー」ってなら分かるけど。
そういや「コアラのマーチ」っていうのもあるから、「マーチ=行進曲=曲の形式≠モノ」とするあたしの解釈が間違っているのかな。
(其の七)
からすの赤ちゃんって、タチが悪いと思わない? 「こけこっこの おばさんにあかいお帽子ほしいよ あかいお靴も ほしいよと」、「かあかあ なく」んだよッ。 「おい、おばさん、いいお帽子被ってるじゃねえかッ。お靴もヨ。オレによこせよナ。」・・・チンピラのタカリか。
山羊さんは、お母さんにおっぱいをせがみ(二番) 鳩さんは、「みみずく おじさん」に、夜路がこわいから「ちょうちん かしとくれ」と、鳴く(三番) ・・・山羊さん、鳩さん達はまともだよ。
でも狐の赤ちゃんは酷い(四番)。「三日月おばさん」っていう人に、「木の葉でかんざし 買っとくれ」「小石で花ぐし 買っとくれ」と、「こんこん なく」んだよ。 からすの赤ちゃんを遥かに凌駕する、無理スジの狐さん。いくら動物の赤ちゃんでも、詐欺を教唆するなんて許されることでない。
(其の八)
遠くの知らない町、「いつか馬車に乗って行きたい町」。でも、あたしには「"カバ車"に乗って行きたい町」に聞こえる。牛車や犬ゾリがあるぐらいだから、河馬が引く車があってもおかしくはない。
(其の九)
なんだっけ、忘れた。
「・・・それにしてもお主、昔の歌ばかりでないか。」
「今の歌にストレスは感じない。それに、トヤカク言うと「関係者が黙ってない」という・・・」 「大人の事情ってやつじゃの。」
「陽菜にお爺ちゃん、早くお風呂に入りなさァい〜」 洋子さんが、二人の際限ない会話を遮る。・・・いつものパターン。
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