「ねえお爺ちゃん、「オゼ」ってなァに?」 いつもの調子でお爺さんに話し掛ける陽菜ちゃん。 「さて、何じゃろう。ええと・・・」
「「ミズバショウ」が花だっていうことは分かったんだけど・・・」 「あ〜、陽菜ちゃんは「夏の思い出<span style="font-size:12px" class="lbg">(*江間章子作詞・中田喜直作曲)</span>」のことを言ってるようじゃの。」
「「夏がく〜れば思い出す〜 はるかなオゼ」の歌声にあわせて、可憐な花の映像が流れる。・・・そして湿地帯に渡された板敷きの小道がくねくね続く。 ひょっとして「オゼ」って板を敷いた道のこと?」
「そういえば、田んぼにも似たような小路があるよのう・・・でもありゃ「アゼ道」じゃテ。」 「田んぼは「アゼ道」で、板を敷いたのが「オゼ道」ッ!遥か彼方、遠い空まで続いている。」
「そうきたか。・・・しかし「夏が来るたびに板敷の道を思い出す」 ッテのもどうかノウ。 「オゼ」にはかなりの思い入れがあるぞ。」 「そこなんだよ。」
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「「尾瀬」は地名なんじゃ。群馬と福島の県境にある。 ・・・しかし、小学生には難しいかも知れんの。固有名詞と普通名詞の区別って。」
「そうだったのかア。夏になれば思い出すのは、夏休み、海、山、プール、絵日記に宿題の山。あたしたちの定番に地名は入ってこない。 固有名詞も使えるとなると、あたしの場合は、「尾道」のお婆ちゃん。 ・・・でも、「夏が来るたび思い出す、はるかな尾道」とは言い難いヨ。あまりにも私的な事柄じゃない?」
「尾瀬は有名じゃからええんじゃよ。でも、広島の尾道市も有名か。 ・・・そういえば、「尾道ワァァ〜いつかきた道ィ」 っていう歌もあるでないか。」
「それを言うなら「この道ィ〜ワ〜」。「この道」は普通名詞で固有名詞じゃないョ。」 爺ちゃんのボケに、ツッ込みを入れる陽菜ちゃんだった。
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